多様な人財が活躍できる環境づくりとは? 今求められる「新しい働き方」のススメ「オフィスにしばられない働き方」をITで実現

少子高齢化による労働人口減少が顕在化しつつある日本では、人財リスク対策として、ワークタイル変革が企業にとって喫緊の経営課題となっている。課題解決に向けたヒントとして、具体的な取り組みを紹介する。

2015年08月04日 10時00分 公開
[ITmedia]

 アベノミクスの「日本再興戦略」に、「働き方の改革」「働く女性支援」といった「働き方」に関る項目が挙げられていることから、今後、労働力の確保が企業の大きな課題になるという認識が広がっている。

 その背景には、少子高齢化による労働人口の減少に加えて、育児や介護による社員の離職増加などがある。企業はこのような人財リスクから逃れられないのだ。

 「うちの会社は、ワークスタイル変革に向けた取り組みは必要ない」。そう考える企業は多いかもしれない。だが、ワークスタイル変革は、一過性のトレンドや、単に社員の福利厚生のために行うものではない。今、しっかりと取り組まなければ、企業の要となる人財確保や雇用維持がままならず、生産性も低下するという悪循環に陥る危険性がある。やがてくる社会構造の変化の中で生き残っていくために必要な施策なのだ。

 では、具体的な取り組みに踏み出すには、一体どのようなポイントをおさえればいいのだろうか。

ワークスタイル変革は喫緊の経営課題

 今後、さらに少子高齢化が進み、現役労働人口が減っていく日本において、企業はいかに優れた人財を確保していけばいいのか。また、限られた人財の中で、いかに生産性を上げてビジネスを成長させていけばいいのか。ワークスタイル変革は、これらの課題への対応策と捉えられるべきだ。

 企業は、優れた人財を確保し雇用を維持すること、長時間労働を是正し時間当たりの価値創出を最大化させること、そしてそのための施策を真剣に考え、具体的な制度や仕組みを社内に根付かせていく必要がある。新たなワークスタイルを積極的に活用できるような社風を育んでいくことも肝要だ。

 では、具体的な取り組みとして、何から手を付ければいいのか。キーワードは、「オフィスにしばられない働き方」だ。確かにこれまでは、決まった時間に全社員がオフィスの自席に座り、そろって業務を遂行するようなスタイルが生産性を上げることに貢献したかもしれない。

図1 場所にしばられない働き方の実現

 しかし、今日のように育児・介護をしながら働く人が増え、価値観・生活スタイルも多様化した時代において、オフィスにしばられる働き方は優れた人財の確保や雇用維持にとってマイナスとなることも少なくない。思い切って、「いつ、どこにいても仕事ができる」環境を導入することで、さまざまな社員のニーズに応え、長く働き続けてもらえる職場が実現するのではないか。

 例えば、自宅やリモートオフィス、外出先でも仕事ができる環境を整備することで、家族のサポートや地域活動と仕事の両立を支援することができる。働く時間をフリーにすることで、これまでのようにオンタイムとオフタイムがはっきりと線引きされているような働き方ではなく、「ワーク」と「ライフ」の時間を細切れにすることで、「ワーク」と「ライフ」の時間を上手にマネジメントするようになり、時間単位の業務効率を向上させることにつながるのである。

図2 働く時間をフリーにする

 こうした時間の使い方によって、仕事の生産性を上げるだけでなく、自身の成長や価値向上につながる仕事以外の活動にも参加できるようになるかもしれない。社員個々人が人間的に成長し、そこから新たな効果が仕事にもたらされれば、仕事の質も向上するだろう。

 中には、「うちの会社には、在宅勤務やリモートワークに適した業務がない」と、新たなワークスタイルへの取り組みに関心を持たない企業もあるだろう。しかし、これは発想が逆だといわざるを得ない。「適した仕事がない」「適した仕事を作らないといけない」ではなく、そもそも新たなワークスタイルを前提として仕事を定義する必要があるのだ。

新たな働き方の具現化にはITツールの活用が不可欠

 ワークスタイルを変革するには、まずは「仕事の在り方」「人財に対する考え方」という根幹となる部分をしっかりと固め、それに基づいて制度も含めた各種施策を検討・実施していくことだ。つまり、経営戦略として取り組む必要がある。

 その上で、新たな働き方を現場に適用する段階になると、ITツールの使い方が重要なポイントになる。コンセプトがあっても、それを具現化する手段がなければ絵に描いた餅で終わってしまう。モバイルデバイスやクラウドコンピューティング、デスクトップ仮想化といったITツールや技術を上手く活用していくことで、場所と時間を問わないワークスタイルを実現することができるのである。

 例えば、端末上にデータを保管できないシンクライアントを使ってデータセンターに接続し、仮想化された自身のデスクトップ環境にアクセスできる環境を整えれば、セキュアかつ利便性の高いリモートワーク環境を構築することができる。

 また、Web会議やインスタントメッセージといったツールを使うことで、自宅や外出先からでもオフィスと密接にコミュニケーションをとることができ、新たなワークスタイルを促進する効果が得られるだろう。あるいは、Web会議の活用により遠方への出張が必要なくなり、生産性向上も期待できる。

 最近では、ユーザーが端末の前に在席しているかどうかをリモートで把握できるツールも提供されている。こうしたツールを活用すれば、自宅やリモートオフィスで勤務している社員の「怠慢」と「働きすぎ」の両面を管理することが可能になる。

国内有数のVDI自社運用ノウハウが投入された「日立クライアント統合ソリューション」

 こうしたツールをいち早く導入し、全社的にワークスタイル変革に取り組んできた企業が日立製作所(以下、日立)だ。同社は15年前に旧態依然とした働き方から、ツールを使った新たな働き方へのチャレンジを始め、10年前からはシンクライアントとデスクトップ仮想化(VDI:Virtual Desktop Infrastructure)を全面的に導入している。現在では、日立グループ約9万人が、同社製のシンクライントからネットワーク経由で各自の仮想デスクトップ環境にアクセスして業務を遂行している。

 また、あわせてフリーアドレス制やWeb会議システムを導入するなど、場所にしばられない働き方の実現に向けさまざまな施策を打ってきた。その結果、現在では業務のスピードアップや顧客訪問時間の増大、在宅勤務の実現など、さまざまな効果が得られているという。

図3 場所にしばられない働き方の実現した日立

 日立はこのような長年の取り組みの中でさまざまな試行錯誤を繰り返してきたという。こうして得られた自社の運用ノウハウを生かし、「日立クライアント統合ソリューション」を展開している。

図4 日立クライアント統合ソリューション

 日立クライアント統合ソリューションで提供するVDIでは、日立の豊富なノウハウを基に事前検証済みの構成で提供する垂直統合モデル「Hitachi Unified Compute Platform かんたんVDIモデル」や、日立グループが運用と稼働維持を行うプライベートクラウド型のDaaS(Desktop as a Service)環境を提供する「かんたん Private DaaS」など、仮想デスクトップ基盤の導入・運用をサポートするさまざまなソリューションを用意している。

 製品の提供や構築・導入支援だけでなく、新たな働き方を導入するに当たっての社内制度の見直しや、意識変革・教育施策などの提案を行うコンサルティングサービスも提供している。このサービスは、日立グループ内のコンサルティング企業である日立コンサルティングの他、テレワークのコンサルティング業務を専門に扱うテレワークマネジメントとの提携によっても提供される。

 ユーザー数約9万人という国内有数の大規模VDI環境を10年間以上にわたり運用してきた実績・ノウハウを持つ日立と、テレワークに関して豊富な知見を持つテレワークマネジメントが、互いの強みを持ち寄ることによって、「単にツールやシステムを入れておしまい」ではない、企業とそこで働く人々のさまざまなニーズに応えるソリューションが実現したのだ。

図5 コンサルティングからITツールまで一貫したソリューションでワークスタイル変革を実現

 日立は、新たな働き方を提供していくことで、少子高齢化など、今後、企業が直面するであろう深刻な経営課題を解決し、社会に貢献していく取り組みをめざしている。ぜひこれを機に同ソリューションを通じて、日立がこれまで培ってきたワークスタイル変革のノウハウを自社に取り入れることで、「真のワークスタイル変革」に踏み出してみてはいかがだろうか。

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提供:株式会社日立製作所
アイティメディア営業企画/制作:TechTargetジャパン編集部/掲載内容有効期限:2015年9月10日

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