誰でも開発できる時代がやって来た?【前編】
AIに頼むだけでプログラムができる「今どきのコーディング」の実力
自然言語で「こんな機能を実現したい」と伝えるだけで、AIがコードを書いてくれる「バイブコーディング」が注目されている。実際にバイブコーディングに取り組み、その可能性を探ってみた。
バイブコーディング(vibe coding)とは、AI(人工知能)技術を活用したプログラミング手法だ。ユーザーが自然言語で「こんな機能を実現したい」と伝えるだけで、大規模言語モデル(LLM)がソースコードを生成してくれるというものだ。
筆者はこれまで、趣味や仕事の業務の一環としてバイブコーディングを実践してきた。もっとも、自身の取り組みがバイブコーディングであると知ったのは最近のことだ。
生成AIが普及するにつれ、バイブコーディングが一般的な開発スタイルになりつつあると実感している。本連載は筆者の経験を基に、その成果や課題を解説する。
AIに頼むだけでプログラムができる「バイブコーディング」の実力
併せて読みたいお薦め記事
AI×コーディングの関連記事
バイブコーディングとは何か、改めて考えてみよう。これは単なる「AI技術を活用したプログラミング支援」にとどまらない。重要なのは、「誰でもアイデアを思い付けば、数分以内にプロトタイプに落とし込める」という即応性だ。
具体例として、ロボットのクマ「テディ・ラクスピン」のエピソードを紹介しよう。
テディ・ラクスピンは、カセットテープを背中に挿入すると本を読み聞かせてくれるクマ型ロボットだ。カセットテープには2チャンネルの音声信号(ステレオ音声)が記録されており、片方のチャンネルには物語の音声が、もう片方にはアナログ信号に変調された制御コマンドが含まれている。この制御信号によって、テディ・ラクスピン内部のモーターが動作する仕組みだ。
筆者は「自分の声でこのロボットを操作したい」と考えた。まずモーター制御に使われている「パルス位置変調」(PPM)の仕組みを理解し、それをプログラミング言語「Python」で実装する方法を学んだ。こうして完成したプロジェクトを「T-Rux」と名付け、ソースコード共有サイト「GitHub」で公開している。
筆者はこのプロセスを、バイブコーディングで再現できるか試してみた。AIベンダーOpenAIのAIチャットbot「ChatGPT」に、「Pythonを使って、自分の声でテディ・ラクスピンを制御するにはどうすればいいか」と質問した。わずか15秒後に返ってきた回答は、筆者が数週間かけて設計した内容に驚くほど近いものだった。
それ以来、筆者は以下のようなさまざまな開発プロジェクトでAIツールを活用しており、実際のコーディング作業の99%をAIツールに任せている。
- RadioSHIFT
- 時間をずらして再生できる、タイムシフト再生機能を備えたFMラジオアプリケーション
- AutoHotKey製のミニアプリケーション
- OS「Windows」上で、OS「Mac」のランチャーアプリケーション「Alfred」に似た操作性を再現するもの。自動化スクリプト言語「AutoHotKey」で作成した
- Obsidian向けプラグイン
- ナレッジ管理アプリケーション「Obsidian」に、情報整理ツール「Evernote」のような使い勝手をもたらすプラグイン
- 用途別のスクリプト群
- VHSテープの動画をデジタル化した際、動画の冒頭にファイル名入りのフレーム(静止画)を自動挿入するスクリプト
- 「Word」文書の見出しを「PowerPoint」スライドに変換し、内容を視覚化するスクリプト
中でも、Obsidian向けプラグインの開発体験は本稿を執筆するきっかけにもなった。
当初、筆者はプラグインを自作するつもりはなく、「自分の求める機能を備えたプラグインが既に存在するかどうか」をAnthropicのAIチャットbot「Claude」に尋ねた。Claudeは幾つか候補を提示したが、どれも要件を満たさないことを伝えると、「それではプラグインを自作してみましょう」と提案してきた。その数分後、最初のObsidianプラグインが完成した。もちろん、初期のソースコードは洗練されたものではなく、手直しが必要だった。それでも数時間後には、実用に耐え得るレベルにまで仕上がった。
次回は、バイブコーディングの実践を通して感じたリスクについて解説する。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国Informa TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[フォーティネットジャパン合同会社] 複雑化しがちな「SASE運用」 IT・医療・金融などの事例に見る導入成功の秘訣 -
製品資料
[フォーティネットジャパン合同会社] 「SD-WAN」導入で失敗しないための5つの重要事項 -
技術文書・技術解説
[フォーティネットジャパン合同会社] VPNの代替候補「ZTNA」を理解できるようになる“3大要素”とは? -
事例
[フォーティネットジャパン合同会社] すぐ分かる「SD-WAN」選定のポイント 成功企業はどんな成果を出した? -
製品資料
[SCSK株式会社] 「Dropbox」管理・運用の困りごと解決ガイド
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
3
「IoT通信環境の構築・運用」に関するアンケート
-
4
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
5
IT製品の導入に関するアンケート「セキュリティ」編
-
6
みずほ証券が「液冷サーバ」を採用 1日3.6億件の計算を支えるための要件
-
7
SAP導入後も残る“Excel依存” 京急電鉄は「kintone」でどう解消した?
-
8
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
9
「有線LAN環境」に関するアンケート
-
10
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
7
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー