経営目標を人事戦略に落とし込む、「SuperStream-NX」が目指す人事管理の「あるべき姿」:タレントマネジメント製品紹介【第10回】
ビジネス目標から人材の「あるべき姿」を定義し、従業員の「現在の姿」を比較。そのギャップを埋めることで企業全体の競争力を強化する。「SuperStream-NX」のタレントマネジメント機能は一貫した人事戦略の遂行を支援する。
スーパーストリームが提供する「SuperStream」は、1995年6月の発売以来、中堅企業を中心に累計6700社以上の導入実績を重ねてきたERPパッケージ製品。会計・人事分野の機能を提供し、クライアント/サーバ型の「SuperStream-CORE」と、Web対応版の「SuperStream-NX」の2つの製品ラインを持つ(参考記事:グローバル進出をにらむ「SuperStream」、視線の先には何が?)。
SuperStream-NXは2009年に提供を開始した製品で、当初は会計機能のみが提供されていた(参考記事:真の意味でのSaaS――「SuperStream-NX」が提供する価値とは)。だが2012年8月に新たに「SuperStream-NX 人事給与」が製品ラインアップに加わり、SuperStream-COREと同様に会計と人事の両方をカバーすることになった。しかも、もともとSuperStream-COREがカバーしてきた基本的な人事・給与管理機能に加え、人材育成やキャリア開発といった近年注目を集めるタレントマネジメントの機能が新たに加わっているのが大きな特徴だ。
この機能追加の背景について、スーパーストリーム マーケティング企画部 部長 山田 誠氏は次のように説明する。
「雇用形態やワークスタイルの多様化、労働人口の減少といった社会情勢の変化を受け、企業の人事部門はこれまでと比較して、はるかに高度な人事戦略の立案・実施が求められるようになっている。しかし多くの企業の人事部は定例業務に追われるあまり、本来のミッションであるはずの人事戦略にまでなかなか手が回らないのが実情。そこでSuperStream-NX 人事給与では、この人事戦略の策定・実施を支援するタレント管理機能を大幅に強化した」
同様の目的を持つ製品としては近年、海外ベンダーのタレントマネジメント製品が注目を集めている。しかしSuperStream-NX 人事給与は、これらとは若干異なる発想の下に開発されたという。
「人事制度の策定や改善は、本来は企業理念やビジネス目標の実現のために行うべきもの。しかし多くの企業では、ビジネス目標や企業ゴールが人事戦略に反映されていない。従ってまずはこの両者を結び付け、企業ゴールを効果的に人事戦略にまで落とし込むための仕組み作りが重要と考えている」(山田氏)
具体的にはまず、企業ゴールを達成するために「どのポジションにどのような人材を配置すべきか」を定義する。言い方を変えれば、「各ポジションで求められる人材のスペックを明確に定義する」ということだ。これができたら次に社内人材の「現在のスペックと配置状態」を正確に把握する。つまり、人材スキルに関する「あるべき姿」と「現在の姿」を明確化するということだ。この両者を突き合わせて比較し、目標と現実のギャップを可視化することで、そのギャップを埋めるための具体的な人材育成や人材配置の戦略を立てることができるようになる。
しかし多くの人事管理製品やタレントマネジメント製品では、「現在の姿」は可視化できても、「あるべき姿」を明確に定義・可視化する機能が備わっていないと山田氏は指摘する。
「あるべき人材の姿が見えなければ、有効な人材戦略は立てられないはず。また、あるべき姿を明確に定義して広く可視化することは、従業員に対して具体的なキャリアパスを示して成長へのモチベーションを高め、ひいては組織全体の活性化を促すことにもつながる。SuperStream-NX 人事給与が目指したのは、こうしたプロセスを通じて企業が生き生きとした組織風土を形成できるようになることだ」
「あるべきスキル」と「現在のスキル」をシステムで管理
ではSuperStream-NX 人事給与は、具体的にどのような機能を通じて、人材の「あるべき姿」と「現在の姿」をそれぞれ管理するのか。同製品はその内部に、組織や職種、ポジションごとに必要なスキル情報を詳細に定義したデータを保持する。この項目自体や、それぞれの項目の評価軸(「ある・なし」「5段階評価」など)は、ユーザー自身が自由に設定できるようになっている。
まずは、企業ゴールの達成に必要な人材の「あるべき姿」を、このスキル情報の形式に落とし込み、SuperStream-NX 人事給与に入力する。その際には、表計算ソフトのシートに入力されたスキル定義データをそのまま一括インポートして取り込むこともできるようになっている。
一方の「現在の姿」はというと、この同じスキル定義データの形式にのっとって、従業員が自らのスキル情報を自己申請の形で入力できるようになっている。実際の運用においては、目標管理制度の下で年に1回、もしくは半期に1回の上長面談のタイミングで入力されることが多いという。SuperStream-NX 人事給与には、このスキル自己申請のための入力インタフェースやワークフロー機能が備わっている他、従業員が申請したスキル情報を上長や人事部がチェックできる機能もデフォルトで装備しているため、申請情報の精度や妥当性も担保できる。こうした承認やチェックの仕組みは、「制度や取り組みを陳腐化させないために極めて重要」だと山田氏はいう。
こうしてそれぞれ収集したスキル情報を活用すれば、次のようなことができる。例えば、あるポジションに空きができ、それを埋めるために適切な人材を探す必要がある場合、そこで求められるスキルと各従業員が現在持っているスキルをシステム上で自動的に比較し、マッチング率が高い従業員をピックアップして一覧表示できる。
また従業員も、スキル情報がシステム上で広く可視化されることによって、さまざまなメリットを享受できる。例えば、自身が現在所属している部署やポジション、あるいは将来就きたいと考えているポジションで必要とされるスキルと、現在自分が保有しているスキルとを横並びで比較することで、自身のキャリアプランを形成する上でどのようなスキルを磨いていけばいいかを一目で把握できるようになる。こうした仕組みは、従業員のモチベーションを向上させる上で極めて有効だと山田氏は述べる。
「人間は、目標が提示されない状況ではどうしても楽な方、楽な方へ流れてしまう。しかし、スキルの比較によって短期的な目標を具体的に提示することで、達成意欲を効果的に喚起できるようになる。さらに言えば、企業が従業員に対して行う教育の施策も、こうして可視化された個々人の具体的な目標や課題に即したものであるべきだ」
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