Webアプリケーション「管理できる化」のススメ【第3回】
「9割以上が業務中にも利用」 Twitter、Facebook中毒者の実態
日本法人のネットワークの使用状況から、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディア利用が業務トラフィックに与える影響をランキング形式で読み取る。
Facebookなしでは生きていけない
香港人である私の妻は、100人を超える(※)香港の友人との日常のやりとりをFacebookを使って行っている。
※香港は面積が狭く、その中のわずかな平地に人口が密集しているため友達同士が集うのが簡単だ。円卓に収まる10~12人ぐらいで頻繁に集まる。1人が複数のグループに属して頻繁に集まっていると、友人の数は数十人から簡単に100人を超える。これが香港の一般的な友人関係である。
電話やメールだと基本的には一対一のやりとりで時間がかかる。ブログやTwitterは不特定多数向けのメディアなので公開できる情報が心理的に制限され友人とのやりとりには向かない。Facebookならば、「友達が書いた近況欄を読んだりコメントをしたりする」「旅行やバーベキューなどの写真をアップロードして友達に見てもらい、コメントをもらう」といったことが簡単にできる。近況や写真は友人だけに見せられるので、ある程度パーソナルな内容もアップロードできる。友人の近況がニュースフィードで一覧できるインタフェースも慣れると使い勝手が良い。個人的な用事があるときはFacebookからチャットやメールもできる。
妻はこのパワフルなアプリケーションにかなりの時間を費やすことにより、離れた場所に住んでいる多くの香港の友人と頻繁にコミュニケーションを取っている。たとえ1年ぶりに会っても、「久しぶり」という感覚はほとんどない。香港に住んでいる人たち同士でも、Facebookによるコミュニケーションは積極的に行われているという。
日本でFacebookが根付くかどうか分からないが、浸透すればFacebookなしでは生きていけなくなるほどの存在感を持ったアプリケーションであると個人的には感じている。知人とのコミュニケーションにおいては電子メールを置き換える存在となるだろう。
そんなFacebookは中毒性がかなり高い。中毒者は頻繁に、もしくはリアルタイムでチェックをせずにはいられない。それがたとえ勤務時間中でもだ。
では、国内法人においてのFacebookを含むソーシャルメディアやコミュニケーション系のアプリケーションはどの程度使用されているのだろうか。前回「業務活用が進むYouTube、企業ネットワークに掛かる負荷は?」に続き、パロアルトネットワークスが国内60の法人のトラフィックを調査した集計結果を基に、国内企業におけるソーシャルメディアなどのWebアプリケーション利用状況を見ていこう。
Webメール使用の実態:Gmailが使用率1位
WebメールではGmailが使用率82%で1位。筆者もプライベートでは、Gmailがメインである。以前は他のWebメールがメインだったが、メール本文の最後に広告が入ることに違和感を覚え、最近は使用が減っている。2位は使用率75%のHotmailだ。Hotmailはマイクロソフトが提供するクラウドサービス「Windows Live」の1つに位置付けられる。同サービスには他に、25Gバイトのオンラインストレージである「SkyDrive」や、クラウド型のOfficeである「Office Web Apps」などが含まれる。無料の巨大クラウドサービスだ。Hotmailは1通のメールに何と最大10Gバイトのファイルを添付できる。
法人ネットワーク内での使用率第3位は75%のYahoo! Mail、Yahoo! Japanが提供するメールサービスだ。上位3つは82~73%と非常に使用率が高い。4位はずっと差が開くが、使用率40%のFacebookメールだ。Facebookの1機能としてあるサービスで、メールアドレスを知らなくてもFacebookで登録があればメールを送信できる。Facebookで実名検索して、友達登録すればメールが送れるというのは、使ってみるとかなり便利である。5位のSquirreMailはオープンソースのWebメールシステムだ。
Gmail for Businessはビジネスでの利用が進んではいるが、まだまだ一部の先進的な法人が使い始めているにすぎない。今回の調査で見つかったのは、ほとんどが個人利用だと思われる。業務時間に、プライベートなメールをしたい場合にWebメールがよく使われる。多くのWebメールはHTTPSによる暗号化通信に対応しているので、管理者は何をやりとりされたかの管理ができない。機密データの持ち出しなどのセキュリティ上の懸念もあるし、生産性の低下にもつながりかねない。
ソーシャルメディアの使用の実態:75%の法人が2ちゃんねるを使用
ソーシャルメディアの使用率第1位は93%のTwitter。2位はFacebook(使用率87%)、3位は2ちゃんねる(使用率75%)、同率4位はfriendfeed(使用率62%)とMySpace(同じく使用率62%)という結果だった。mixiはTop5には入らず、6位であった。
驚いたのは、2ちゃんねるの使用率の高さである。2ちゃんねるの業務利用はまれであることを考えると、業務中に個人的な目的でアクセスしていると考えられる。業務に不要ならばアクセスを制限するなど対策が必要だろう。
ソーシャルメディアは、企業にとって扱いがやっかいである。プライベート目的で過度に使用すると生産性の低下につながるし、マルウェアなどの脅威の侵入手口としても利用される。ソーシャルエンジニアリングの新たなインフラとして使用されることもある。
とはいえ、ネガティブな面ばかりではなくTwitterやFacebookはマーケティング目的での利用も進んでいる。これらを使えば、企業からの情報発信をしたりフィードバックを吸い上げたりできる。ファンページを活用すれば、無料でありながら強力な情報発信の媒体となる。ただ発信があまりに容易であるために、不用意な発言によるブランドや企業イメージへの悪影響も考えられる。企業の利用においては広報部門の管理下で運営した方がよいだろう。
管理方法として考えられるのは、まず書き込みができる人を制限する。企業として発言すべき人のみ書き込み可能にする。その他の人は閲覧のみ可能にするか、閲覧も制限するといったところだろう。
WebメールはURLフィルタリングでは止められない
業務時間内のオフィスPCからのWebメールの利用を禁止したいという場合、どうしたらよいか考えてみたい。まず思い付くのはURLフィルタリングだろう。URLフィルタリングはかなり有効で、主なWebメールのサイトをブロックしてしまえば、簡単には見ることができない。
しかし少しネットワーク技術に詳しい人ならば、「Anonymous web proxy」(※)を使ってURLフィルタリングを回避できる。手順は簡単、サーチエンジンで「Anonymous web proxy」を検索してアクセス、ページにあるURL欄に見たいページを入力してクリック。これだけである。
※Anonymous web proxyを使用した形跡はURLフィルタリングのログに残るので、会社からペナルティーを受けないよう勤務先から試す場合は、IT管理者の許可を取ってからにしてほしい。
URLフィルタリングでAnonymous web proxyを止めようと試みたとしても、マイナーなAnonymous web proxyがURLフィルタリングのデータベースに含まれていないかもしれない。そうするとデータベースから漏れていたAnonymous web proxyを使ってアクセスされてしまう。
運よく、インターネット上に多数存在する全てのAnonymous web proxyをURLフィルタリングでブロックできたとしても、多くのWebメールはOutlookなどのメーラーから「POP over SSL」や「SMTP over SSL」での接続をサポートしている。これらに対してURLフィルタリングは全く無力である。これらのプロトコルはファイアウォールで止められるが、止めたいWebメール全てのPOP3サーバとSMTPサーバのアドレスを指定し、対象ポートと対象プロトコルをブロックするという大変面倒な作業が必要になる。
次世代ファイアウォールならば、アプリケーション単位でブロックできるので止めたいWebメールを指定するだけである。HTTPSや「POP over SSL/SMTP over SSL」などの暗号化された通信でも、どのポートとプロトコルを使用していても止めることができる。
ソーシャルメディアもURLフィルタでは止められない
ソーシャルメディアも同様にAnonymous web proxyを使ってURLフィルタリングを迂回できる。
また、ソーシャルメディアの多くがHTTPSに対応しており、URLフィルタリングでの対応を難しくしている。URLフィルタリングはHTTPSの扱いはあまり得意ではなく、バージョンによっては未対応だったり、有償の別モジュールが必要だったりする。ソフトウェアベースの製品には、復号と暗号化は負荷が高くサーバの増強が必要な場合もある。
次世代ファイアウォールなら、URLだけではなくアプリケーションをポート、プロトコル、暗号化の有無に関係なく識別、制御できる。暗号化と復号も高速に処理できるハードウェア設計になっている。
※念のために言っておくが、URLフィルタリングが意味を成さないということではない。依然として従業員やゲストなどユーザーのWebサーフィンを細かく監視および制御できる重要なセキュリティ機能である。次世代ファイアウォールもURLフィルタリング機能を備えているがURLデータベースの充実度ではURLフィルタリング専門ベンダーに一日の長がある場合が多い。
さて自分の組織はどうだろう?
本連載では、帯域を大きく消費するアプリケーションを中心に見てきた。もし自分の組織の実態を知りたいと思ったときは、次世代ファイアウォールを取り扱うインテグレーターで無料か作業費負担程度で貸し出しと調査を行っている場合が多いので相談してみてほしい。きっと想像とは違う実態が把握できることだろう。
菅原継顕(すがわら つぐのり)
パロアルトネットワークス マーケティング部長
セキュリティ業界に10年以上従事。2005年から2010年は、UTM製品を提供する外資系ベンダーでマーケティングを担当。現在はアプリケーションの可視化とコントロール機能を備えた次世代ファイアウォール「PAシリーズ」を提供するパロアルトネットワークスに従事している。
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