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「HPEのJuniper買収」は実現するのか? ネットワーク機器“再編”の行方司法省が買収に待った

米司法省がHPEによる米ネットワークベンダーの140億ドルの合併を、独占禁止法に違反する可能性があるとして提訴した。背景に何があるのか。この買収の行方は。

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 米司法省(DOJ)は、Hewlett Packard Enterprise(HPE)がネットワークベンダーのJuniper Networksを140億ドルで買収しようとしている計画を阻止するために提訴した。HPEとJuniper Networksは、独占禁止法に違反するという見方は、ネットワーク市場の現実と大きくかけ離れていると反発している。

「HPEによるJuniper買収」の狙いと製品統合の行方

 司法省は2025年1月30日(現地時間)に提出した訴状で、この買収により競争が排除され、製品価格が上昇し、反トラスト法(独占禁止法)に違反する可能性があると主張している。司法省は、HPEとJuniper Networksはそれぞれ米国で2位と3位のネットワークベンダーであると述べている。

 「HPEとJuniper Networksは成功を収めているネットワークベンダーだ。しかし、無線LAN市場でライバルとして競争を続けるのではなく、両社は合併を目指している。既に寡占が進んでいるネットワーク市場で、さらに独占が進むことになる」。司法省反トラスト部門のオミード・アセフィ司法次官補代理は声明でそう述べている。

 HPEとJuniper Networksはプレスリリースで反論し、司法省の分析は「根本的に欠陥がある」と非難した。両社は、司法省による無線LAN市場の分析は、市場の実態と大きく乖離(かいり)したものだと述べる。両社は、欧州連合(EU)の欧州委員会や英国競争市場庁(CMA)など14件の管轄区域の独占禁止法規制当局から取引の承認を得ていることを指摘し、合併に関するユーザー企業からの苦情はまだ来ていないと主張している。

買収計画の“本当の狙い”とは

 米Informa TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)のプリンシパルネットワーキングアナリスト、ジム・フレイ氏によると、たとえ2社が合併したとしても、HPEが管理する無線LAN市場のシェアはCisco Systemsよりもかなり小さいままだという。「HPEとJuniper Networksの2社を合わせても、Cisco Systemsよりも規模は小さい。ただしこの合併が実現すれば、Cisco Systemsにより優位に対抗できるようになる可能性はある」(フレイ氏)

 HPEのネットワーク製品群は、Juniper Networksのネットワーク向けAI(人工知能)機能群「Mist AI」と競合している。ネットワーク技術アナリストは、HPEがJuniper NetworksのハードウェアおよびソフトウェアをHPE傘下のAruba Networksのネットワーク製品群に組み込むことで、提供可能な製品の多様性を高め、HPEがCisco Systemsに対してより競争力を持つようになると予測していた。

 他の最近のIT企業買収と比較して、フレイ氏は、HPEによるJuniper Networksの買収はどちらのユーザー企業からも大きな反発や懸念を引き起こしていないと指摘する。この買収により、HPEのライバルが排除され、HPEがこれまで欠いていたAI技術がHPEのネットワーク製品群に追加される。「HPEには優れたAI技術の軸がなく、Juniper Networksにはあった。HPEはJuniper Networksに対してAI技術における競争上の苦しみを抱えていた。それが買収の唯一の理由ではないだろうが、正当な理由の一つだろう」

 「Cisco Systems、Juniper Networks、HPEは米国市場で最大級のシェアを誇るネットワークベンダーだが、世界的に見ればさまざまな競合が存在する」とフレイ氏は言う。HPEとJuniper Networksの合併により、他のベンダーが国内市場でシェアを獲得するチャンスが生まれる可能性がある。「トップクラスのネットワークベンダーの数が減れば、他のベンダーの存在感が増す。ネットワーク市場は、米国以外では、はるかに活発で競争の激しい環境なのだ」(フレイ氏)

(翻訳・編集協力:編集プロダクション雨輝)

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