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スマートフォン管理ベンダーのM&Aが加速、ユーザー企業への影響は?製品革新の遅れや顧客サービス低下に懸念

モバイル関連製品の拡充を急ぐ大手ベンダーの思惑を背景に、モバイルデバイス管理(MDM)ベンダーの統合が加速しつつある。統合の現状やユーザー企業に与える影響を整理した。

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 私物端末の業務利用を認める「BYOD」の普及によって、モバイル端末管理(MDM)ソフトウェアの新興企業が急増している。一方で、MDMベンダーの統合が加速するとの観測も浮上してきた。

 米Symantecは2012年3月に、モバイルアプリケーション管理ベンダーのNukonaと、MDMベンダーのOdyssey Softwareを買収した。両社の技術を利用してモバイル市場戦略の強化を図る意向だ。

 2011年秋には、PCライフサイクル管理製品を手掛ける米Numera Softwareが、MDMソフトウェアベンダーのFromdistanceを買収した。これはMDM市場で初の大型買収であり、来るべき市場統合を予感させる出来事だった。

 Symantecを含め、他社を買収する立場のベンダーは顧客に対し、買収が市場に悪影響を及ぼすことはないと強調する。だがユーザー企業のIT担当者は、市場再編の動きに警戒感をにじませる。

 米酒類販売会社であるCastle BrandsのITディレクター、アンドレ・プレオティーサ氏は「ソフトウェアやサービスが単独で存在しなくなったり、別のソフトウェアに取り込まれたりすることが心配だ」と話す。

 評判の良い製品が、IT担当者の間で不人気の企業に買収された場合は特に問題になると同氏は言い添える。

 だが顧客が好むと好まざるとにかかわらず、MDM市場の統合は今後数年でさらに進むのは確実だ。米Quest Softwareのシェイン・ヒグドン上級副社長によれば、MDM市場の統合が進むのは、競争のために包括的な製品ベースを必要とする大手ベンダーが、ギャップを埋める目的で小規模のMDMベンダーを買収するためだという。

 QuestはNukonaの買収を検討したものの、結局は見送った。ヒグドン氏によると、Nukonaの顧客はそれほど多くないと判断したためだという。Questは最終的に、独自のMDM製品を社内で開発する方針を決めた。

 一方、Symantecの製品マーケティング担当上級マネジャー、ブライアン・ダッカーリング氏によると、同社は1年ほど前に、顧客にはMDMソフトウェアが必要になると判断。大手ベンダーが買収しなければ、小規模のMDMベンダーは「消えてなくなってしまう」と判断したという。

 英Ovumのリチャード・アブサロム氏のブログによると、買収の対象になりそうな小規模かつ革新的なMDMベンダーは、AirWatchやFiberlink Communications、SOTI、BoxTone、MobileIron、Zenpriseなど多数あるという。

 カナダの管理ソフトベンダー、Level Platformsのパートナーコミュニティー担当ディレクターであるデイブ・ソベル氏によると、大手ベンダーが資金力を振りかざして新興の技術市場に参入する場合の問題は、それが結果的にイノベーションを妨げ、顧客サービスを妨げかねないことだという。

 「イノベーションに通じる道はどんなものであれ最善の道だ。規模の小さい企業の方が動きが早く、革新は容易だと思う」(ソベル氏)

 大手ベンダーが中小ベンダーを買収する場合に問題になるのは、買収先の製品が自社にとって重要であるかどうかだとプレオティーサ氏は語る。

 いずれにせよ、IT担当者は自分が利用するMDMベンダーを徹底的に調査し、常に代替の選択肢を持っておくべきだと専門家は助言する。

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