Windows RTタブレット、企業導入の勘所:「BYOD用の最新端末」と考えるべき
デスクトップPCと同じように管理しようとしなければ、Windows RTタブレットは問題なく業務に利用できるだろう。
Windows RTとWindows 8は、Microsoftとその伝統的なデスクトップOSにおける歴史的大転換といえる。というのも、1990年代以降、広く使われてきたデスクトップコンピュータの利用率に陰りが見え始めており、世間に耳を傾けてみると「今度の年末シーズンに欲しい製品」として人々が口にするのはPCではなくタブレットだ。そしてMicrosoftが新たに用意した2種類のOSも、まさにそうした声に応えるものとなっているためだ。
1つはWindows 8。iPadやAndroidタブレットからヒントを得て、ユーザーインタフェース(UI)を刷新した。これまでのWindowsらしさを一部放棄し、x86ハードウェア以外にも対応している他、スタートボタンがなくなり、マウスなしでも操作できるようになった。
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Windows RTは、米AppleのiOS、米GoogleのAndroidなど、他のモバイルOSを動かすアーキテクチャを採用。携帯性を考えて設計しているため、コンパクトで電力消費が小さい。ARMの効率的なSoC(System-on-a-chip)デザインもますます進化し、勝者になれるだけの速度と処理性能を実現している。ARMプロセッサで動くこのWindows RTのリリースによって、x86ベースの“Wintel(Windows+Intel)パラダイム”は崩壊することになる。
こうしたWindows 8とWindows RTでは、2012年8月まで「Metro」と呼ばれていた、新たなスタイルのアプリケーションが提供される。このアプリは全画面で実行され、タッチ操作に向いたモバイル対応のインタフェースを備えている。問題は、x86ベースのWindows 8タブレットなら従来のWindows OSとアプリケーションも実行できるが、ARMベースのWindows RTタブレットでは、現在のWindows 7で実行可能なプログラムが全て動作するわけではない点だ。
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Windows RTタブレットは「BYOD用の最新型タブレット」と考えるべき
ではWindows RTとWindows 8の違いは何か? まずエンドユーザーの視点で見ると両者に違いはない。Windows RTは見た目も操作性もWindows 8と変わらない。スタート画面もデスクトップも同じで、設定もほとんど違いがない。デスクトップPCでは「デスクトップモード」を使うことになるが、メモ帳やペイント、さらにはOffice 2013 など、従来のアプリケーションのRT版も用意されている。フル機能のWindows 8 PCとWindows RTタブレットの違いにユーザーが気付くことはないだろう。
だが、管理者の視点で見ると幾つかの違いがある。まず、Windows RTはドメインに参加できない。また、x86/x64ネイティブのデスクトップアプリケーションを実行することも、グループポリシーを使ってタブレットを管理することもできない。
これは大きなトレードオフのように思える。だが、正しい在り方ともいえるのではないだろうか。現在、業務で使われている私物のiPhoneにグループポリシーオブジェクト設定を適用しているケースはまずないだろうし、業務利用が認められたAndroid端末にドメインへの参加を求めることもないからだ。そもそもデスクトップと同じ条件でスマートフォンやタブレットを管理すれば、こうしたモバイル端末は真価を発揮できないだろう。
従って、Windows RTはBYOD(Bring Your Own Device)のための最新型タブレットと考えるべきだろう。つまり、業務での利用を認めた他のモバイル端末と同じように扱い、まずはWindows RTタブレットを業務で活用できるようにする。従来のアプリケーションは使えないものの、新しいWindowsアプリを実行でき、なおかつWindowsの標準的な規則には従うことができるので、Windows RT端末独自の恩恵を享受できるはずだ。
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