VDI導入では適切なハードウェアを選ぶことが不可欠だが、これは必ずしも難しいことではない。まず、使用するVDIソフトウェアに対応するコンポーネントのリストをベンダーが持っているかを確認することだ。
仮想デスクトップインフラ(VDI:Virtual Desktop Infrastructure)の採用を検討している企業は、VDIプラットフォームを運用するハードウェアを選ぶ際に注意する必要がある。
仮想デスクトップのパフォーマンスは、使用するハードウェアのパフォーマンスに大きく左右される。VDIのパフォーマンスに関連した問題の多くは、個々の仮想デスクトップに対するハードウェアの割り当てが不適切であることに起因する。
適切なVDI用ハードウェアを選択するには、以下の項目を全てチェックする必要がある。
まず、選択候補のハードウェアが、使用するVDIソフトウェアに対応していることを確認する必要がある。大手ベンダーの中には、自社のVDIソフトウェアにきちんと対応するか確認するために、実際に各種のハードウェアコンポーネントのテストを行っているところもある。
例えば、米MicrosoftはWindowsに対応したハードウェアコンポーネントのリストを持っている。全てのVDIベンダーが対応ハードウェアのリストを用意しているわけではないが、使用するVDIソフトウェアのベンダーがリストを持っているのであれば、自社のVDIハードウェアが全てリストに含まれているかどうかを確認することが不可欠だ。リストに含まれていないハードウェアを使用した場合、何か問題が起きたときに技術サポートを受けられない可能性がある。
ハードウェアの対応とパフォーマンスとは全く別である。あるハードウェアがVDIベンダーのハードウェア対応リストに含まれているというのは、そのハードウェアを使えることが保証されているにすぎない。しかし、そのハードウェアが業務のワークロードに対応するのに十分なパフォーマンスを備えているという保証はない。このため、自社の仮想デスクトップがどれくらいのハードウェアリソースを要求するのかを把握した上で、必要なリソースを確保しなければならない。
VDIを計画・配備する際には、ハードウェアの障害耐性(フォールトトレランス)を十分に高めておくことが重要なポイントとなる。冗長ハードウェアの配備を怠ると、1台のVDIサーバの故障が大規模な障害に発展した場合に責任を問われる恐れがある。冗長ハイパーバイザーをセットアップすることばかりに目を奪われがちだが、他のVDIコンポーネント、例えばコネクションブローカーやDNSサーバ、DHCPサーバなども冗長化する必要がある。
一般に、企業がVDIの導入準備を進めるに当たっては、VDI設計チームが各仮想デスクトップに必要とされるリソースを推定し、これらのリソースに、配備する仮想デスクトップの推定数を掛け合わせる。だが、この手法ではパフォーマンス問題が生じる可能性がある。リソースの消費が直線的に変化するわけではないからだ。
例えば、1日のうちでもユーザーのリソース消費が増加する時間がある。このため、複数の同時ログイン要求を処理するのに十分なハードウェアリソースをハイパーバイザーに与えなければならない。さらに、ハイパーバイザーが予備として使えるように一部のリソースを取っておく必要もある。他のソフトウェアと同様、ハイパーバイザーもメモリ、CPU時間、ストレージI/Oを必要とする。最低でも、予想されるリソース要求の20%以上を確保しておくべきだ。
とはいえ、冗長ハードウェアは事業継続を保証するわけではない。クラスタ化したハイパーバイザーを利用すれば、1つのノードで障害が発生しても、仮想デスクトップがクラスタ内の他のノードにフェイルオーバーすると思っている人もいるようだ。それがハイパーバイザークラスタの本来の役割であるからだ。だが注意しなければならないのは、クラスタ内の残りのノードには、障害の起きたクラスタノード上で動作していた仮想デスクトップを吸収するのに十分なリソースが必要とされるということだ。
リソースが残っていなければ、仮想デスクトップはフェイルオーバーできない。このため、ハイパーバイザークラスタを構成している全てのノードが障害ノードからのワークロードを全部吸収するのに十分なリソースを持っていなければならない。加えて、許容できるレベルのパフォーマンスを提供するのに十分な予備のリソースも各ノードに必要となる。
VDI導入プロジェクトでは予算が限られている場合が多いため、VDIのパフォーマンスに最も影響するリソースに重点的に投資することが肝要だ。
メモリ、CPU、ストレージ、ネットワークはいずれも重要なリソースだが、予算の都合上、全ての希望をかなえることができない場合は、高速ストレージとストレージの接続性を重視すべきだ。通常、VDIパフォーマンスの最大のボトルネックになるのがストレージであるからだ。一方、サーバシャーシには可能な限り多くの物理ネットワークアダプターを収納するのがいいだろう。メモリとCPUが重要なリソースであることは明らかだが、予算が厳しいのであれば、低価格メモリとそこそこの性能のCPUで済ますことができる場合も多い。
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