医療機関がiPad導入時に検討すべき点:iPadで電子カルテ、ネイティブアプリと仮想アプリのメリットを比較(後)
従来のコンピュータと比べて、iPadの導入は大幅なコストダウンにもつながると考える医療機関が多い。実際に導入を検討する際のポイントを紹介しよう。
前回の「iPad対応電子カルテのメリットとデメリット」に続き、医療機関がiPadを使用する際にネイティブアプリと仮想デスクトップのどちらを用いるべきかを実例を基に考察する。
独自アプリ開発の実例
カナダ最大の大学病院Ottawa HospitalでCIOを務めるポッター氏は、「iPadのタッチスクリーンOSは効率性が高く、しかも従来のコンピュータと比べてiPadはコストの大幅な節約にもつながる」との考えから、iPadの採用を決定した(関連記事:孫社長も驚いた「医療現場のiPad/iPhone活用」最前線)。これまでに同氏は臨床医向けにiPadを数千台購入しており、さらに124人のソフトウェア開発者を雇い入れ、同病院で従来使用しているOasis Healthware EHRシステムをiPadに移植する作業を進めている。
同氏はこの決定を下す前に、数社のベンダーによるコンピュータ医師オーダーエントリ(CPOE)のデモも見たという。だが同氏には、いずれの実装もお粗末に思えた。そこで同氏は取締役会に対し、「成功例と見なせるような実装事例を目にするまでは、どのソリューションのロールアウトも統括しない」との考えを伝えたという。
偶然にも、その会議と時を同じくして初代iPadがリリースされた。ポッター氏が4台のiPadを使ってテストを行ったところ、臨床チームやITチームのリーダーから「うまくいきそうだ」との太鼓判を押されたため、同氏は現在のプロジェクトに着手した。また同氏はこのプロジェクトの始動に先立ち、仮想環境を用いた当初の2週間のテストよりもさらにスムーズなシステムを実現すべく、リソースを注ぎ込んだ。
「テストに参加した医師らの感想は、“仕事のやり方を根本から変えることになるだろう”というものだった」とポッター氏は言う。とはいえ、医師らが仮想インタフェースと格闘するのを見るのは心苦しかった、と同氏。もっとも、医師らはiPadを使って医療画像やカルテなどを見る方法をうれしそうに周りに披露していたという。
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