アプリケーションパフォーマンス管理の要点が分かる3つのホワイトペーパー:ホワイトペーパーレビュー
ほとんどのビジネスをITシステムが支えている今、そのパフォーマンスは社の業績や信頼に多大な影響を与える。複雑なシステム環境でもパフォーマンスを堅持するポイントを3つのホワイトペーパーに探る。
市場競争の激化を受けて、情報システム部門には迅速なITサービスの提供とともに、安定したシステム運用が求められている。では仮想化、クラウドでシステムが複雑化している今、何がパフォーマンス管理のポイントとなるのだろうか? 従来のように、各システム構成要素の監視結果を組み合わせてパフォーマンスを管理するのではなく、エンドユーザーの視点でシステムを統合的に監視することで効率的に問題原因を特定できる、アプリケーションパフォーマンス管理(以下、APM)のポイントを説いた3つのホワイトペーパーを紹介する。
「時間」「スピード」というビジネス価値を支えるAPM
クラウド時代におけるエンドユーザ目線によるWebサイトのパフォーマンス管理の必要性
システムのパフォーマンスは業務の遂行に多大な影響を与える。特にEコマースなどエンドユーザーが消費者の場合、パフォーマンスの低下は機会損失や信頼失墜に直結してしまう。本ホワイトペーパーはそうした課題認識に基づき、エンドユーザーの視点でパフォーマンスを監視するAPMの意義と実践のポイントを説いている。
興味深いのは、APMが求められる背景として「エンドユーザー(消費者や従業員)がITシステムに寄せる期待」を、過去、現在、未来という3つの軸で分析している点だ。10年以上前まで「エンドユーザーはアプリケーションが利用可能なこと」以上の期待は持っておらず、ビジネスではFace to Faceのコミュニケーションが重視されていた。しかし現在、消費者はセルフサービスによる迅速なやり取りを期待し、従業員はオンラインを通じて仕事をすることが増えた。本ホワイトペーパーはこれを通じて、ビジネスで重視される価値が「Face to Faceのコミュニケーション」から「時間」に変わったと解説。今後、「スピードが求められる傾向はますます強まっていく」と説く。
ではこうした中でパフォーマンス管理はどうあるべきなのか? その回答として、サーバ、ストレージ、ネットワークといった構成要素ごとに管理する“サイロ型の管理”を脱却することの重要性を指摘。「システムは問題なく動いているか」から「システムは快適に使えているか」に管理の視点を切り替えるべきだとして、その具体的な方法を紹介している。運用管理の在り方が業績に直結することを分かりやすく説いている点で、APMの重要性を経営層に理解してもらうための資料としても役立つのではないだろうか。
パフォーマンス低下が引き起こす、機会損失の本当の恐ろしさとは?
事例:ゴルフダイジェスト・オンライン全面停止の危機を救ったパフォーマンス管理
前述のように、パフォーマンス管理が特に重要なのは、ほんの数秒のレスポンス遅延が莫大な機会損失を招くEコマースだ。本ホワイトペーパーは、ゴルフ用品販売などを行っているゴルフダイジェスト・オンライン運営のポータルサイト「ゴルフダイジェスト・オンライン」におけるシステム障害の事例を通じて、APMの重要性を説いた貴重なコンテンツとなっている。
同サイトは2000年に開設。以来、サービスを拡充しながら会員数を伸ばし、2011年時点で月間1億5000万ページビュー、会員数約200 万人を支える大規模なゴルフポータルに成長していた。しかしビジネスの伸びが著しかったため、常にサイトのキャパシティー問題が発生。原因分析に取り組んできたものの、根本原因は分からず現状維持の状態が続いていた。だが、さらなる新規会員獲得を狙ってサイトをリニューアルオープンした2011年7月、“事故”が起きてしまう。予想以上のサイトアクセスを受け、サイトの主要機能が機能しない状態に陥ってしまったのだ。
即刻、情報システム部のメンバーが集まり、サーバ、ネットワークなどシステム構成要素を調べた。だが根本原因はつかめない。そのまま48時間が過ぎ、「サイトの全面停止もやむを得ないか」と諦めかけたそのとき、あるスタッフが2年前にテスト導入したことがあったCA technologiesのAPMツール「CA APM」の存在を思い出す。同社は、ここからいかに問題を解決し、信頼を回復させていったのか?――こうした問題は他人ごとではないだけに、身につまされる向きも多いのではないだろうか。緊迫した中で下される同社の1つひとつの判断は多くの企業にとって参考になるはずだ。
開発チームと運用チームの連携で鍵となるAPM
仮想化、クラウドの浸透は、アプリケーションの開発サイクルも加速させた。だがテスト環境と本番環境の違いにより、テストをしたにもかかわらず、本番稼働に問題が生じてしまう例が少なくない。問題が発生すれば、トラブルシューティングのために開発チーム、運用チームの双方が動作を再検証し、問題原因を分析することになるが、互いに異なる監視ツール、監視プロセスを使っているため、効率的に問題を特定できないことが多い。
本ホワイトペーパーはそうした問題にフォーカスし、アプリケーションの開発・運用プロセスを統合する概念「DevOps (Development + Operations)」を紹介。開発チームと運用チームのコミュニケーションを円滑にし、アプリケーションライフサイクルを効率的に運用していく上では、APMツールによるプロアクティブなパフォーマンス管理が有効であることを説いている。
ポイントは、APMツールの監視結果が「両チームの共通言語」になることだという。具体的には開発、テスト、本番運用のそれぞれにおいて、一貫してユーザー視点でパフォーマンスをモニタリングするAPMツールの監視結果を共有することで、両チームがパフォーマンス問題について同じ認識を持つことができる。これを基に両チームが協力して問題に対処することによって、アプリケーションの品質向上、運用コスト削減を両立できると説いている。本ホワイトペーパーでは、そうした「APMを軸にしたDevOps体制」の構築方法を解説。パフォーマンスの問題を運用管理でカバーするのではなく、“問題を基から断つ”アプローチを紹介している。
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