私物モバイル端末を仕事で使いたい!
社員も会社も安心、私物スマホ活用のオキテはこう作る
「エンタープライズモビリティ管理(EMM)」は、個人のプライバシーと企業による制御のバランスを取る鍵となるかもしれない。EMMを導入する理由とBYODポリシーを決めるときの重要な要素とは?
「デバイス」「アプリケーションの制御」「データ」にのみ注力しているスマートデバイス戦略は、もはや十分とはいえない。そのような戦略では「ユーザー」という本質的な可変要素が取り残されているからだ。
モバイル端末を活用したワークスタイルの管理者は、セキュリティを確保しながら、モバイル端末におけるユーザー個人のプライバシーとビジネスプロセス制御のバランスを取ることができる戦略を探し求めている。
「エンタープライズモビリティ管理(EMM)」は、その解決策になるかもしれない。EMMは、BYODポリシーの重要な側面をカバーし、新しいレベルのアプリケーション制御を備える。「モバイルデバイス管理(MDM)」「モバイルアプリケーション管理(MAM)」「モバイル情報管理(MIM)」を使用するメリットを理解していたら、より包括的なモバイル管理アプローチを実現するEMMを検討するのがよいだろう。
EMMを導入する理由
EMMは管理業務の進化における最終段階である。個人のプライバシーと企業による制御の適切なバランスを取る最高の機会をもたらす可能性を秘めている。それは、EMMが、MDM、MAM、MIMシステムが担う作業の大半を網羅しているからだ。
EMMの最も重要な側面の1つは、IDを管理できることだ。他のモバイル端末管理用ソフトウェアは、デバイス、アプリケーション、データに注目しているが、ユーザーには注目していない。だが、ユーザーを示すIDの管理はEMMに欠かせない基本的な側面である。
IDを管理すると、グループや役割に基づくポリシーを介した合理的な制御が可能になる。IT部門にとっては、従業員に関するディレクトリ情報(所属部門など)を使用して、ポリシーを決定できるのが望ましい。例えば、経営幹部や経理部の従業員についてはアクセスを厳密に制御しなければならない。一方、施設の管理や販売を担当している従業員のアクセスについては、それほど厳密に制御しなくてもよいだろう。
EMMは、セキュリティのベストプラクティスが実装されていて、業界や政府が定める規制に準拠するためのポリシーと手続きが組み込まれている。
BYODポリシーの要素
ソフトウェアの開発者であれば、開発プロジェクトの目標を把握せずに、プロジェクトに着手する人はいないだろう。同様に、セキュリティの専門家とシステム管理者も、BYOD計画の全体的な目的を考慮する必要がある。BYODを推進するには、まず、デバイスとデータについて、許容できる用途と許容できない用途の範囲を定義するポリシーを策定し、アプリケーションの制御を確立すべきだ。
BYODポリシーは、制限の対象となるデバイス、アプリケーション、データ、ユーザーによって大きく分類される。
デバイスポリシーは、MDMシステムに用意されているオプションと同等であることが多い。典型的なものは以下の通りだ。
- 一定期間作業をしなかった場合にパスワードのロックを義務付ける
- デバイスに永続的に格納されている業務データを暗号化する
- Jailbreakされた(※)セキュリティに問題があるデバイスを検出して、データやネットワークサービスへのアクセスを防止する
- ハードウェア機能(Bluetoothアクセスやカメラなど)の機能を制限する
- 一部のデータ転送をブロックする(ソフトウェア開発ベンダーへの診断データの送信、クラウドへのデータの転送許可など)
※モバイル端末のOSを改変したり、端末の管理者権限を取得する行為。
アプリケーションの制御ポリシーでは、次のような用途を定義する。
- 許可されたアプリケーションを指定する
- 安全性が懸念されるアプリケーションにセキュリティ設定を適用する「ラッピング」を義務付ける
- カットアンドペーストなどのアプリケーションの操作を制限する
- アップデートとパッチの適用を義務付ける
データ指向のポリシーでは、次のようなMIMに重点を置いたツール、アプリケーション、手続きに関する要件を定めている。
- 転送中/保存中のデータの暗号化要件を指定する
- 最低限の暗号化強度を定義する(許容する暗号化アルゴリズムとキーの長さを含む)
- 業務データのカテゴリとデータの制御レベルを定義するデータ分類スキームを参照する。例えば、データを「社外秘」「機密」「パブリック」に分類する場合、各カテゴリには、そのカテゴリに含まれるデータの用途と分配方法について適切な規則を設ける必要がある
企業は私物端末のユーザーにとって要件が明確に定義されたポリシーを用意しなければならない。これには、デバイスを紛失や盗難から保護すること、OSやアプリケーションを更新すること、現在不使用のデバイスを登録解除することなどが含まれる。また、BYODポリシーでは、デバイスの紛失や盗難が発生した場合に、IT部門への連絡をユーザーに義務付ける必要もある。
アプリケーションの制御を強化する新しい方法
モバイル端末を仕事で使用するためには、MAMとは違う新しい方法でアプリケーションを制御する必要がある。例えば、米Microsoftは、2015年前半に同社の「Microsoft Office 365」にMDM機能を追加する予定だ。この機能は、米Appleの「iOS」搭載デバイスや米Googleの「Android」搭載デバイスでも機能する。この新しいMDM機能は、次のことを実現する。
- 一元管理しているデバイスにのみOffice 365のデータへのアクセスを提供する。つまり、一元管理していないデバイスでOffice 365のデータを同期することはない
- アプリケーション固有のPINロックを許可する
- Jailbreakを検出する
- Office 365の管理ポータルでデバイスとポリシーを管理する
これらの機能は、Office 365のサービスに組み込まれている。そのため、他に特別なプログラムを使用する必要はない。
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