TCP、UDPの違いとDNS【前編】
「TCP」と「UDP」の違いとは? DNSに学ぶ“プロトコルの基礎”
TCPとUDPはネットワーク通信の基本プロトコルだ。多くのサービスはどちらか一方を使うが、DNSは例外的に両方を使い分ける。まずTCPとUDPの違いを押さえておこう。
ネットワークの運用に欠かせない基礎知識の一つとして、トランスポート層(OSI参照モデルの第4層)のプロトコルである「TCP」(Transmission Control Protocol)と、「UDP」(User Datagram Protocol)がある。多くのサービスではどちらか一方のプロトコルが使われるが、インターネット上でドメイン名とIPアドレスを対応付ける仕組みである「DNS」(Domain Name System)では、TCPとUDPの両方が使い分けられる。
DNSがなぜTCPとUDPの両方を使用するのかを理解するには、まずは基本となるTCPとUDPの通信の違いを押さえておく必要がある。本稿はネットワークサービスを識別する「ポート番号」の役割と併せて、TCPとUDPの違いを解説する。
トランスポート層プロトコル「TCP」と「UDP」の違い
TCPとUDPは、どちらもトランスポート層に属するプロトコルだ。TCPは通信の開始から終了まで接続を維持する「コネクション型」であり、UDPは接続を確立せずにデータを送る「コネクションレス型」で通信を制御する。
TCP
TCPは送信元と送信先の間で接続を確立し、データのやりとりを管理する。この接続があることでパケットの欠落を検出し、必要に応じてデータを再送信できる。送信した全てのデータが受信されることを保証するので、TCPの通信は信頼性が高い。
ただし、この信頼性を確保するには負荷がかかる。TCPのパケットはヘッダが比較的大きく、接続確立やデータ完全性の確認といった処理でオーバーヘッド(余分な処理負荷)が発生する。それでも、このレベルの信頼性は、多くのネットワーク通信において欠かせない要素だ。
TCPを利用して動作するプロトコルには、メールを送信するためのプロトコル「SMTP」(Simple Mail Transfer Protocol)や、Webページの情報を送受信するためのプロトコル「HTTP」(Hypertext Transfer Protocol)がある。
UDP
UDPはベストエフォート型のプロトコルだ。このプロトコルは、情報を確実に届けるための接続を維持せずにデータを送信する。そのため失われたパケットの再送のような信頼性を高める保証はないが、処理が軽く高速に通信できるという利点がある。
現代のネットワークは比較的信頼性が高いため、ほとんどのデータは送信先に到着する。UDPは特に通信の速さが必要な用途で有用だ。
軽量なファイル転送プロトコルである「TFTP」(Trivial File Transfer Protocol)は、UDPによるコネクションレス型通信を利用する。設定ファイルやブートイメージ(コンピュータの起動に必要なプログラム)など、小さなファイルをネットワーク機器間でやりとりする用途に使われる。
ポートの概要
併せて読みたいお薦め記事
ポート番号の基本を押さえる
コンピュータは、まずIPアドレスで通信相手を特定する。さらにネットワークでは、その相手の中のどのアプリケーションやサービスにデータを渡すのかを、「ポート番号」という数字で識別している。例えば、HTTPは「ポート80」を使用し、HTTPに暗号化機能を追加した「HTTPS」(Hypertext Transfer Protocol Secure)は「ポート443」を使用する。
一般的なポートと、それに関連するトランスポート層プロトコルおよびサービス名を以下に挙げる。
- ポート22/TCP:SSH(Secure Shell)
- SSHは暗号化されたリモートログインやコマンド実行のためのプロトコル。
- ポート67/UDP、ポート68/UDP:DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)
- DHCPはIPアドレスやDNSサーバ情報などのネットワーク設定を自動配布する仕組み。
- ポート69/UDP:TFTP
- TFTPは軽量なファイル転送プロトコル。
- ポート80/TCP:HTTP
- HTTPはWebページや関連データを転送するためのプロトコル。
- ポート443/TCP:HTTPS
- HTTPSはHTTP通信を暗号化するプロトコル。
- ポート123/UDP:NTP(Network Time Protocol)
- NTPはネットワーク機器やPCの時刻を同期するためのプロトコル。
- ポート445/TCP:SMB(Server Message Block)
- SMBはOS「Windows」でのファイル共有やプリンタ共有など、ネットワーク上のリソース共有に使われるプロトコル。
- ポート3389/TCP:RDP(Remote Desktop Protocol)
- RDPはWindowsのリモートデスクトップ接続で画面や入力を転送するためのプロトコル。
こうしてTCPとUDPのいずれかを使用することが多い中で、DNSはポート53/TCPとポート53/UDPの両方を使用するという点で際立っている。
次回の後編では、DNSがなぜTCPとUDPの両方を使用するのかを解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的な家電メーカーが実践する「クリエイティブプロセス効率化」の方法とは? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的テクノロジー企業に学ぶ、プロセス標準化とプロジェクト納品自動化の秘訣 -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソニー・ピクチャーズ テレビジョンに学ぶ、次世代サービスデリバリーのヒント -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソミック石川に学ぶ、ICT浸透後に直面した「工数管理」の課題と解決策
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
2
「企業内サーバ環境の利用実態」に関するアンケート
-
3
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
4
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
5
エンジニアが選考を辞退する本当の理由 7割が隠す“面接の違和感”とは
-
6
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
7
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
8
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
-
9
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
10
AWS障害でも補償ゼロの衝撃 サイバー保険で情シスが見落とす「細則の壁」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
4
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
-
9
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
10
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー