AI投資は短期で回収できるという謎の自信? KPMG調査で明らかに:予算の10〜20%をAI予算に
KPMG Internationalは経済やビジネスの展望に関する今後3年間の見通しをまとめた年次レポート「KPMG 2025 Global CEO Outlook」を発表した。同レポートからは、AI投資でのROIの達成を「1〜3年以内」に見込むCEOが増加したことが分かった。
KPMG Internationalは2025年10月6日(中央ヨーロッパ時間)、経済やビジネスの展望に関する今後3年間の見通しをまとめた年次レポート「KPMG 2025 Global CEO Outlook」を発表した。同レポートは、2025年8月5日〜9月10日、11カ国の年間売上高5億米ドル以上の企業に勤めるCEO1350人を対象に実施した調査結果に基づく。
AI投資は短期で回収できるように?
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ROIを達成する鍵は?
調査では、回答者の71%は人工知能(AI)を最優先の投資分野に位置付けており、69%の回答者が予算の10〜20%をAIに充てる計画であると答えた。AI投資に対する期待は高く、回答者の67%は「1〜3年」以内に投資利益率(ROI)を達成すると見込んでいることが分かった。2024年の調査では回答者の63%が「3〜5年」以内にROIを達成すると答えており、1年間で期間が短縮していることが分かる。これについてKPMG Internationalのスティーブ・チェイス氏(AI、デジタルイノベーション部門グローバルヘッド)は、「CEOはAIへの投資に自信を持ちつつある」と指摘する。その理由として、「AIエージェントの登場により、AIがもたらす価値や効果が可視化されるようになっただけでなく、その効果を短期間かつ広範囲にユーザーが享受しやすくなったため」と分析している。
AIの急速な普及に企業は追い付けているのか。調査によると、回答者の74%は、「自社はAIの進化に追随できる」と自信を示し、89%は「ビジネスの成長を促進するために、高度な技術を導入する体制を取締役会が主導できる体制にある」と回答した。チェイス氏はこれらの回答に対して、「AIはもはや実験段階を超え、経営戦略の中核にある」と述べている。
その一方で、AI導入に伴う課題も浮き彫りになった。乗り越えるべき重要な課題として上がったのは、「倫理問題」(59%)、「データの準備不足」(52%)、「AIを安全かつ効果的に使うための法整備の速度が技術の発展に追い付いていないため、企業の成長やAIの活用が妨げられる可能性がある」(69%)だった。
AIと人材獲得競争
人材面では、AIスキルを持つ人材の確保が企業の関心事であることが調査から明らかになった。回答者の77%は、「AIに対応できる人材の準備とスキル向上が、今後3年間の企業の成長に影響する」と答え、70%は「AI人材の獲得競争が企業の成長制約になる」と回答している。
AI人材を充足させるための取り組みについて聞いたところ、回答者の79%は「高い潜在能力を持つ人材の維持と再教育」に注力し、61%は「AIや広範な技術スキルを持つ新たな人材の採用」に取り組んでいると答えた。
ただし、人材の獲得には課題もある。回答者の63%は、「AIの活用が企業文化に与える影響」を懸念しており、33%は、「一部の従業員が新技術の導入や変化への適応に消極的である」と答えた。
KPMG Internationalのサンディ・トルキア氏(グローバル人材部門共同責任者)は、「AIの成功は人にかかっている。テクノロジーの導入だけでなく、文化的な変革への理解と支援が必要だ」と強調した。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。