経営データとの連携も容易な電子カルテ「PCA HyMarks Clinic」:診療所向け電子カルテ製品紹介:ピー・シー・エー
中小企業の基幹業務パッケージ製品を多く手掛けるPCA。同社が2009年に販売開始した診療所向け電子カルテにもそのノウハウが生かされているという。
業務パッケージに強みを持つベンダーが電子カルテを提供する理由
中堅・中小企業(SMB)向け会計・給与・販売管理のパッケージ製品を提供しているピー・シー・エー(以下、PCA)。同社は2008年にマックスシステムを子会社化し、医療分野の事業を強化した。マックスシステムは中小規模病院向けの医事会計やオーダリング、電子カルテなどのシステム開発・導入コンサルティングを手掛けており、140以上のシステム導入実績を持つ。その病院向けIT化ノウハウとPCAの基幹業務パッケージのノウハウを組み合わせたのが、無床診療所向け電子カルテパッケージ製品「PCA HyMarks Clinic」だ。
PCA HyMarks Clinic提供以前から、PCAの業務パッケージは1400以上の医療機関に導入されてきた。同社のメディカルソリューション事業部 事業部長 中平栄富氏は「特定の業界や特殊法人の業務に特化した業務パッケージ製品を提供しているが、特に医療分野向けの専用ソフト製品に対する要望は多かった」と語る。また「診療所の電子カルテ市場は全国9万施設が対象だが、その導入率は20%程度。自社が持つ中小企業向けのノウハウを生かせると考え、電子カルテ市場の参入を決めた」と説明する。
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ハイブリッド型電子カルテ「PCA HyMarks Clinic」
PCA HyMarks Clinicは、無床診療所向け医事会計システム「PCA Macs Clinic」と組み合わせて利用する電子カルテ。クライアント/サーバ型システムで、サーバ1台とクライアント2台(受付、診察室)が最小構成(PCA Macs Clinicは、スタンドアロン導入も可能)。
PCA HyMarks Clinicの特徴として、同社のメディカルソリューション事業部 主任 岩永武大氏は「ハイブリッド構成のデータ管理」「全員参加型のコミュニケーション機能」「会計データとの連動による経営支援」を挙げている。
ハイブリッド構成とは、カルテデータをデータベースとPDFファイルの2種類の形式で管理することを指す。PCA HyMarks Clinicは「Oracle Database 11g」を採用しカルテデータをデータベースに保存し、そのデータをさらにPDFファイルに変換して別サーバで保管する構成を取る。法定保存期間を過ぎたデータは統計や症例研究などに使われることもあるが、参照頻度はそれほど高くない。PCA HyMarks Clinicでは、この普段使われないデータを常時参照可能な状態でPDFに変換し、患者別・年度別に保管する。
中平氏は「データベースのデータ容量を一定にすることで、長期間システムを使用してもレスポンスを一定に保てる。また、PDF形式の保管でデータの改ざんも防げる」と説明する。さらに、PCA HyMarks ClinicではOracle Databaseのレプリケーション機能を利用して、サーバのハードウェア障害リスクを回避するシステムの継続運用も可能だ。
2種類のカルテモードや付せん機能などで情報共有を促進
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