ERP成功の合言葉「QCD」が分かる3つのホワイトペーパー:ホワイトペーパーレビュー
ERP導入を成功させるために参考になる3つのホワイトペーパーを紹介する。成功のためのポイントは「QCD」(品質、コスト、納期)の要件を満たすことだ。QCDを満たすために各社が行っていることとは?
一般的に情報システムの導入プロジェクトでは「QCD」を基準に成功かどうかを測定することが多い。QCDとは、Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の3つを指す。この3つが当初の予定通りに達成できないと、残念ながらそのプロジェクトは失敗とされる。このQCDはERPパッケージの導入プロジェクトにも適用可能だ。基幹系システムであるERPの導入は特に全社に与える影響が大きい。今回の ホワイトペーパーレビューでは、QCDの観点から成功するERP導入プロジェクトのポイントを紹介しよう。
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ERPの教育、定着化で品質を高める
RPやPLMなど業務システムの導入・刷新を成功させるには、マニュアル整備とユーザー教育が不可欠だ!
ERP導入における品質を考える場合、2つの観点がある。1つはERPが実現する機能自体の品質だ。ERPは一般的な業務プロセスを想定し、そのプロセスを効率的に処理にするための標準的な機能を備える。企業はその標準的な業務プロセスに自社のプロセスを合わせることで、効率化などERPのメリットが得られる。パッケージソフトウェアという性質上、その品質は保証されているといえるだろう。ただ、標準のプロセスを超えてアドオン開発などを行うと、その品質は変動する。
もう1つの観点はユーザーだ。ERPを使うのはユーザーであり、仮に標準的な業務プロセスが定義されていたとしても、ユーザーにとって使いにくいと意味がない。ユーザーがERPの機能を理解できず、結局は使わなくなってしまうというリスクがあるのだ。導入したERPを確実、適切に使ってもらうために、ユーザーへの教育やトレーニングを適切に行う必要がある。これはERPから得られるメリットを高める上で極めて重要なフェーズといえる。
ここで紹介するホワイトペーパーはERPなど情報システムのマニュアル作成ツール「epiplex500」を紹介する内容で、導入ユーザーのインタビューを掲載している。昭和シェル石油は子会社のERP導入をきっかけにepiplex500を使ったマニュアルシステムを構築した。ERPの実際の操作を試すことができる7つの体験型シミュレーションと、200のドキュメント・マニュアルを用意し、eラーニングとして500〜600人のユーザーに提供している。
ユーザーへの教育・トレーニングはその重要性が指摘されながらも、後工程の作業のためにどのプロジェクトでも時間不足になりがちだ。昭和シェル石油でも当初はユーザーの教育に2カ月かけることを想定していたが、事業が急成長したこともあり、1カ月で教育を完了させることを迫られた。epiplex500を使うことで効率的にマニュアルを作成し、教育期間を確保できたという。ERPを対象にしたマニュアル作成、eラーニング支援の製品はepiplex500以外にも複数ある。自社のニーズに合わせて製品を選びたい。
クラウドERPが可能にするコスト管理
“IT企業”が押さえておくべき経営手法とは? IT業界特化テンプレートの強み付き
従来、ERP導入はコスト管理が難しかった。導入フェーズでの要件変更などで新規のアドオン開発やカスタマイズが発生し、予算を超過するというケースを多く見かけた。ライセンスコストは予測可能だが、システム構築にかかわるコストは導入がスムーズに進むかどうかに懸かっている。当初の計画から導入が遅れるとすぐにコストに跳ね返る。
だが、月額料金で利用できるクラウドコンピューティング対応のERPが登場し、コストについてはコントロールが容易になった。カスタマイズが難しいなど、クラウドERPに起因する問題点はあるが、コストについての透明性は増したといえるだろう。
クラウドERPの代表的な製品である「NetSuite」を紹介するこのホワイトペーパーでは、コスト面の扱いやすさに加えて、クラウド上に情報を統合し、一元的に管理し、利用できることのメリットを説明している。クラウド型でサーバなどのハードウェアを用意することなく、高度なERPの機能を利用できる。TCOの削減効果も大きい。
一方、上記のようにクラウドERPはカスタマイズを受け付けていないケースも多く、ユーザー企業の個別の要件に合わせて導入するのは難しい。富士通ビジネスシステム(現在は、富士通マーケティング)はテンプレートを提供することでこの問題の解決を目指す。具体的にはIT業界向けのテンプレートを開発。NetSuiteでプロジェクト原価のリアルタイム把握やタスク管理、受注プロセスの可視化などを実現している。
コスト面でのメリットは大きくても、機能の制約や重要データを社外に置くことへの不安から、企業はまだクラウドERPを様子見している。しかし、プライベートクラウドを活用したソリューションなどが国産のERPベンダーから相次ぎ、選択肢が増えてきた。コスト管理を重視する企業を中心に2011年以降、利用が増えるだろう。
ユーザーがパッケージの意義を理解
製造業の要は在庫管理と原価管理。20%の売り上げ増も実現したERP導入事例
これまでERPの導入プロジェクトは2、3年かかるケースが多く、それだけ進ちょくの管理も難しかった。1つのフェーズでトラブルが起きるとすべての作業に影響し、カット―オーバーが遅れたり、無理な開発で品質に悪影響が出ることもあった。ERP導入プロジェクトにとって進ちょく管理は極めて重要なのだ。
そのERPの導入期間が近年、劇的に短くなってきている。大規模なビッグバン導入のプロジェクトでも7カ月で完了するケースがある(参考記事:ビッグバン導入が復活? 注目したい3つのERP導入事例)。ここで紹介するホワイトペーパーではその理由を紹介している。
丸三産業の「SAP Business One」の導入では、同ソフトウェアの標準機能を最大限利用することで、カスタマイズを最小限にし、2カ月という短期導入を実現した。利用しているのは、販売管理、購買管理、財務会計、在庫管理の各機能で、ERPを導入したことで経営手法のリアルタイム取得などが可能になった。
ERPの短期導入を実現している企業に共通しているのは、プロジェクト関係者だけでなく、主要なユーザー部門の担当者もERPパッケージの意味を理解していることだ。納期が遅れる理由で多いのは、ユーザー部門から改修の依頼が相次ぎ、開発に手戻りが起きるため。パッケージの意義をあらかじめ理解してもらえば、部門ごとに個別最適された要求が挙がってくることは少なくなり、ERPの標準機能を生かすことができる。
このホワイトペーパーで紹介されているザ・マークのSAP Business One導入事例も2カ月の導入期間だった。「早期の本番稼働を最優先し、要件を絞り込み、約2カ月という短期間で導入」できたという。当初考えていた要件を標準機能でカバーできることが分かり、SAP Business Oneを選んだ。「経営者とスタッフの、新システム導入への全面的な理解と協力」があり、スムーズな導入を実現できたという。
今回紹介したホワイトペーパー以外にも、ホワイトペーパーダウンロードセンターでは、技術文書や製品資料、事例紹介などに関するホワイトペーパーを掲載している。ぜひダウンロードしてご活用いただきたい。
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