「クラウドには向かない」レガシーシステムをAWSへ――旭硝子の決断:旭硝子の“AWSファースト”事例【前編】
ガラスメーカー大手の旭硝子が「Amazon Web Services」へ基幹システムの移行を決定した。当初は「クラウドには向かない」「古いタイプの情シス」と自らを評価していた同社がAWS移行を決断したワケとは?
国内の企業ITがクラウドコンピューティングに移行しにくい大きな理由の1つに、長い年月にわたって培ってきた膨大なレガシー、特に社内業務を支える基幹システムの存在がある。最低5年から10年は運用しなければならないハードウェアや、サブスクリション契約から逃れられないミドルウェア、そしてその上で構築してしまった汎用性の乏しいアプリケーション、そうしたものがお互いに密接に絡み合い、どこにも動くことのできない巨大な足かせとなって、時代の変化を受け入れ難くしてしまう。最初からクラウド上に基幹システムを構築できるスタートアップと比べ、抱えているものが重く、大きすぎるのだ。
だが、そうした企業にもパラダイムシフトは確実に訪れつつある。レガシーの塊だった基幹システムをクラウドに移行するケースが、国内大企業で少しずつ増えてきているのだ。本稿ではその代表的な事例として、世界トップクラスのガラスメーカーである旭硝子が「Amazon Web Services」(AWS)に基幹システムの一部である「SAP ERP」の移行を決定した話を紹介したい。なぜ国内大企業は今、クラウド移行を選ぶ時期に来ているのか、そしてこの移行は彼らのビジネスをどう変えようとしているのか。クラウドが企業ITにもたらすポテンシャルについて考えてみたい。前編では、旭硝子がクラウド移行を決断した経緯、懸念点をどのように払拭したのか、AWSを選んだ理由について紹介する。
関連記事
- クラウド比較は時間の無駄――東急ハンズ 長谷川氏が語るクラウド導入 5つの極意
- どこまでもAWSを使い倒す、東急ハンズが掲げるクラウド利用 5つの方針
- 【事例】ユーザー企業3社が本音で語る、AWSを使ってみてどうだったか
- テレビの力を信じる――RKB毎日放送の挑戦を支えるAWSの使い所
- 「宮崎に1000人の雇用を」 クラウドとともに歩み続けるアラタナのインフラ戦略
クラウドは企業ITに向かないのではという不安
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.