いまさら聞けない「オープンソースデータベース」の定義とメリット:オープンソースデータベース12選【第1回】
プロプライエタリ製品の有力な代替手段として地位を確立したオープンソースデータベース。その厳密な定義と、オープンソースデータベースを利用することで享受できるメリットを取り上げる。
データベースは、従来のオンプレミスシステムからクラウドサービスまで、さまざまな形態のシステムにあるアプリケーションを支えている。データベース市場は、特定のベンダーが開発、管理するプロプライエタリ(ソースコード非公開の商用製品)なデータベースが主流だったところに、オープンソースのデータベースも着実に普及してきた。
オープンソースソフトウェアは、ソースコードを公開することを前提にしており、一般的にはコミュニティー主導で開発を進める。このアプローチには、開発に関わる人を増やし、ユーザー企業が特定のベンダー技術に縛られる「ベンダーロックイン」を回避するという狙いがある。OS「Linux」やクラウドサービスの普及、さまざまな形式のデータを扱えるデータベースの登場も、オープンソースデータベースの利用拡大を加速させた一因だ。
本稿はオープンソースデータベースの概要と、オープンソースデータベースを利用する主要なメリットを解説する。
そもそも「オープンソースデータベース」とは?
オープンソースデータベースは、オープンソースライセンスの下で開発、公開されるデータベース管理システム(DBMS)を指す。オープンソースを推進する非営利団体Open Source Initiative(OSI)が定義した、ソフトウェアがオープンソースであるための条件「Open Source Definition」(OSD)を満たすものが、オープンソースソフトウェアとして認められる。
だが近年、状況は複雑になっている。オープンソースデータベースを開発したベンダーの一部が、OSDにはおおむね準拠しつつも、OSIの承認を受けていないライセンスを採用するケースが出始めている。ソースコードは閲覧可能だが、オープンソースとは利用条件が異なるといったものだ。このようなライセンスを「ソースアベイラブル」と呼ぶ。その目的は、オープンソースデータベースの開発元が、自分たちのデータベースをクラウドベンダーに無償で利用され、自社のデータベースサービス(DBaaS:Database as a Service)として提供されることを防ぐことにある。ソースアベイラブルデータベースは、純粋なオープンソースデータベースとは異なるが、プロプライエタリなクローズドソース(ソースコードが公開されていない)データベースの代替という文脈では、従来型のオープンソースデータベースと並べて語られるのが通例だ。
オープンソースおよびソースアベイラブルというカテゴリーで見ると、さまざまな種類のDBMSが出回っている。データを行と列で表す「リレーショナルデータベース」や、それ以外のさまざまな形式でデータを保持する「NoSQLデータベース」、複数のデータモデルを扱える「マルチモデルデータベース」などが利用できる。
オープンソースデータベースを利用するメリット
オープンソースデータベースやソースアベイラブルデータベースには、以下の利点がある。
- 導入が容易
- オープンソースの基本的な考え方は、技術を無償で利用できるようにすることだ。そのため、企業は無償でオープンソースデータベースを試用し、導入できる
- ベンダーが有償サポートや追加機能を備えたクローズドソース版を提供している場合もある
- コミュニティーによるサポートと貢献
- 熱心な利用者やコントリビューター(貢献者)から成るコミュニティーが新規ユーザーを支援してくれる
- エンドユーザーが自らバグ報告や機能要望を提出したり、コントリビューターになったりすることも可能だ
- ソースコードの透明性
- ソースコードが公開され、誰でも閲覧できる状態であるため、企業がデータベースの仕組みや自社のビジネス要件に合った効果的な活用法を理解しやすい
- カスタマイズ性
- 一部のオープンソースライセンスは、開発者が特定の要件に合わせてデータベースソフトウェアを自由に改変することを許容している
- セキュリティの強化
- ソースコードが公開されているため、開発者、エンドユーザー、セキュリティ研究者が脆弱(ぜいじゃく)性を特定するためにソースコードを調査できる。さまざまな人が調査することで脆弱性が見つかりやすくなり、修正される可能性が見込める
次回は、主要なオープンソースデータベースおよびソースアベイラブルデータベース12個のうち1〜4個目を紹介する。
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