Windows 8 Enterpriseエディションを企業が選ぶべき理由:コンシューマー向けWindows 8ではWindows To Goも使えない
Windows 8の4つのエディションのうち、「最も安価なコンシューマー向けのWindows 8で十分なのでは」と考えるIT管理担当者もいるかもしれない。だが、企業ユースには向かない複数の理由がある。
SA契約が前提だが、機能が豊富なWindows 8 Enterprise
Microsoftは2012年4月、Windows 8を、Windows 8、Windows 8 Pro、Windows 8 Enterprise、そしてWindows RTの 4つのエディションに分けると発表した。Windows 7の多様なライセンス方式を大幅に整理した結果だ。
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このうちWindows 8はコンシューマー向け、Windows 8 ProはIT知識が豊富でプロフェッショナルグレードのものを好むプロシューマー向け、そしてWindows 8 Enterpriseは大量のノートPCやデスクトップPCを運用する企業に向けたパッケージとなっている。Windows 8 EnterpriseにはProの全機能に加え、他のパッケージには見られない機能も多く搭載されている。このエディションは、MicrosoftのSoftware Assurance(以下、SA)契約を結んだユーザーにボリュームライセンスプログラムでのみ提供される。
商売の1つの鉄則として「必要のないものは買うな」といわれるように、企業ユーザーの中には「コンシューマー向けのWindows 8で全てのニーズを満たせるのではないか」と考える向きもあることだろう。ただ、このエディションにはBitLockerによる全ディスク暗号化をはじめ、エンタープライズ向けの機能の多くが含まれていない。そこで暗号化された仮想ディスクを作成する「TrueCrypt」などのサードパーティー製品を使って機能の差を埋めれば、「コンシューマー向けのエディションを導入して初期費用を節約できるのでは」と考えるIT管理担当者もいるかもしれない。
確かにそうした方法は可能だが、このアプローチには1つ大きな問題がある。TrueCryptを含む一部のサードパーティー製品は、ネイティブのグループポリシー管理機能に対応していない点だ。そのため労力とコストを費やして、そうした機能を手作業でサポートする必要がある。そのコストは安価なエディションを導入するメリットを相殺してしまうのではないだろうか。
注目の「Windows To Go」もWindows 8 Enterpriseのオプション機能
なお、Windows 8 Enterprise導入の前提となるボリュームライセンスプログラムが適用されるのはほんの5デバイスから。また、デスクトップ環境を個々人がUSBデバイスに入れて持ち歩ける他、一元管理することができる新機能「Windows To Go」も、Windows 8 Enterpriseのオプション機能となっている。具体的には、Windows 8 Enterpriseのユーザーが、さらにWindows Companion Subscriptionライセンスを追加契約することでしか利用できない。これらの点でも企業がホームユーザー向けのWindows 8を選ぶメリットは少ない。
この他、タブレットやスマートフォンなど、最大4台までのコンパニオンデバイスでWindows 8のデスクトップ環境にアクセスできるなどWindows 8 Enterpriseにはメリットが多い。
メリットが得られないのはローエンドのケースだ。すなわち、デバイス数が5台未満で、デスクトップ環境を一元管理する必要もなく、企業向けの各種機能も必要としない場合だ。企業にとって、そうしたケースはごく少数なのではないだろうか。
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現時点ではWindows 8への移行には消極的な企業が多いし、レガシーアプリケーション(特に16ビットのもの)に関してもまだWindows 7が存在感を示している。だが、こうした状況が永遠に続くとは考えられない。また、Windows 8へ移行するためのツールセットも、旧バージョンのWindowsに用いられたツールの直系進化版であり、多くのIT管理担当者にとって使いやすいはずだ。今後、Windows 8に移行するに当たって高度な機能や管理性が不可欠な場合は、やはり企業ユースで求められる機能がフル搭載されたWindows 8 Enterpriseが最適だろう。
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