被害に遭った企業がそっと教える「内部脅威対策」でやるべきことはこれだ:インシデントを経験した349社を調査
セキュリティベンダーの調査によると、企業内部の脅威への対策の予算は増加傾向にある。インシデントを1度以上経験した企業は、具体的にどのような施策にどれほどの予算を投じているのか。
企業のCISO(最高情報セキュリティ責任者)やIT部門は、サイバー攻撃をはじめとした外部の脅威だけでなく、企業内部の脅威に対する取り組みに注力し、予算を増加させている──―セキュリティベンダーDTEX Systemsと調査会社Ponemon Instituteが共同で発表した調査レポート「2025 Cost of Insider Risks Global Report」で、そのような状況が明らかになった。
調査は、内部脅威によるセキュリティインシデントを1回以上経験した企業349社のIT部門およびセキュリティ部門の従業員8306人を対象にしたものだ。企業はどれほどの予算を投じ、どのような対策を講じているのか。
内部脅威対策でやるべきことは“これ”だ
調査レポートによると、企業内部で発生したセキュリティインシデントの対処に要した平均支出額は、2023年時点では1620万ドルだったが、2024年には1740万ドルに達した。この動きに連動し、セキュリティ予算に占める内部脅威対策の平均支出額の割合は、2023年の8.2%から2024年には16.5%に倍増した。
一方、支出額の増加に伴い、企業内部で発生したセキュリティインシデントの封じ込めにかかる期間は短くなった。調査レポートによると、2023年には平均86日かかっていたが、2024年は平均81日だった。
調査レポートは、企業が内部脅威管理システムを導入する必要性が高まっていることも指摘している。回答者の81%が「内部脅威管理システムを導入している」もしくは「導入を計画している」と答えた。
DTEX SystemsのCEO、マーシャル・ハイルマン氏は、「国外からのサイバー攻撃の増加、国をまたいだテレワークの普及、急速に変化する政治情勢を踏まえ、内部脅威管理の重要性は高まる傾向にある」と述べる。同氏は「従業員が関与するセキュリティインシデントは、企業の財務や評価に損失を与える」と指摘し、「内部脅威管理に投資する企業は、インシデントの防止や抑制で成果を上げている」と説明する。
調査レポートによると、企業は内部脅威管理のため、以下を目的としたツールを導入している。
- データ損失防止(DLP:Data Loss Prevention)(56%)
- エンドユーザーの振る舞い分析(UEBA:User and Entity Behavior Analytics)(51%)
- エンドユーザーの行動監視(49%)
- EDR(Endpoint Detection and Response)(48%)
- 特権アクセス管理(PAM:Privileged Access Management)(47%)
- SIEM(Security Information and Event Management)(45%)
企業はこれらのツールを以下の観点で評価していることも分かった。
- 内部脅威管理にかかるコストの削減
- 内部脅威管理の簡素化
- 脅威を検出する時間の短縮
回答者の54%は、内部脅威の検出や防止に人工知能(AI)技術を活用していると答えた。そのうち51%は、AI技術を「不可欠」または「非常に重要」だと評価した。AI技術は以下の点で役立つという。
- 調査時間の短縮(70%)
- 行動分析の精度向上(59%)
- 分析担当者のスキル要件の引き下げ(58%)
米国では内部脅威に対する警戒が強まっている。米国大統領ドナルド・トランプ氏は、政府の支出見直しや削減を実施する組織「DOGE」(Department of Government Efficiency:政府効率化省)を設立し、連邦政府職員の大規模な削減を進めている。これによって、連邦政府内部のセキュリティリスクは高まっているという見方がある。
連邦政府を退職する職員の最大80%が、退職時に知的財産やデータを持ち出す恐れがある。セキュリティベンダーMimecastの調査レポート「2024 Data Exposure Report」を引用し、WebメディアCSO Onlineが2025年2月に指摘したものだ。人員削減から派生した混乱を踏まえると、この割合は高まる可能性があるとも記事は伝えている。
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