自社に合う「VPN」はどれ? Androidスマホユーザーを抱える法人向け製品4選:Androidスマホ向けVPN導入ガイド【中編】
VPNは料金や機能といった条件が異なる製品が無数に存在する。「Android」搭載スマートフォンを運用する企業での利用に適した、主要なVPN製品4つを紹介する。
検索サイトでVPN(仮想プライベートネットワーク)とキーワードを入力するとさまざまな製品名がヒットする。その中から自社のニーズに合った製品を選ぶのは至難の業だ。本稿は、特にGoogleのモバイルOS「Android」を搭載したスマートフォンを利用する企業のIT部門向けのVPN製品を4つ紹介する。
Androidスマホで使える4つのVPN製品とその機能
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連載:Androidスマホ向けVPN導入ガイド
VPNの選定から導入までをおさらい
1.Cisco Systemsの「Cisco Secure Client」
Cisco Secure Clientは、Cisco SystemsのVPN製品「Cisco AnyConnect」の次世代版に当たる。Cisco Secure Clientは、Cisco AnyConnectの機能を拡張したサービスとして、以下の機能を提供する。
- 脅威対策
- ローミング(異なるネットワークに接続先を切り替えること)時のデバイスの保護
- 「ZTNA」(ゼロトラストネットワークアクセス)の制御
- ZTNAとは、社内外を問わず全ての通信を危険と見なす「ゼロトラストセキュリティ」の考えに基づいてアクセスを制御する仕組み。
- ネットワークの可視化
- ネットワークの検査
Cisco Secure Clientは、Cisco Systemsのセキュリティツールやネットワーク機器と連携して使用可能だ。
2.Express Technologiesの「ExpressVPN」
ExpressVPNは、2025年7月時点で105カ国にサーバを持つクラウドVPNだ。各サーバは独自のドメインネームシステム(DNS)を持つ。サーバのデータは揮発性のRAM(ランダムアクセスメモリ)のみで処理されるため、エンドユーザーの検索や閲覧履歴、データの使用量は記録されない。データを暗号化するアルゴリズムとして、「AES」(Advanced Encryption Standard)を用い、256bitの鍵でデータを暗号化する。
ExpressVPNは、Androidだけではなく「Windows」「macOS」「Linux」「Android」「iOS」など幅広いOSで利用できる。1サブスクリプション当たり最大8台まで同時接続が可能だ。ExpressVPNは、以下の機能も備えている。
- スプリットトンネリング
- VPN接続が必要な通信のみを保護する機能。
- トラッカーの遮断
- トラッカー(トラッキングスクリプト)は、Webサイトを訪問したエンドユーザーの行動について情報を収集する機能。
- キルスイッチ
- VPN接続が不意に切断された場合、情報漏えいを防ぐためにインターネットへの接続を自動的に切断する機能。
- IPアドレスのマスキング
- エンドユーザーのIPアドレスを隠して匿名性を高める機能。
3.Nordsecの「NordLayer」
クラウドVPNの選択肢として、Nordsec(Nord Securityの名称で事業展開)のNordLayerがある。NordLayerはVPNに加えて、ネットワークを起点とする脅威に対する高度な保護機能を提供する。
契約するプランによっては、以下を利用可能だ。
- スプリットトンネリング
- 専用の固定IPアドレスの取得
- IP許可リスト
- アクセスを許可する特定のIPアドレスをリスト化する機能。
- DNSフィルタリング
- DNSを利用して、特定のドメインへのアクセスを遮断する機能。
- 多要素認証(MFA)
- シングルサインオン(SSO)
- Always On VPN
- デバイスがインターネットに接続している限り、常にVPNに接続する。
NordLayerのサーバは、最大1Gbpsの通信速度を実現可能だ。NordLayerは30カ国以上に仮想ゲートウェイを設置している。Android、Windows、macOS、Linux、iOS向けのVPNクライアントも用意している。NordLayerの利用対象外の機器でも、仮想ゲートウェイと組み合わせることでVPNサービスを利用可能だ。
4.Protonの「Proton VPN」
Proton VPNは個人と企業の両方が利用できるサービスだ。企業向けの「Proton VPN for Business」は、中小企業や大企業とさまざまな規模の企業向けにプランを提供している。
ProtonVPNのサーバは、最大10Gbpsの通信速度を実現可能だ。120カ国以上に仮想ゲートウェイを設置している。Android、Windows、macOS、Linux、iOS向けのVPNクライアントも用意している。
Proton VPNは以下の機能を備えている。
- DNS漏えいの防止
- DNS漏えいは、DNSサーバに対するIPアドレス特定のリクエストが、VPNを介さずに誤って通常のインターネット接続を通じて送信されてしまうこと。
- キルスイッチ
- スプリットトンネリング
- 専用IPアドレスの付与
次回は、VPN導入のための7ステップを紹介する。
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