検索
ニュース

若手エンジニアは「年収減」でも理想の職場を選ぶ 出社を強制する企業への警告採用費の無駄遣いを防ぐ定着の鍵は?

深刻なIT人材不足の中で進める「出社回帰」は、企業に致命傷をもたらし得る。若手エンジニアの約4割が「年収減でも理想の職場を選ぶ」事実を基に、現場の疲弊を防ぎ、優秀な人材を定着させるヒントを提示する。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

関連キーワード

人事 | 在宅勤務


 深刻なIT人材不足の中、企業は優秀なエンジニアの確保に奔走している。一方で、苦労して採用した若手エンジニアが数年で離職してしまうケースは後を絶たない。給与水準は他社と遜色ないはずなのに、なぜ辞めてしまうのか――。その問いに対する答えは、給与以外の要件にある可能性がある。

 IT人材事業を展開するキッカケクリエイションは、2025年10月26日から10月31日にかけて、正社員として勤務する20〜30代の現役ITエンジニア375人を対象に「ITエンジニアが本当に欲しい福利厚生調査」を実施した。調査の結果、回答者の7割以上が「福利厚生制度の充実は仕事のモチベーションやパフォーマンス向上につながっている」と実感していることが明らかになった。現在の制度に満足している層が約6割を占める一方で、不満を持つ層の多くが、制度が改善されれば長く働き続けたいという意向を示している。

 この結果は、福利厚生が単なる従業員への付加価値にとどまらず、エンジニアの離職を防ぎ、企業に引き留める要因として機能している実態を浮き彫りにしている。若手エンジニアが本当に求めている「刺さる」福利厚生とは何か。エンジニアの心をつかむ福利厚生には、単なる金銭的補助にとどまらない、幾つかの明確な特徴と傾向がある。

約4割が考える、「年収減」を許容してでも手に入れたいもの

 エンジニアが「あればうれしい」「転職先を選ぶ際の決め手になる」と考える福利厚生のトップは「リモートワーク、在宅勤務制度」(51.5%)だった。次いで「フレックスタイム制度」(43.2%)、「住宅手当・家賃補助」(38.9%)が続いている。

 現在の勤務先で利用している制度としてもテレワークが最多となっており、働く場所や時間を自ら選択できる自由度の高さが、エンジニアのニーズの中核にあることが分かる。満員電車での通勤による疲労を軽減し、業務への集中力を高める仕組みが、結果として組織全体の生産性向上につながっていると推測できる。

理想の就業条件のためなら「年収減」も許容

 注目したいのは、理想の福利厚生が受けられるのであれば、約4割のエンジニアが「年収が下がってもよい」と回答している点だ。具体的には「10万円程度なら下がってもよい」(18.0%)、「50万円程度なら下がってもよい」(13.7%)といった声が上がった。

 これは、一定の経済的対価を支払ってでも、心身への負担軽減や私生活を充実させるための仕組みを優先したいという、働く個人の価値観の大きな変化を示している。給与の高さだけでは優秀な人材を引き留めることが難しい時代になっていると言える。

制度の「数」よりも「ニーズへの合致」が問われる

 現在勤務している企業の福利厚生に不満を感じている層に対しその理由を尋ねたところ、「そもそも制度が少ない」(61.7%)という根本的な課題が最も多かった。しかし同時に、「制度の内容が自分のニーズに合っていない」(29.3%)、「自分にとって不要または生かし切れないと感じる」といった、制度と実態のギャップを指摘する意見も寄せられた。「各種補助が年々減額されている」という不満も存在し、既存の制度を形骸化させずに維持する難しさも露呈している。

 一方で、自由回答の中には、「推し活補助」や「月に1回のマッサージを受けられる」といったユニークな制度を挙げる声もあった。画一的な支援策を並べるだけではなく、個人の多様なライフスタイルに寄り添ったきめ細かな支援が、自社への愛着を高める要因として評価されている実態がうかがえる。

今後の展望

 これからの企業は、他社の模倣で単に制度の種類を増やすだけでは不十分だ。自社で働くエンジニアが直面している課題や求めている条件を的確に把握し、働き方の多様性を尊重した制度と、実質的な経済支援のバランスが取れた独自の制度設計を行うことが求められる。制度を導入するだけでなく、誰もが気兼ねなく利用しやすい職場の雰囲気を作ることが不可欠だ。多様化する個人の声に誠実に応える組織文化こそが、結果として人材の定着率を高め、企業の持続的な成長を実現する強力な推進力になるだろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

ページトップに戻る