AI時代の巨大データセンター その“食欲”はどこまで許されるのか?:データセンターが求める資源【前編】
AIの普及を背景にシステムの大規模化が進み、データセンターが求める土地と電力が大きく増えている。実際にどのくらい増加しているかを、数字を見て考えよう。
データセンターはさまざまなIT機器を収容し運用するために、「土地」と「電力」を必要とする。近年、AIの利用が広がっている中、データセンターの拡張や新設が相次ぎ、土地と電力の需要はさらに高まりつつある。データセンターは実際に、どのくらいの土地と電力を必要としているのか。
データセンターが求める資源を数字で見る
1990年代、インターネットの普及によってデータセンターの需要が本格的に増え、オフィスビル改装などで新しいデータセンターが相次いで生まれた。
データセンターサービスを手掛けるStream Data Centersによると、1990年代のデータセンターは消費電力1〜2メガワットに相当するシステム容量だった。現在ではシステムの大規模化や複雑化によって、消費電力40メガワット以上のデータセンターが珍しくないと同社は説明する。データセンターは高まる電力需要を受け、施設内に高電圧電線や変電所といった設備を設けるようになり、求める土地も増えた。
コンサルティング会社McKinsey & Companyによると、サーバラック当たりの平均電力密度は2022年、8キロワットだったが、2024年には17キロワットに増えた。AIの急速な普及が主な原因だという。2027年までには、サーバラック当たりの平均電力密度が30キロワットに上昇すると同社は見込んでいる。
データセンターには基本、少なくとも10エーカー(1エーカーは約4050平方メートル)の土地が必要だとみられる。近年の平均的なデータセンターだと、40エーカーの土地を占有することが一般的だ。調査会社Statistaによれば、2025年3月の時点で、世界には約1万件のデータセンターが存在している。各データセンターが40エーカーを占有していると仮定すると、推定総土地利用は40万エーカーになる。
不動産サービスを手掛けるCushman & Wakefieldによれば、AIの処理に最適化した「AIデータセンター」は最低でも200エーカーの土地を必要とする。AIデータセンターに関連研究施設なども組み合わせた場合、必要な土地は1000エーカーを超える可能性があると同社はみている。
後編は、データセンターによる環境への影響を考える。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。