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“使いにくい”が離職理由に? Z世代も使いやすいUCツール選びの6ポイントZ世代に合わせたUCツール【後編】

Z世代の就職は、UCツールの購買戦略に大きな転換を迫っている。単に新しい機能を導入するだけではなく、彼らの価値観に寄り添った戦略的な選定が不可欠だ。変化するニーズを見据えた選定ポイントとは。

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 労働市場の主役となりつつあるZ世代(1990年代半ば〜2010年ごろに生まれた世代)は、チャットツールを好み、ビジュアルコミュニケーションを重視するなど、旧来の世代とは異なる働き方や価値観を持つ。彼らの登場は、企業が導入するUC(ユニファイドコミュニケーション)ツールの在り方を根本から問い直すものだ。若手社員のエンゲージメントを高め、企業全体の生産性を向上させるUCツールの選定戦略を解説する。

UCツール選定の“新常識”6つ

 これまでのUCツール選定は、1960年代半ばから1970年代に生まれた「X世代」や、1980年代前半から1990年代半ばに生まれた「ミレニアル世代」を主な対象としてきた。しかし、デジタルネイティブであるZ世代の登場によって、その基準は崩れつつある。IT担当者は、この変化を踏まえて、ベンダーを慎重に選定することが重要だ。Z世代のニーズに応えるUCツールを評価する上で、重視すべきポイントを以下に挙げる。

ポイント1.自由度の高さ

 単一のUCツールに依存するのではなく、テレワーク用の機能を搭載した、複数ベンダーの製品を組み合わせることを検討すべきだ。多様なビジネスツールやCRM(顧客関係管理)システム、AI(人工知能)アプリケーションと連携できるUCツールの組み合わせは、Z世代のエンゲージメントを維持する上で役立つ。

 さまざまなツールとの連携は、リアルタイムでの共同作業やインスタントメッセージングを促す。デスクトップ版とモバイル版で機能やユーザー体験(UX)に一貫性を持たせることも重要だ。連携性がないUCツールは、Z世代の従業員が他のツールに乗り換える原因になり得る。

ポイント2.迅速なセットアップ

 「YouTube」「Instagram」といった動画共有サービスの短尺動画に慣れ親しんだZ世代は、注意を持続させる時間が短い傾向にある。そのため、UCツールには、1クリックで完了する簡単な初期設定が求められる。セキュリティは重要だが、過度な認証プロセスがあると従業員が利用をためらう可能性がある。エンドツーエンドの暗号化(エンドポイントから他のエンドポイントまでの通信を暗号化する手法)といったセキュリティ対策を確保しつつも、応答性が高く、できるだけ簡単に使える製品を選ぶことが重要だ。

ポイント3.ビジュアル表現の豊かさ

 Z世代はInstagramやショート動画共有サービス「TikTok」といった、ビジュアル中心のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)に慣れ親しんでいる一方、文字だけのコミュニケーションには物足りなさを感じることがある。ビデオ通話や音声通話、絵文字、GIF画像、スタンプ、ステータス表示など、ニュアンスを豊かに表現できるコミュニケーション機能があることが望ましい。

ポイント4.AI機能の搭載

 自身の業務プロセスを効率化することに意欲を見せるZ世代は、生成AIやAIアシスタントといったAI機能を活用し、生産性の向上やコミュニケーションの効率化を図る。こうしたニーズを満たすために、AI機能を搭載したUCツールを選ぶとよい。

ポイント5.フリーランサーとの連携

 Z世代はフリーランサーとして働きたいという志向が強いとの見方がある。彼らが企業の意思決定者になった場合、社外のフリーランサーや代理店と協業する機会が生まれると考えられる。それを踏まえて、社外関係者がWeb会議にゲストとして参加できる機能など、フリーランサーとの共同作業を円滑に進めるための機能がUCツールには求められる。

ポイント6.環境への配慮

 サステナビリティー(持続可能性)や企業の倫理的な取り組み、ワークライフバランスに関心を示すZ世代には、環境に配慮したUCツールは魅力的に映る。環境への配慮を前面に打ち出したベンダーの製品を選ぶことは、Z世代の共感を得る上で有効なアプローチだ。


 IT担当者はZ世代のためだけにUCツールを選ぶわけではないが、Z世代からの評価はツールの導入成否に大きく影響する。Z世代が好む非公式なコミュニケーションやAI技術の活用は、共同作業の在り方を変え、UCツールの選定戦略にも影響を及ぼすだろう。もちろん、セキュリティやプライバシー、データの整合性といった基本的な要件も忘れてはならない。最新機能と従来機能のバランスを取ることも重要な検討事項だ。

 ビジネスで使われるコミュニケーションツールの在り方は、今後も新たな世代が社会に出るたびに変化し続ける。今日、「Slack」やTikTokを自在に使いこなしている従業員も、いずれは次世代の技術の使い方に悩む立場になるはずだ。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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