なぜITプロジェクトは燃えるのか? 66%が直面する失敗の“本当の原因”:炎上の真因は「上流工程」にあり
スケジュール遅延や品質トラブルなど、ITプロジェクトに失敗は付き物だ。調査によると、その原因はエンジニアの技術不足ではなく、開発フェーズ以前に潜む根深い構造的問題にある。炎上を防ぐための条件とは。
DX(デジタルトランスフォーメーション)推進やアプリケーション内製化の潮流の中で、ITプロジェクトの難易度は高まっている。社会人教育サービスを手掛けるEdWorksは2025年11月、情報通信業に従事する技術系人材1003人を対象に調査を実施した。
調査によると、過去のプロジェクトにおいてスケジュール遅延、品質問題、コスト超過といったいずれかの形で「失敗」(炎上)を経験した割合は66%に達した。多くのプロジェクトが、開発やテストといった実行段階でトラブルに見舞われているのが現状だ。
だがトラブルが表面化するフェーズと、その「根本原因」が潜んでいるフェーズは必ずしも一致しない。今回の調査データを詳細に分析すると、エンジニアの技術力不足だけでは説明がつかない、プロジェクト構造上の課題が浮き彫りになった。
技術力よりも大事なスキルとは?
調査では、炎上を防ぐためにエンジニアに最も求められるスキルを尋ねた。結果は「コミュニケーション力」が38%でトップになり、「問題解決力」が34%で続いた。一方で「技術力」を挙げた回答者は13%にとどまった。これはプロジェクトの成否を分ける要因が、コーディング能力そのものよりも関係者との合意形成や課題設定の質にあることを示唆している。
特筆すべき点は、問題の原因が「開発フェーズ」にあると回答した層であっても、その予防策として「技術力」を選んだ人は27%に過ぎなかった点だ。回答者はここでも「問題解決力」(36%)の方を重視していた。技術的なトラブルであっても、その背景には技術以外の複合的な要因が絡んでいることが多いことが推察される。
フェーズ別の分析では、要件定義や設計といった上流工程での失敗ほど、コミュニケーション力や問題解決力が重視される傾向が見られた。逆にテストやリリースといった後工程に進むほど、チームワークの重要性が高い。
技術革新のスピードが速いIT業界でプロジェクトを成功に導くためには、最新技術の習得以上に、関係者との対話や論理的な問題解決といった「ソフトスキル」の向上が不可欠だと言える。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。