積水化学工業が「SAP S/4HANA Cloud」の“全グループ導入”に踏み切った訳:データ経営に本腰
積水化学工業は、同社国内外約100社のグループ会社を含め、クラウドERP「SAP S/4HANA Cloud」の導入プロジェクトを推進している。SAP S/4HANA Cloudの狙いとは何か。
積水化学工業は2025年10月17日、新しい基幹システムとしてSAPのクラウドERP「SAP S/4HANA Cloud」を採用し、2025年4月に会計領域でのシステム運用を開始したと発表した。今後、SAP S/4HANA Cloudの利用を、積水化学工業の国内外約100社のグループ会社に広げる。同社はなぜ、SAP S/4HANA Cloudの導入を決めたのか。
SAP Business Technology Platformも採用 AIを活用しやすく
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SAP S/4HANAの知識を深めるには
積水化学工業はSAP S/4HANA Cloudの導入によって、さまざまなデータを分析しやすいインフラを構築し、データ分析に基づいた経営判断の高速化を目指すと説明している。SAP S/4HANA Cloudを用いた基幹システム刷新プロジェクトのシステム構築は富士通が手掛ける。積水化学工業は今後、会計に加え、SAP S/4HANA Cloudを販売管理や購買管理の領域でも活用し、統一基盤によるデータの一元管理を目指すという。
SAP S/4HANA Cloudの導入に当たり、積水化学工業は「SAP Business Technology Platform」も採用した。SAP Business Technology Platformは生成AIの開発機能やデータ分析の自動化といった機能を備えたマルチクラウドプラットフォームだ。
AIも取り入れた、データ分析による経営改革を巡って、IT専門家はインフラ構築の重要性を強調している。2025年10月に公開されたシスコシステムズの調査によると、特に日本企業ではインフラが十分に整っていないことがAI本格利用の障壁になっている。積水化学工業のように、基幹システムの刷新を機にデータ経営のための強固なインフラを築くことが、企業のAI戦略の鍵を握っていると言える。
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