電子メールホスティングプロバイダー選びに必須の5つのステップ:低予算・高品質かつ自社にマッチしたサービスを選ぶために
社内ITサービスのアウトソーシング化に最も適しているのは電子メールシステムだ。低予算で高品質のサービスを提供するプロバイダーを選ぶための5つのステップを紹介する。
企業のIT部門は、限られた予算で優れたITサービスを社内に提供するよう求められ、苦労している。ITスタッフは厳しい状況の中でベストを尽くしているが、要求に応えられない結果になりがちだ。幸い、低予算で高品質のサービスを提供することは、新技術と外部のホスティングプロバイダーのおかげで従来よりも容易になってきている。これまでと大きく違うのは、サービスをホスティングするのはもはやIT部門ではないかもしれないことだ。つまり、この新たな流れは、ITアウトソーシングの一方式が支えているのである。
ITアウトソーシングはもともと、企業が自社のインフラを使ったサービスのホスティングを業者に委託するものだった。しかし現在では、ITアウトソーシングには別の方式もある。企業がサービスのホスティングを業者に委託するが、業者が企業の施設ではなく外部の施設にある業者自身のインフラを使ってホスティングを行うというものだ。この方式では、ITサービスプロジェクトが大幅に簡素化される。IT部門はインフラ自体を構築する責任を負わないからだ。
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電子メールホスティングがその好例だ。電子メールインフラを自社で持つ場合、その上でMicrosoft Exchange Server(以下、Exchange)のように複雑な電子メールシステムをホスティングする場合には特に、IT部門は冗長なインフラを計画しなければならない。少なくとも2台の相互に代替可能なサーバを稼働させることで電子メールシステムが常時機能し、ユーザーができるだけ高い生産性を発揮できるようにする必要がある。
だが、Exchange電子メールプロジェクトをアウトソーシングすれば、こうした冗長性の確保とそれに伴う複雑さという問題が自社には無縁になることがすぐ分かる。これらは電子メールホスティングプロバイダーの問題になる。企業はもうインフラコンポーネントに費用を掛けずに済む。IT部門がすべきことは、電子メールシステムの要件の策定だけだ。要件には冗長性、バックアップ、システム保護、セキュリティなど、必要と考える要素をすべて盛り込む。そうすれば、サービスプロバイダーがそれらの提供に責任を持ってくれる。一方、企業は使った分だけ支払う責任を負う。料金は一般的に月額制で、ユーザー当たりの単価が設定されている。このようにホスティングプロバイダーを利用すれば、サービス提供プロセスは、すべてを自社でまかなうよりもはるかにシンプルになる。
Exchangeは、こうした電子メールアウトソーシングにうってつけだ。Exchangeを運用するホスティングプロバイダーは、個々の顧客の環境を同じマシンでホスティングしても、それらを相互に分離できるからだ。Microsoft Outlook(以下、Outlook)は、安全なWeb接続とExchangeの自動検出(Autodiscover)機能により、外部のExchangeサーバにアクセスできる。自動検出機能はエンドユーザーのクライアントシステムを自動的に構成するものだ。Outlookから外部Exchangeサーバへのアクセスを実現するには、Exchangeの自動検出レコードをドメインネームサーバに含め、それらがサービスプロバイダーの電子メールシステムを指すように設定するだけでよい。Web経由で接続が行われるため、エンドユーザーはどこにいても電子メールにアクセスできる。サービスプロバイダーは、エンドユーザーのコンピュータや企業の従来の社内電子メールシステムから、すべてのメールデータをプロバイダーのシステムに移し、企業がすべてのメールデータを一元的に保持できるようにするサービスも用意するだろう。
電子メールホスティングの利用はシンプルなステップであり、あらゆる規模の企業にとって、社内ITコストの効果的な削減方法だ。しかし、電子メールは企業のビジネスコミュニケーションの生命線となっていることが多いため、ホスティングを安易に導入してはならない。電子メールホスティングプロバイダーを選択するに当たっては、次のステップを踏む必要がある。
- 電子メールの要件を必ず十分に把握する。事前に現状を棚卸しし、アーカイブしておけるデータがあるかどうか調べる
- 電子メールシステムに含めたいサービスの概要を定義する。例えば、メールボックスをお互いに共有するユーザーのチームがある場合、そのことを電子メールアウトソーシングの要求リストに記載する。データ保護、継続的なサービス提供、セキュリティなどの要素も、この要求リストに盛り込む
- 公表されている機能と料金に基づいて、電子メールホスティングプロバイダーを慎重に選択する。電子メールアウトソーシングの料金は、ユーザー当たり数十セントから非常に高額なものまでさまざまだ。プロバイダーのサービス実績をチェックしてから契約を結ぶようにする
- サービスプロバイダーが電子メールソフトウェアの最新バージョンを使っていることを確認する。電子メールサービスがExchangeであれば、最新の更新プログラムが適用されたExchange Server 2010が運用されていなければならない。Exchangeは絶えず進化する製品であり、プロバイダーには必要な更新を徹底することが求められる
- プロバイダーに期待できるサービスレベルを調べる。例えば、プロバイダーがExchangeのあるバージョンから別のバージョンへの移行やアップグレードを行う場合、サービスが中断されるのかどうか。中断される場合、中断時間はどのくらいか。また、自社への影響を軽減するため、自社のビジネスサイクルに合わせて移行やアップグレードが行われるようにすることができるか
適切なプロバイダーを選べば、電子メールのアウトソーシングは大きな成果につながる。また、そのサービスにはWeb経由でアクセスするため、支払う料金に見合ったレベルのサービスが受けられるのであれば、プロバイダーのホスティング施設がどこにあるかは気に掛ける必要がない(所在地に関する要件がなければ)。アウトソーシングは、社内ITサービスの提供に当たるIT部門をこれまで悩ませてきた問題を軽減する切り札だ。そしてまず真っ先に、電子メールにこの切り札を使うべきなのは間違いない。
本稿筆者のダニエル・レスト氏とネルソン・レスト氏は、仮想化、サービスの継続的可用性、インフラ最適化に重点的に取り組んでいるIT専門家。多くの著書があり、近刊に『Virtualization: A Beginner's Guide』(McGraw-Hill Osborne刊)、『MCTS Self-Paced Training Kit (Exam 70-652): Configuring Windows Server Virtualization with Hyper-V』(Microsoft Press刊)などがある。
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