「WSUS」更新終了で迫られる決断 8割が選んだ“本命”移行先ツールとは?:4割が「開発終了」を知らず
MicrosoftがWSUSの開発終了を発表したが、現場の認知は十分とは言えない。更新管理の遅れは、セキュリティリスクや業務停止を招く恐れがある。多くの企業が次の手段として選んだ、現実的な「移行先」とは何か。
Microsoftは2024年9月、Windows標準の更新管理機能「Windows Server Update Services」(WSUS)の開発終了を発表した。この発表は、将来的にWSUSを使用することは非推奨になり、機能追加も見込めなくなることを意味する重大な転換点だった。
しかし、現場の危機感は意外なほど薄い。ソフトウェアベンダーのハンモックは2025年9月、情報システム部門に所属する500人を対象として、WSUSの利用状況とWindowsの更新管理に関する実態調査を実施した。それによると、約4割の回答者がWSUSの開発終了事実を「知らなかった」と回答した。この“認知の遅れ”は、サイバー攻撃の格好の的になりかねない懸念材料だ。
その一方で、リスクをいち早く察知した企業は、すでにWSUSに見切りをつけて動き出している。約8割の企業が移行先として選んだ“本命”ツールとは何か。オンプレミスでの運用継続ではなく、クラウド型管理ツールへとかじを切っている理由は。
圧倒的支持を得た移行先とは?
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WSUS終了後の運用方針について、すでに代替手段への移行を進めている、あるいは検討中の層は約7割を占める。具体的な移行先の検討状況(複数回答可)では、MDM(モバイルデバイス管理)ツール「Microsoft Intune」が78.9%と圧倒的多数を占めた。次いで「サードパーティー製ツール」が43.7%、「Microsoft Configuration Manager」(MCM、旧SCCM/MECM。調査では「SCCM」と表記)が38.0%と続く。更新プログラム「Windows Update」の運用を自動化する「Windows Autopatch」(調査では「Azure Autopatch」と表記)の利用検討も35.2%に上り、クラウドネイティブな管理手法への関心の高さがうかがえる。
更新管理ツールの形態は、オンプレミス型よりもクラウド型が主流になりつつある。その選定理由として「サーバ運用コストの削減」が88.0%に達し、決定的な要因となった。「自動更新・パッチ配布の運用の簡易さ」(68.0%)や「遠隔拠点/リモート端末の管理しやすさ」(64.0%)も重視されている。テレワークとオフィスワークを組み合わせたハイブリッドワークが定着する中、VPN(仮想プライベートネットワーク)に依存せず、インターネット経由で端末を制御できる点が評価されていることが読み取れる。
現場が抱える課題感も浮かび上がった。更新管理の不備による業務影響として、「端末の再起動や更新待ちでの作業中断」(22.8%)、「アプリケーションの不具合」(21.2%)、「ネットワーク障害」(20.4%)などが挙がった。更新管理の不備がセキュリティリスクだけではなく、日常的な業務の中断やシステムの不具合といった、目に見える形で生産性に悪影響を及ぼしている実態が分かる。
これらの課題意識を反映し、今後の管理体制で重視する点の上位には「自動化の強化」(27.8%)や「リモート端末の更新管理」(24.8%)、「適用状況の可視化」(20.0%)といった施策に意欲を示す回答が目立った。単なるパッチ(修正プログラム)適用にとどまらず、IT資産管理やMDMの機能を統合し、運用工数を最小化できるツールがますます重要になっている。
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