「Windows RT」の今後は?
Windowsタブレットの本命「Surface Pro 3」が狙う“3度目の正直”
米Microsoftが米国時間5月20日に発表した「Surface Pro 3」は、タブレット端末というよりもPCに近い製品といえるかもしれない。企業向けモバイル端末として、ITプロフェッショナルらの関心を集めている。
米MicrosoftはPCへと原点回帰するつもりなのか――一部のITプロフェッショナルらは同社のモバイル端末戦略についてこのように思案している。その答えは、Microsoftが米国時間5月20日に行った最新型タブレット「Surface Pro 3」の発表によって明確となった。
Surface Pro 3は、米IntelのCPUを搭載する12インチの2-in-1デバイスで、デジタルペンも付属する。企業向けモバイル端末として、ITプロフェッショナルらの関心を集めている。
“3度目の正直”はあるのか
「3度目の挑戦で万事うまくいくのがMicrosoftの伝統だ」と米TECHnalysis Researchの創業者でチーフアナリストのボブ・オドネル氏は話す。同氏は、Surface Pro 3を非常に優れたタブレット端末であると評価しながらも、“最もモダンなPC”と見なしている。「タブレットとして優れているが、人々はPCとしても利用できる」
Surface Pro 3のターゲットは、大きな画面を必要としながらも、携帯性も求めるユーザーである、とIT戦略企業の米J. Gold Associatesで社長兼首席アナリストであるジャック・ゴールド氏は話す。
「PCと同じように扱えるため、企業から歓迎されるだろう。既存のアプリとインフラを活用できることもあり、『iPad』の導入を断固拒否する企業にとって、Windowsは選択肢の1つとなる」
Microsoftのモバイル端末はこれまで、IT管理者らの注目を集めてきたわけではない。しかし、Surface Pro 3に対しては、慎重ながらもいくらか好意的な視線を向けている。
企業ユーザーにとって、iOS端末にはない、Surface Proの最大の利点は、Intelプロセッサを搭載しているところにある。Intelチップであれば、内製/市販に関係なく、より幅広いアプリケーションを動かす手段となり得る、との意見がある。
「Surface Pro 3で内製アプリが確実に動作すると分かれば、IT担当者は、iPadの代わりに、Surface Pro 3の大量導入を考えるだろう」とインドWiproでソリューションアーキテクトを務めるマイク・ドリップス氏は話す。
Surface Pro 3はさまざまな機能強化が図られているにもかかわらず、ベースモデルの価格を799ドルに据え置いている。だが、129ドルで別売となっているキーボードカバーを標準で同梱すべきと指摘する意見もある。
「Surface Pro 3の売り込みは引き続き困難だろう。原因はその価格だ。つまり、安くはないが、驚くほど高いわけでもない。購入を検討する際に、価格がハードルとなる可能性がある」(ドリップス氏)
進まぬ市場への普及
急速に成長が鈍化しつつあるタブレット市場において、Microsoftは苦戦を強いられるだろう。調査会社の米IDCが先日発表したデータによると、2014年第1四半期のタブレットおよび2-in-1デバイスの世界出荷台数は、前期比35.7%減の5040万台(前年同期比3.9%増)にとどまったという。大画面を搭載したスマートフォンの登場と、買い替え需要の停滞などが要因だとIDCは分析する。
MicrosoftのSurface事業について、市場はいまだに困惑している。同製品に対する投資やOEM各社との競合性は、繰り返し非難されてきた。だが、状況は変わりつつあるのかもしれない。業界観測筋によると、Microsoftは自社ハードウェア単体ではなく、Windowsエコシステム全体で製品の販売を促進しようとしているという。
MicrosoftのCEOであるサトヤ・ナデラ氏は、同社戦略はOEMパートナーと競合しないと主張する。同氏はSurface Pro 3の発表会で、「われわれの目標は新たなカテゴリを創出し、エコシステム全体で新たな需要を刺激することだ」と強調した。
Windows RTの今後
「Windows RT」の今後の展開について、Microsoftは言及していない。Windows RTベースのSurfaceは、米Delta Airlinesなどの企業で大規模導入されて一定の成功を収めているものの、依然としてiPadやAndroidの後塵を拝している。さらに、企業の関心は、Windowsのフル機能が使えるタブレットに向いている。
「Windows RTは、AndroidとiPadに対するけん制だった。MicrosoftはARMチップを搭載し、バッテリー持続時間に優れた低価格端末を打ち出す必要があった」とゴールド氏。だが最近では、IntelのHaswellチップなど、処理能力に優れながらも消費電力の低い新技術の登場により、Windows RT端末の必要性は薄れている、と同氏は語る。
Microsoftは、Windows RTの戦略についてコメントを控え、Surface RTを今度も提供すると述べた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] 取引先のセキュリティをどう管理する? 「SCS評価制度」対応の勘所を解説 -
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] SCS評価制度「★4」取得のカギ 最大の壁を突破する方法とは? -
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] 2026年度末から運用開始 「SCS評価制度」に備えて製造業がやるべきことは? -
事例
[ネットワンパートナーズ株式会社, アイビーシー株式会社] ハイブリッド環境の一元管理と快適な無線LAN環境、三井ホームはどう実現した? -
市場調査・トレンド
[TD SYNNEX株式会社] 調査で学ぶセキュリティ運用の実態 人を増やさず品質を維持する方法とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
3
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
4
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
5
IBM iのブラックボックス化を打破 資産継承と進化を実現する「IBM Bob」の実力
-
6
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
7
OpenAIがコスト半減のGPT-6新モデル投入 Claude猛追とOSS包囲網で激化する価格戦
-
8
【基本情報技術者試験】そもそもOSは何をしている? 「ジョブ管理」の仕組みを解説
-
9
2027年電子帳簿保存法のさらなる改正 安易なシステム導入の落とし穴
-
10
「AIバブル」は崩壊するのか? 熱狂の後に来る“尻拭い”と4つの防衛策
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
2
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
9
5分で分かる Microsoft 365のデータ損失に備えるためのバックアップの仕組み
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー