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情シスの7割を疲弊させる「同じ質問地獄」 AIチャットbotに何を期待する?8割がAI導入に前向き

中小企業の情シス担当者は戦略的な業務のための時間不足を実感しており、特に同じ質問に忙殺されていることが調査で明らかになった。この状況を打破するために、情シス担当者が期待を寄せることは何か。

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業務改善 | チャットbot | IT部門


 情報システム担当者は、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の主役と期待されながらも、足元の課題に忙殺されている。ネットワーク事業を運営するソニービズネットワークスが、2025年8月に中小企業の情報システム担当者108人を対象として実施した調査で、その実態が明らかになった。問題は問い合わせの件数だけではない。その「質」、つまり何度も繰り返される同じような質問が、担当者の疲弊と企業全体の生産性停滞を招いているという。

8割がAIチャットbot導入に前向き その狙いは?

 調査によると、1日に寄せられる社内からの問い合わせ件数を「30件以上」と答えた回答者は46.2%に上り、業務負荷の高さがうかがえる。その結果、IT分野の戦略企画やセキュリティ強化、DX推進といった本来注力すべき「戦略的業務」に充てる時間が不足していると感じるかという質問に対し、「非常にそう思う」「ややそう思う」と答えた回答者は合計84.3%を占めた。

 72.3%の回答者は週に1回以上、過去に回答した内容と同じ問い合わせを受けているという結果も示された。一度解決したはずの問題が企業のナレッジとして定着せず、その都度、情報システム部門が個別に応対している現状を示している。この現状は、「あなたが1週間不在を担った場合、他のメンバーが代行できる問い合わせ対応の範囲はどれくらいか」という質問に対して、「ほとんど対応できない」または「半分も対応できない」と答えた回答者が39.8%いたことからも分かる。担当者自身が不在の場合に他のメンバーが応対できる範囲は限定的で、組織的な知識共有に課題があるのが現状だ。

 こうした課題を解決する手段として、AI(人工知能)技術を組み込んだ「AIチャットbot」に期待が寄せられている。82.5%の回答者が、社内問い合わせ対応を効率化できるAIチャットbotの導入に前向きな意向を示した。導入したい理由として最も多かったのは「戦略的業務に充てる時間を増やしたい」(67.4%)、次いで「ナレッジを蓄積・共有したい」(48.3%)だった。定型的な問い合わせを自動化することで本来の業務に集中したいという願いが見て取れる。

 AIチャットbotに求める機能としては、「簡単な質問は自動対応し、複雑な案件のみ窓口担当者にツール内でエスカレーションできる」が49.1%で最多だった。これは単に問い合わせ対応を自動化するだけではなく、人とAIチャットbotが連携し、効率的に問題を解決する仕組みへの期待の表れだと言える。

 問い合わせ対応の自動化は、守りの業務からの脱却を意味する。創出された時間を「攻めのIT」戦略に振り向けることができれば、情報システム部門は“真のDX推進役”へと変貌を遂げるはずだ。その第一歩は、目下の非効率な業務の効率化にある。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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