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Microsoftの新CEOサトヤ・ナデラ氏にIT業界が突きつけた課題バルマー体制への不満が噴出?

Microsoftの3代目CEOに就任したサトヤ・ナデラ氏。同氏は迷走中のMicrosoftを再生できるのか? IT業界のさまざまな人から、Microsoftとナデラ氏に対するコメントを集めた。

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Computer Weekly

 2014年2月3日、Microsoftはサトヤ・ナデラ氏を3代目のCEOに指名した。同氏の前職は、同社クラウドビジネス部門の責任者だ。同氏は、エンジニアリング(製品開発)にあらためて力を入れるつもりだと話す。

 規模の大小を問わずあらゆる企業が、企業向けソフトウェアメーカーとしてのMicrosoftに重要な疑問を投げかけている。前CEOのスティーブ・バルマー氏が提唱した、デバイスとサービスの企業という路線をMicrosoftはどこまで進めていくのか、と。

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 同社のWindows 8.1は、米Intelの最新AtomプロセッサBay Trailをサポートしたこともあり注目を集めつつある。このプロセッサの登場を受けて、各メーカーからフルバージョンのWindowsが稼働する業務用タブレットが発売されている。価格は、米Appleや韓国Samsungが発売しているタブレットの上位機種と同程度だ。

 CEO就任直後、顧客とパートナー企業に向けて公開されたWebキャストの中で、ナデラ氏は当面のところ顧客、パートナー、投資家との対話に時間をかけたいと語った。「頭の中に浮かぶ考えとナマの現実の両方に、正面から向き合い続ける。それが、われわれが最高の仕事をして当社を進化させるための原動力だ」とも同氏は述べている。

 同氏は、Microsoftの役割を強調した。「当社が推進する戦略は全て、デバイスとサービスの企業に変わるためのものだ。この点は、これまでにも何度か話してきた」とナデラ氏は語る。「この業界の仕事には、いつもわくわくしている。伝統を守ろうという姿勢が一切ないからだ。過去の業績は、あくまで昔の話。重要なのは、これから起こそうとしているイノベーションなのだ。Microsoftはこれから、モバイルとクラウドを最優先の課題として事業を展開する。一方で社会全体が繁栄するためにわれわれは何をするべきかを常に問い続ける」

 Webキャストの中で、今後Microsoftの製品は全て、デバイスとサービスに重点を置く同社の施策に基づいて発売することをナデラ氏は示唆した。他社にはまねできない、Microsoftならではの工夫をこらした製品を世に送り出すことに注力してほしいとナデラ氏が同社社員に呼び掛けた場面は、社内のエンジニアたちに対して檄を飛ばしたようにも見えた。

ソフトウェアに集中

 同氏はまた、Microsoftの社内文化について、ソフトウェア事業を重視する姿勢を維持しつつ、一新しなければならない部分もあるとして、次のように語る。「われわれは新たな仕事に取り組まなければならない。ソフトウェアの分野でわれわれに高い能力があることを確信している。当社のデバイスとサービスに生命を与えているソフトウェアこそ、現在の独自の立場に当社を導いた、当社の本分なのだ」

 “モバイル”というと一般的には携帯電話のイメージが強いが、そのイメージがあまり当てはまらないモバイル製品も増えてきている。将来は、モバイル業界と呼ばれるほど大きな存在になる可能性があるとナデラ氏は指摘する。「将来はあらゆる機器や端末がクラウドとデータに接続される。その全てを実現する手段となるのがソフトウェアだ。端末や機器の使用感のベースとなる、経験、知見、状況に対する判断を決定するものだ」

 またナデラ氏は、IT管理者のコミュニティーと交流を持ち、「優れたエクスペリエンス」と「人を中心とするIT」をテーマとする議論に加わっている。エンドユーザー自身がデバイスの制御をある程度行えるようにして、デバイス管理はIT部門が継続することを実現するツールの提供をMicrosoftは計画していると、同氏は明かした。このツールは複数台のデバイスに対して使用できる。また、デバイスのID管理、デバイス管理、エンドポイントのセキュリティもカバーする。全体的に、ユーザーエクスペリエンスを犠牲にすることなく、IT管理者の業務をサポートすることを目指していると同氏は主張する。

業界の反応

 サトヤ・ナデラ氏のCEO昇進のニュースを受けて、企業のIT担当者のコミュニティーであるCorporate IT ForumのIT責任者グループで調査部門の責任者を務めるオリー・ロス氏は次のようにコメントしている。「Microsoftに対してイノベーションと変革を求める声が大きい中で、ナデラ氏がCEOに指名されたことは同社の意向がある程度明確になったという点で評価できる。同社の今後の方向性について、不安を感じていた企業ユーザーも少なくなかったようだが、そんな不安が少しでも解消されることを期待している」

 一方、就職サイトReed.co.ukは、米GoogleのGoogle EnterpriseだけでなくWindows ServerとSQL Serverを運用し、デスクトップではMicrosoft以外のクラウド製品を利用している。この組織の技術部門の責任者であるマーク・リドリー氏は次のように話す。「Microsoftは、(初代CEOの)ビル・ゲイツ氏が同社の経営から離れて以来、戦略的ビジョンが見えなくなり、素晴らしかった製品開発力が少しずつ衰えている印象があった。開発担当のエンジニアとマーケティング担当者の間の認識のギャップを埋めるコミュニケーションに長けていたゲイツ氏のスキルを、ナデラ氏が受け継いでいることを第一に願っている。Microsoftが、(前任者のスティーブ・バルマー氏とは違って)エンジニアの経歴を持つ人物に再び同社の主導権を握らせることを決断した点は喜ばしい。ナデラ氏が、サーバおよびツール担当の部署や研究開発部門に所属していた前歴を生かして、Microsoftをテクノロジーの企業として立て直してくれることを私は望んでいる」

 MicrosoftとGoogleの両社の製品のユーザーである立場から、Microsoftがナデラ氏のリーダーシップによって新たな活路を見出し、Googleに反撃するところが見たいとリドリー氏は語る。「ユーザーとしては、両社が競争することで得られるものが多くなると思う」(同氏)

抜本的な変革が必要

 他方、米調査会社IDCでヨーロッパのパブリッククラウドを専門とするリサーチマネジャー、デイヴィッド・ブラッドショー氏の見解は手厳しい。

続きはComputer Weekly日本語版 3月19日号にて

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