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流通BMS対応の受発注システムの種類と製品選定方法受発注システム選びの勘所【第3回】

流通BMS対応製品はどのような種類があって、どう選べばいいのか。本稿では流通BMS対応製品の種類と機能を解説するとともに、製品を評価して選定する方法の一例を示す。

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 前回「流通BMS対応の受発注システム導入、初めの一歩」では、システム担当者が流通BMS対応の受発注システムを導入する際に、既存システム・業務の課題を洗い出す必要性を解説した。システム担当者の課題は一朝一夕に解決することはできないが、流通BMSの導入を行う際のポイントを押さえることで解決方法を考えやすくなる。本稿では実際に自社システムとして流通BMSを取り入れる際の、製品選びのポイントを解説する。まずは先述した流通BMSの導入を行う際のポイントを整理しよう。

流通BMS導入3つのポイント

ポイント1:メンテナンスコストの削減に注目する

 これまでのEDI(Electronic Data Interchange)の仕組みは、Web EDIであれJCA手順であれ、各社各様の仕様(電文フォーマット)を各社異なる伝送方法で送付していた。そのため、そのシステムのメンテナンス、例えば小売業側で「ある項目のけた数を増やしたい」「商品属性の情報を追加したい」などといったシステムへの要求があった場合、取引先となる卸売業やメーカーは都度その対応をする必要があった。小売業の担当者にしてみれば、数年に一度程度の仕様変更なら、卸売業やメーカーの対応が大変だとは考えないかもしれない。しかし、何千という得意先を抱えている卸売業やメーカーのシステム担当者にしてみれば、常にどこかの得意先の要求に合わせたシステムの改修が必要になる。流通BMSの仕様に関しては、電文フォーマットが統一されているだけでなく、伝送方法も決められているため、メンテナンス工数は格段に減らすことができる。特に、卸売業やメーカー側にしてみると、これまで小売業ごとに対応していたメンテナンス工数を削減する効果が大きい。

ポイント2:他システムとの柔軟な連携を図る

 これまでの受発注システムはバッチ処理が基本であり、当日の夕方一斉に注文から受注処理が動くことが多かった。大手の場合、JCA手順で卸が小売からの注文を受けるのに、1時間以上の時間を要している例はまれではない。そのため、ホストコンピュータにEDIの仕組みを入れることで、信頼性の確保と続いている業務との連携(ホストコンピュータ上のバッチ処理で連携)をうまく実現しているケースが多く見られる。流通BMSはリアルタイム処理をベースにしているため、受発注は随時可能であり、ホストコンピュータのような大掛かりな仕組みも必要ない。そのため、既存のEDIをホストコンピュータから切り離し、WindowsやLinuxサーバで処理をすることでホストコンピュータの負荷を減らすことが可能である。また、既存のJCA手順がアナログ回線だったのに比べて、流通BMSはインターネットを利用するため伝送速度も速く、信頼性が高いため、基幹システムとしてホストコンピュータをそのまま利用し続けたとしても、サーバ側で既存の仕組みに合わせたデータ変換やバッチ処理の呼び出しが可能である。このように、流通BMSを利用することで、既存システムを大掛かりに入れ替えるのではなく、一部を切り離して柔軟に適用していくことが可能である。

ポイント3:EOS化率の向上を図れるようにする

 多くの企業の受発注の仕組みの中には、いまだに電話とFAXによるシステムが多く残っている。Web EDIを利用するにしても、小売ごとに様式が異なる仕組みでは、取引先となる卸やメーカーが各小売専用の仕組みを用意しているのと同じで、小売にとっては一見都合が良さそうでも、結果としてそのコスト負担は小売に跳ね返ってきている。流通BMSに対応した製品は、これまでのサーバ型やクライアント型といった機能を直接利用する製品だけではなく、あらかじめ業務と連携した製品も出てきている。例えば、物流ラベルやマスターデータと連携した製品などである。このような製品以外にも、ハンディースキャナーや自動検品の仕組みと連携するような製品もある。サーバ型やクライアント型では、導入するのにシステムインテグレーションが必要であったりする場合が多く、すぐに利用するのは難しかった。その点、業務と連携した製品であれば、導入時の時間とコストを削減でき、これまではシステム化が難しく、電話やFAXでしか対応できなかった取引先とも流通BMSを利用することでEOS(Electronic Ordering System:オンライン発注)化率向上を図ることが可能となってきている。

 EOS化率を上げることで一次的効果として紙を削減できるだけでなく、締め処理における違算チェック作業を減らし、人件費の削減につなげることが可能である。さらに電子化されたデータをその前後の処理でそのまま扱うことで、業務フローを簡略化し処理時間の削減にもつなげることができる。

 流通BMSは単なるEDIの追加作業ではなく、自社の業務システムを見直す際にこれらのポイントを都度意識しながら取り入れていくことがシステム担当者の課題を解決する近道である。それでは、具体的に流通BMSに対応した製品を分類してみよう。

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