新日本プロレスが陥った“手作業の限界” 「3人情シス」のSaaS管理立て直し術:止まらないSaaS値上げとシャドーIT
企業におけるSaaSの利用状況やアカウント管理がブラックボックス化するケースが後を絶たない。新日本プロレスは、わずか3人の担当者による手作業管理の限界に直面していた。この危機をどう脱したのか。
国内外で年間約150回の興行を運営し、公式動画配信サービス「NJPW WORLD」やグッズ展開など多角的に事業を推進する新日本プロレスリング。同社は親会社であるブシロードと連携し、業務の迅速化に向けてSaaS(Software as a Service)の利用を積極的に進めてきた。
しかし、利用するSaaSが多様化するにつれ、バックオフィスに新たな課題が浮上した。アカウントの管理をはじめ、管理用スプレッドシートの手作業によるメンテナンス、契約更新時におけるアカウントの棚卸しや相見積もりの取得といった付随業務が急増したのだ。新日本プロレスのシステム担当は3人体制であり、これらの手作業が担当者の貴重な人手と時間を奪っていた。
この状況を打開するため、新日本プロレスはマネーフォワードiが提供するSaaS管理システム「マネーフォワード Admina」の導入を決定した。属人化しやすい管理業務を一元化し、戦略的なIT業務に注力するための環境を整える構えだ。少数精鋭のチームはいかにして煩雑なSaaS管理を乗り越え、IT費用の適正化という次なる成長課題に挑むのだろうか。
3人で挑むスプレッドシートからの脱却
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アカウント管理の効率化
新日本プロレスが直面していたのは、企業のクラウド移行期にありがちな「SaaS管理のサイロ化」という課題だ。部門ごとに導入されたSaaSのアカウント情報や利用状況をスプレッドシートで手動管理する手法では、従業員の入退社や異動のたびに更新作業が発生する。この作業漏れは不要なアカウントへの継続的な課金や、情報の持ち出しなどの内部不正リスクに直結する。
マネーフォワード Adminaは、社内で利用されている各種SaaSの情報だけではなく、PCやスマートフォンといったデバイスに関する割り当てや在庫管理を一元的に管理できる。各システムとデバイスの情報を従業員情報とひも付けて一元管理可能だ。
これによって、各ツールの利用状況やハードウェアの貸与状況をリアルタイムで可視化する。入退社に伴うアカウントの付与や削除といった作業が効率化、自動化されるため、これまでシステム担当者が手作業で実施していた集計、更新の手間の解消が期待できる。新日本プロレスリングの経営企画部システムセクションで導入担当チームの責任者を務める小川氏は、今回のシステム導入によって「手間がかかる集計作業をなくし、正確なIT資産管理を実現する」と評価している。
SaaS値上げトレンドへの対抗策
新日本プロレスがもう一つの重要な選定理由として挙げたのが「費用の適正化」だ。
近年、SaaSベンダーによる価格改定が相次いでおり、企業においてIT費用の増加が経営課題になっている。利用状況が不透明なままでは、無駄な支出を抑えることが難しい。
新日本プロレスは今回、マネーフォワード Adminaと併せて「Admina Vendorプラン」を採用している。同プランは、コンサルティングサービスを活用し、SaaSの適切な選定や契約管理の提案を受けることができる仕組みだ。知見に基づいた相見積もりの取得や、契約内容の精査を専門家に委ねることで、適正な価格での調達が可能になる。
小川氏は「近年のSaaS値上げに対する戦略的な一手が打てる」と述べており、受動的なアカウント管理から、費用最適化を見据えた能動的なIT投資管理へとかじを切ったことがうかがえる。
マネーフォワード Adminaは、企業の情報システム部門が把握していないクラウドサービスを現場が導入してしまう「シャドーIT」の検出機能も備える。親会社であるブシロードが定めるグループ会社への厳格な情報連携やセキュリティ基準を満たしつつ、3人という体制でも強固なガバナンス体制を維持できる点も導入の決定打になった。
バックオフィスの変革が事業成長を支える
デジタルプラットフォームの拡充やITを活用したオペレーション強化を進める企業において、バックオフィスのシステム整備は事業成長の前提条件となる。特に新日本プロレスのように、世界的な興行運営からデジタル配信まで多岐にわたるビジネスを展開する企業では、情報システム部門が社内システムのお守り役にとどまっていては市場の変化に追従できない。
今回のマネーフォワード Admina導入は、システム担当者を煩雑な定型業務から解放し、より戦略的なIT業務にシフトさせるための布石だ。新日本プロレスは今後、最適化されたシステム構成と少数精鋭のチーム体制を生かし、よりスピーディーなIT運営を実現する構えだ。バックオフィス業務の仕組みを根本から見直すことで、最終的には世界中のプロレスファンに対して、より魅力的なサービスを展開できる社内体制の構築を目指す。
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