相互運用性の欠如が招くコスト増と事業リスク
脱VMwareを阻む「バックアップのわな」 英Tescoが直面した移行の代償
Broadcomによる買収後、VMware脱却を急ぐ英Tescoが深刻な互換性問題に直面している。Veeamなどのバックアップ製品が代替環境で機能しない「想定外の死角」とは。移行を検討する情シスが知るべき教訓をひもとく。
英小売り大手のTescoとBroadcom・VMwareとの間で続く法的紛争は、代替ハイパーバイザーへの移行を計画するIT部門が直面する課題を浮き彫りにしている。
VMwareとの契約を巡る争いにより、Tescoは2027年までに仮想サーバ環境の全てを代替ハイパーバイザーへ置き換える決定を下した。同社は申し立てで、移行期間の設定が、運用面と事業面での懸念を生んでいると述べた。結果として「重大なコスト増と事業への混乱」を招いているという。
Tescoによると、VMwareでしか利用できなかった機能の開発や購入、相互運用性のサポートのために追加コストが発生しているという。特に同社が使用するVeeam(ヴィーム)のバックアップ製品や、Zerto(ゼルト)のデータセキュリティ製品は、現時点で他の仮想化プラットフォームとの相互運用性が不十分だという。
Broadcomは2023年11月の買収完了後、VMware製品をパッケージに統合した。さらにサブスクリプション制の価格体系も導入している。
Tescoなどの顧客は、これらの変更による悪影響を受けている。パッケージ化により、使用しない製品まで購入せざるを得なくなった。ライセンス料の高騰による価格上昇にも直面している。
Tescoの主張は、2021年に締結したVMware製品とそのサポートについての5年契約に関わるものだ。Broadcomは、元の契約で購入した製品はもはや提供していないと主張し、契約の履行を拒否した。
Tescoがどのハイパーバイザーを選択したかは法的文書では明らかではない。だが、その製品が単純に置き換え可能なものではなく、正常に稼働させるための改修作業を余儀なくされていることは明白だ。
VMwareの代替となるAHV
Broadcomによる買収後の変更を受け、Nutanix(ニュータニックス)などの企業への関心が高まっている。同社はPCサーバに代わる低コストで簡素なインフラベンダーとして地位を確立した。Nutanixは近年、KVM(Kernel-based Virtual Machine)ベースの自社ハイパーバイザー「Acropolis Hypervisor」(AHV)への移行メリットを訴求している。
サードパーティー製品のAHV認定状況について、NutanixのCEO(最高経営責任者)ラジブ・ラマスワミ氏は次のように述べた。「現在、Ciscoの製品など、1500近い製品が認定済みだ」
バックアップ製品はハイパーバイザーと深く統合するために、VMwareのAPIに依存していることが多い。Tescoが苦労したこの点についてラマスワミ氏は、VeeamやRubrik(ルーブリック)などの製品は全てNutanix認定済みだと主張する。Palo Alto NetworksやFortinet(フォーティネット)のファイアウォールも同様だという。過去10年間で、同社はAHVを中心とした技術エコシステムを構築してきた。
ラマスワミ氏によれば、Veeamは以前からAHVとの基本的な統合を実現していたが、VMware向けと比べると後れを取っていた。同氏は「今のVeeamの状況は全く異なる。彼らはNutanixとの統合レベルがVMwareと同等だと言っている」と自信を見せる。
Tescoの申し立てによると、ソフトベンダーが非VMwareプラットフォームへの統合を拡大すれば、相互運用性の問題は最終的に解決される見込みだ。だが、現時点ではそれが「進行中の作業」であることは間違いない。
Veeamのように、プラグインで深い統合を実現する製品もある。しかし現実には、ソフトベンダーがどのハイパーバイザーを認定し、どの程度の統合を提供するかについては取捨選択が避けられない。こうしたベンダーの判断は、VMwareからの移行の導入の容易さや性能に重大な影響を与える。
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