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ドラフト段階でも実用期――IEEE 802.11nの最新動向:次世代オフィスのキーテクノロジー「IEEE 802.11n」
理論上最大600Mbpsを実現する次世代無線LANの本命「802.11n」は、ドラフト段階から業界団体の認定プログラムがスタート、本格的な普及に向けて動き出している。その動向や対応製品を見ていく。
最大理論速度は600Mbps
現行のIEEE 802.11a/g(以下、802.11a/g)よりもはるかに高速な次世代無線LAN規格、IEEE 802.11n(以下、802.11n)が、いよいよエンタープライズ市場に向けて動き出そうとしている。2007年からは無線LANの業界団体であるWi-Fiアライアンスによる製品の認証作業も順調に進んでおり、本格的な実用段階に入った。
802.11nの最大のメリットは、広帯域通信が可能なこと。現行製品では300Mbps(物理層のリンクアップ速度)。具体的な最大速度はアンテナの数と運用方法、ストリーム数、実装される技術によって異なるが、ストリーム数が2本かつ1チャンネル当たりの帯域が20MHzの場合、リンクアップ速度は130Mbpsまたは144.2Mbps。40MHzの場合は300Mbpsとなる。さらに、製品化は先の話となりそうだが、既に4本のストリームでは、20MHzで260Mbpsまたは288.9Mbps、40MHzでは600Mbpsと、ギガビットイーサネットに迫る速度も達成している。
ストリーム数 | 20MHz:ガードインターバル800ns | 20MHz:ガードインターバル400ns | 40MHz:ガードインターバル400ns |
---|---|---|---|
1 | 65Mbps | 72.2Mbps | 150Mbps |
2 | 130Mbps | 144.2Mbps | 300Mbps |
3 | 195Mbps | 216.7Mbps | 450Mbps |
4 | 260Mbps | 288.9Mbps | 600Mbps |
※ns=ナノ秒。ガードインターバルは、MIMOの変調方式OFDM(直交波周波数分割多重)において個別のデータを区別するために設けられるもの
なお、802.11nのセキュリティについては、最も安全性の高いWPA2(Wi-Fi Protected Access 2)の実装を必須としている。また、IEEE 802.1X認証をはじめ、従来通りワイヤレスファイアウォールや検疫システムと組み合わせて利用できる。
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