企業の災害復旧計画に必要なものと不要なもの(前編)
ディザスタリカバリ計画の最優先事項は「ネットワークの復旧」
各社がディザスタリカバリ(DR)計画に文書化しておくべき優先事項と、余計な保守作業や混乱をもたらすために含むべきではない項目を紹介する。
企業の災害復旧対策においては、基幹業務プロセスを災害発生時でも継続できるよう、ディザスタリカバリ(DR)計画が作成される。DR計画を準備しておかなければ、いざ災害が発生したときに人々はシステムの設定を思い出せずに慌てることになるだろう。
基幹業務プロセスが中断すれば、企業イメージに与える影響や金銭面での影響を最小限に抑えるべく、できるだけ速やかに活動を再開しなければならないというプレッシャーが生じる。だが手順を明確にしておかなければ、復旧までの時間は不必要に長引き、非常に高くつくことになりかねない。とはいえ、全てのアプリケーションとITシステムが基幹業務にかかわる機能を支えているわけではない。
企業のITシステムは大まかには「基幹業務にかかわるもの」「有用なもの」「あれば便利だがなくても支障がないもの」の3種類に分類できる。そのうち、DR計画を準備する上で焦点となるのは「基幹業務にかかわる」システムだ。「有用」なシステムの回復に取り掛かるのは、ある程度状況が落ち着き始めてからでいい。そして、「あれば便利だがなくても支障がない」レベルのアプリケーションに対処するのは、IT環境の基本的な機能性を回復させてからで十分だ。
企業のDR計画には何を含めるべきか?
非常時でも停止させられないような極めてクリティカルで、かつゼロダウンタイムが求められる業務プロセスがあるとしよう。そのプロセスをシステムに依存している企業においては、最初は意外に聞こえるかもしれないが、そのサポートインフラはそもそもDR計画に組み込むべきではない。
ダウンタイムが一切許されないシステムに必要なのは、DR計画に詳細を文書化することではなく、「どのような状況下でも使用できるよう高いアベイラビリティを確保し、別サイトへのフェイルオーバーを可能にしておく」ことだ。この点は、例えば、証券会社のITスタッフがDR計画書をたどりながら、平日に取引システムの回復に当たっているところを想像してもらえれば、すぐに理解していただけるだろう。
だが、全ての企業の業務がゼロダウンタイムのITインフラに依存しているわけではない。多くの企業は基幹業務アプリケーションの復旧時間目標(RTO)を8~24時間程度に定めている。
以下に挙げるのは、IT環境の復旧時間目標にかかわらず、各社がDR計画に文書化しておくべき主要な要素の一部だ。各社ともDR計画には以下の項目を含め、アプリケーションシステムの復旧より先に取り組む優先事項とすべきだ。
ネットワークの復旧をDR計画の最優先事項とする
ネットワークの機能なしでITシステムを復旧させるのは、骨の折れる非現実的な作業だ。
中央集中型ストレージ環境におけるデータストレージアレイの設定
認証サービスとネームサービス(DNS)、Windows環境のActive Directory
タイムリーな復旧を果たすには、アクセス許可レベルを正しく復元する必要がある。
データバックアップインフラの設定情報
基幹業務にかかわる重要データを従来のバックアップシステムから復元しなければならない場合、その前提となるバックアップシステムの復旧がさらに重要となる。
基幹業務システムの復旧手順
なお、DR計画は上記のシステムには保存できないという点にも注意が必要だ。
企業のDR計画には、含めるべきではないものもある。次回は、そうしたDR計画に含めても余計な保守作業や混乱をもたらす項目を紹介する。
本稿筆者のピエール・ドリオン氏は米アリゾナ州フェニックスのLong View Systemsでデータセンター担当のプラクティスディレクター兼上級コンサルタントを務め、事業継続性、災害復旧計画サービス、企業データ保護などを専門としている。
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