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アフリカのIT人材がバルト三国で働く? リモート研修にEUが期待する理由人材交流の先にある目的は?

アフリカのIT人材がバルト三国で研修を受ける取り組みが進んでいる。EUが資金提供する「Digital Explorers」が、アフリカの人材とバルト三国のテクノロジー企業の橋渡しをしている。その目的とは。

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 欧州のバルト海沿岸に位置するバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)とアフリカの間で、IT人材の交流が進んでいる。欧州連合(EU)が資金提供する「Digital Explorers」は、バルト三国のテクノロジー企業と、ケニア、アルメニア、ナイジェリアなどのITエンジニアの連携を図る。その目的は何か。

人材交流のその先にあるのは?

 Digital Explorersは、バルト三国のIT分野における人材不足に対処するとともに、バルト三国とアフリカ諸国間のビジネスや政府間の交流を促している。

 リトアニアの専門学校Turing Collegeは、アフリカでデータアナリストを目指す研修生90人をリモートで育成している。研修生はバルト三国のスタートアップ(新興企業)で働く。この取り組みは将来、EU全域で展開する方針だ。

 この取り組みを推進するのが、リトアニアのシンクタンクOSMOSだ。同団体のマネージングディレクター、ジルビナス・シュベドカウスカス氏は、取り組みを通じてリトアニアとナイジェリアの間に「予期せぬパートナーシップが生まれている」と述べる。

 Digital Explorersはリトアニアで始まり、エストニアとラトビアに拡大した。アフリカからはナイジェリアとケニアの研修生が参加し、欧州からはアルメニアが加わった。

 シュベドカウスカス氏は「まず、このような取り組みがグローバルな規模でどのように機能するかを試している段階だ」と説明する。

 同氏は、研修をリモートで実施することについて、「研修生がバルト三国で実務に触れる機会となっている」と評価する。メンターはIT業界の専門家が務め、バルト三国の企業が実践しているチームワークの構築法を活用している。「新たな人材を獲得し、チームの多様性を高めたいと考える企業と人材をつないでいる」(シュベドカウスカス氏)

 Digital Explorersは、研修生に対して半年間のインターンシップの機会を提供している。Digital Explorersが奨学金と渡航費用を負担し、参加者はバルト三国に滞在する。シュベドカウスカス氏によると、インターン期間中の人材育成プログラムや就業環境は企業が責任をもって提供する。

 インターンシップ終了後、研修生は帰国してDigital Explorersの支援を受けながら社会復帰するか、バルト三国に残って長期的な就労定着支援を受けることができる。2019年以降、53人の研修生がバルト三国に移住した。

 シュベドカウスカス氏は、この取り組みの課題も明かす。「この取り組みは楽観視できる状況ではない。外国人の入国規制は厳格化の一途(いっと)をたどっており、人材の移動や人的交流は控えめに言っても困難になりつつある」(同氏)

 Digital Explorersの関係者で、ケニアのスタートアップ、中小企業支援者協会(ASSEK:The Association of Startup and SMEs Enablers of Kenya)のCEOを務めるマーシー・キマラット氏は、次のように述べる。

 「ケニアとバルト三国は、インフレや政治的混乱といったさまざまな課題に直面してきた。そのような中で、スタートアップが成長を続け、発展している様子を知ることは刺激的だ」

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