私も“AIエージェント開発者”に? 裾野を広げる「Agent Bricks」とは:Databricksが新製品を発表
AI技術を取り入れたデータ分析ツールの需要が広がっている中、Databricksは高度な専門スキルがなくても分析ツールを作るための新製品を投入した。どのようなものなのか。
データ分析技術を手掛けるDatabricksは2025年6月、人工知能(AI)ツールを作りやすくすることを用途とした新製品を発表した。AIエージェントの構築ツール「Agent Bricks」と、コーディング不要のETL(データの抽出、変換、読み込み)ツール「Lakeflow Designer」だ。具体的にはどのような製品で、何ができるのか。
AIエージェント開発のネックを解消する機能はこれだ
Agent BricksとLakeflow Designerは、2025年6月にDatabricksが米サンフランシスコで開催したユーザー企業向けイベント「Data + AI Summit 2025」で披露された。これらの新製品はDatabricksのユーザー企業にとってAIツールの開発を簡素化することが目的だ。
Agent Bricksを使って構築できるAIエージェントとは、推論能力を持ち、データのコンテキスト(文脈)を認識して分析ができるAIアプリケーションだ。エージェントはチャットbotとは異なり、ユーザーのプロンプト(指示)に回答するだけではなく、自律的に知識を深めてタスクを実行できる。
AI技術を取り入れたエージェントは近年、従業員の負荷を減らして生産性を高めるためのツールとして脚光を浴びている。しかしAIエージェント構築には高度なスキルが必要なため、開発は容易ではない。AIエージェント構築に伴う費用もネックになりかねない。
Databricksのバイスプレジデント(マーケティング担当)であるジョエル・ミニック氏は、AIエージェントを開発しやすくするとともに、開発費用も抑えるためのツールとしてAgent Bricksを投入したと説明する。
Agent Bricksは、ユーザー企業がAIエージェントの目的を記述すると、タスクごとの評価基準や、AIエージェントの品質を評価するためのLLM(大規模言語モデル)を自動生成する。エージェントの低品質による不正確なデータ分析といった問題を避けられるという。Databricksによると、分析するデータ量を「本当に必要なもの」に最適化できるため、開発費用の削減につながる。
エンドユーザーが品質と費用のバランスを選択できる点がAgent Bricksの強みだ。構築するAIエージェントの選択肢として、「正答率95%の高額なエージェント」と、「正答率は85%だが1つ目のものよりも費用を25%抑えたエージェント」といったものを提示する。エンドユーザーが選択を終えると、Agent Bricksが自動的にAIエージェントを本番環境へ展開する仕組みだ。
Lakeflow Designerは、ソースコードの記述を不要にすることで、技術者ではない人でもデータエンジニアリングに取り組むことができるツールだ。自然言語による指示を、自動的にクエリ言語(問い合わせ言語)「SQL」の指示に変換することができる。AI技術を使ったサポート機能も備えており、クエリが正しく構造化され、適切なデータが使用されているかどうかをチェックする。エラーが発生した場合の自動修正も可能だ。
「Lakeflow Designerによって、ビジネスアナリストがエンジニアに依頼しなくても、自分でデータ分析ツールを作って迅速に分析作業ができるようにしたい」(ミニック氏)
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。