Google Appsは法人市場で大成功を収められるか:Google Appsは補完的な位置付け?【前編】
激増するGoogle Apps導入企業。ただし、数年前と異なり、企業の関心はGmailを超えたところに向けられている。Google Appsは今現在、企業でどのように使われているのだろうか?
Google Appsは安価だ。しかも、Webブラウザを搭載するあらゆる端末からアクセスできる(サーバがダウンしなければ)。米内務省の米Microsoft支持が問題になっていたが、今夏、Google AppsはFISMA認定を取得した。また、米Motorola Mobilityのような大企業がGoogle Appsへの移行を実施している(Motorola Mobilityの移行は、米Googleによる買収が判明する前だと考えられている)。さらに、Googleが20011年9月半ばに公式ブログで発表したところでは、なんと時事解説メディア「U.S. News & World Report」の最新ランキングで上位100校に入る大学のうち、61校がGoogleを採用しているという。
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法人向けのGoogle Appsを使用している企業は、1年前に比べて300万社増え、400万社に上る。この増加ペースは加速しており、Googleの発表によると、毎日5000社がGoogle Appsに新規登録しているという。また、この事業に携わるGoogleの従業員数も同じペースで増えている。同社の広報担当者に確認したところ、現在、エンタープライズアプリケーションチームの従業員数は、18カ月前の2倍になり、1000人を数えるという。
では、企業向けGoogle Appsが法人市場で大成功を収める日は目前に迫っているのだろうか? 断固として法人市場で名を成そうとするGoogleの動向を追うアナリストたちは、そのような日がすぐに訪れることはないと言う。Google Appsの採用に踏み切った中堅企業や大規模企業では、普及しているMicrosoft Officeを置き換えるのではなく、補完的に使用しており、通常は、全社規模ではなく一部のワークグループに導入している(関連記事:Google Apps for Businessの「使いづらさ」を解決する手段)。しかし、メッセージング/コラボレーションプラットフォームのアップグレードを検討している企業では、MicrosoftやIBMと並び、Googleが候補に上ることが多くなっているとアナリストは急いで付け加えた。ただし、数年前と異なり、企業の関心はGmailを超えたところに向けられている。
米調査会社Forrester Researchの主席アナリストで、「エンパワード ソーシャルメディアを最大活用する組織体制」の共著者であるテッド・シャドラー氏は、「ユーザーは現在のGmailに満足しているわけではないので、Googleを乗り換え対象とは見ていない」と話す。「Googleに対する一般的な評価は、どこからでも利用でき、アプリケーションの入手方法やサポート方法に大きな変化とメリットをもたらすSaaS(Software as a Service)ベースの配布プラットフォームに移行する重要なステップというものだ。Google導入の決定要因は決して1つではない」(シャドラー氏)
上層部が肩入れするGoogle導入
Google AppsをはじめとするSaaSコラボレーションプラットフォームを企業が検討する理由はさまざまだが、モバイルワーカーの増加と、急激なビジネスの変化を支えるITシステムの必要性が2大要素だとシャドラー氏は指摘する。現在は、MicrosoftまたはLotusのメッセージング/コラボレーションソフトウェアの古いバージョンが運用されていることが多く、アップグレードが検討されている。「当初、Googleは選考外だったが、ひとたび検討が始まると、候補の1つとして考えられるようになった」とシャドラー氏は話す。Forrester Researchの調べでは、IT担当者よりも、CIO、さらにはCEOや取締役会がGoogleを推しているという。そして、当然のことながら、SaaSが「使える」と判断されたら、目が向く先は費用だ。「見た目や操作感、動作も、従来のオンプレミス型のソリューションとは異なるし、毛嫌いするユーザーもいるが、本当に安上がりだ」(シャドラー氏)
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米Lincoln Propertyでも、そのような感じで話が進んでいったと同社でCIOを務めるジェイ・ケニー氏は話す。同社では2010年に、4000人の従業員が使用するメールシステムをオンプレミス型のNovell GroupWiseからGoogle Appsに切り替えた。SaaSプラットフォームへの移行は、可能な限りアプリケーションとインフラストラクチャの管理をアウトソースするというIT戦略に従ったものだが、Google Appsは最有力候補ではなかった。「Google Appsは、ビジネスケースに当てはめてみただけという感じだった。最有力案は、Exchangeのインソーシングまたはアウトソーシング(関連記事:Outlook/Exchange Serverユーザーのための場所を問わないメール環境構築)だった」とケニー氏は明かす。結果として、Google Appsのビジネスケースが非常に魅力的であることが分かった。「他のどの案よりもはるかに安上がりだった。ただし、会社の全ユーザーが新しいシステムを抵抗なく使えるようにするのは本当に難しかった」(ケニー氏)
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