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中小企業の“金縛り”のようなIT人材不足 解消の糸口は身近にあり?ITを生かす中小企業の組織づくり【最終回】

中小企業にとってITスキルを持つ人材の確保は難しいとよくいわれる。これを何とかしなければシステム導入効果もおぼつかない。しかし、人材不足は経営者の思い込みによるところが大きいのだ。

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 中小企業、特に企業規模が小さくなればなるほど、IT利活用に当たっての人材不足の悩みは大きい。それは、多くの調査統計や経営現場の実態に切実に表れている。人材不足の問題を解決せずにIT導入を進めても、所期効果を期待することは難しい。

 しかし、人材不足は回りが騒ぎ立てることもあって、ある意味夢うつつの中で「金縛り」に遭っているようなところがある。従って、存在し得ない不可解な力という思い込みから自らを解き放つ努力も必要なのではないか。冷静に対処すると、意外に身近な解決方法があるものだ。

「守り」のITに満足してしまう中小企業

 IT活用に関する問題点の幾つかの調査データで、毎年IT人材不足が上位を占めている(表1、2)。

表1 IT投資やITの活用における課題(対象:従業員300人以下、複数回答)
順位 課題
1 自社に適したIT人材が不足している 41.2
2 IT関係の設備投資に充てる初期投資コストの負担 33.7
3 社員のIT活用能力、ITリテラシーが不足している 32.4
4 IT投資の効果の算定が難しく、IT投資額の判断ができない 27.6
出典:三菱UFJリサーチコンサルティング「ITの活用に関するアンケート調査 2007年11月」

表2 情報システム運用上の課題(従業員規模別、複数回答、単位:%、合計上位3位まで)
課題 社内外で必要な能力を有する人材確保が困難 システムが分かる人が社内にいない(ブラックボックス化) 運用コスト増加
29人以下 71.9 53.1 15.6
30〜99人 58.3 45.0 30.0
100〜299人 58.6 40.0 25.7
300〜499人 54.4 30.9 35.3
500〜999人 57.9 27.6 43.4
1000人以上 50.7 27.4 50.7
合計 57.1 35.3 35.8
出典:JIPDEC「情報化白書2009」「企業IT利活用動向調査 2009年3月」

 従業員規模が小さいほど、人材確保が困難と回答しているが、その必要とする能力の内容が問題である。IT運用上必要とするスキルについての回答が表3だ。運用プロセスにおける人材不足が顕著で、中小企業の約半数がIT運用に不安を持っていることがうかがえる。

表3 必要とするスキル(複数回答)
スキル
ネットワーク事業 49.0
セキュリティスキル 41.6
社内の調整能力 35.9
外部との折衝能力 25.5
出典:「平成19年度中小企業IT利活用実態調査報告書」 財団法人JKA補助事業として実施

 しかし、中小企業が必要としているITスキル、IT人材の内容は、本当にその程度のものなのだろうか。IT投資効果とITテーマに関する今後の課題についての調査報告は、中小企業のITへの取り組みの現実をある程度示してくれる。

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