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そのBCPは“テレワーク用”になっているか? オフィス前提からの見直しガイド:テレワークにおけるBCP【後編】
従業員がオフィスに集う前提の事業継続計画(BCP)は、時代遅れになっている可能性がある。古くなったBCPを、テレワークをはじめ多様な働き方に合わせて刷新するための、具体的な見直しポイントを解説する。
主要な働き方としてテレワークは定着したものの、事業継続計画(BCP)がこの変化に順応できておらず、従業員がオフィスに出社することを前提とした古い内容のまま放置しているケースが散見される。こうした“時代遅れ”のBCPは、災害やシステム障害といった不測の事態において、企業が機能不全に陥るリスクをはらんでいる。
テレワークを考慮した、真に実効性のあるBCPを策定するには、多角的な視点から自社の体制を点検し、具体的なアクションプランに落とし込むことが重要だ。そのための具体的な考慮点と手順を紹介する。
「テレワークでもOK」なBCPを策定する手順
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連載:テレワークにおけるBCP
テレワーク時に役立つ事業継続支援
テレワーカーを対象としたBCPを策定する際は、以下の点を考慮するとよい。
プロセスと戦略
- 既存のBCPを見直し、テレワーカーの業務や手順を計画に組み込む方法を検討する。あるいは、テレワークに特化した別の計画が必要かどうかを判断する
- BIAとリスクアセスメントを実施し、テレワークに伴う課題を特定する
- テレワーカーの配置が財務に与える影響を分析する
- 大規模な事業中断が発生し、主要なオフィスでの業務が困難になった場合に、企業が取り得る戦略を決定する
IT
- ネットワークの通信路容量(帯域幅)、VPN(仮想プライベートネットワーク)、サイバー攻撃からの保護、テレワーク用ハードウェアなど、テレワーカーに関連する技術的な課題を調査する
- IT部門が、テレワーカーに関連するあらゆる技術やセキュリティ対策の最新情報を常に把握している状態を維持する
- IT部門が、リモートネットワークや社内システムへのアクセス時のセキュリティを定期的にテストする
- リモートアクセスのセキュリティ確保手順、社内システムへのアクセス方法、定期的なデータバックアップの実行方法といった項目について、従業員研修を実施する
- 技術面の災害復旧(DR)計画を拡張し、リモートアクセスに関する項目を追加する
- リモートアクセス用システムの復旧能力をテストする
人事と組織体制
- 事業継続の担当者と人事部門が緊密に連携し、テレワークで対処すべき管理上および人事上の課題を明確にする
- 管理部門のスタッフに対して、新たにテレワーカーになった従業員との関わり方(会議設定、人事評価など)の研修を実施する
- ヘルプデスクの担当者が、テレワーカーからの問い合わせや障害報告の増加に対処できるよう、十分な研修を受けていることを確認する
- 事業継続計画を定期的にテストし、可能であればテレワークのシナリオも盛り込む。もしテレワークに特化した計画を別途策定した場合は、その計画を適切に管理、見直し、更新する
- 従業員がテレワークに移行したりオフィス勤務に復帰したりする際は、人事部門が中心になって従業員のメンタルヘルスに配慮する
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。