ERPとの連携で現場にも経営視点を──「SAP PLM」:PLM製品紹介
SAPといえばERPのトップベンダーであり、「SAPイコールERP」と認識している人は少なくない。しかし、SAPがPLM(製品ライフサイクル管理)ソリューションを広く展開していることは意外と知られていない。
ベンダーにより異なるPLMの定義
製品サイクルの短期化、多様化する消費者ニーズ、価格競争の激化、環境問題など、今日の製造業が直面する課題は多岐にわたっている。こうした課題に立ち向かい、消費者のニーズに合致した製品を効率良く市場に投入するために、現在多くの企業がPLM(製品ライフサイクル管理)に着目している。
「最近の製造企業では、生産部門だけでなく企画・設計部門でも生産コストやリードタイム、製造ラインの状況などを意識せざるを得なくなっている。市場を取り巻く状況が厳しく、単に顧客のニーズに合った製品を開発するだけでは足りなくなっている。このような中、PLMは製造業にとってますます重要度を増している」と語るのは、SAPジャパン インダストリー・ビジネス・ユニット 産業機械建設エンジニアリング担当部長の安藤正平氏だ。
PLMという言葉の持つ意味は、ベンダーによってそれぞれ微妙に異なっている。一般的な定義としては「製品の企画、設計、製造、流通、販売、サポート、さらには破棄に至るまでのライフサイクル全体を管理し、情報共有やコラボレーションを実現する仕組み」であるとされる。しかし、PLMシステムが実際にサポートする業務範囲やプロセス、管理する情報などには明確な定義がなく、各ベンダーの製品ごとにさまざまな特徴を持っている。では、SAPジャパンが提供するPLM製品「SAP PLM」には、どのような特徴があるのだろうか?
PLMとERPの高度な連携とデータ同期
SAP PLMの機能は、次の4つに大別できる。
- 戦略的で迅速な意思決定をサポートするアイデアやコンセプトの管理、プロジェクト管理やリソース管理、ポートフォリオ管理などを実現する「製品・プロジェクトポートフォリオ管理」
- 適切なタイミングで適切な人に適切な情報を提供することを目的に、部門や組織、企業の枠を超えた情報共有を実現する「ライフサイクルプロセスサポート」
- PDM(Product Data Management)とも呼ばれ、製品データおよび文書を管理する「ライフサイクルデータ管理」
- 企業の社会的責任(CSR)の1つとして注目される「環境」に配慮し、有害化学物質情報の管理など各種法令に対応した情報管理を実現する「コーポレートサービス」
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