全ての人が自在に使えるわけではない
次のExcelになる――セルフサービスBIの全社導入は可能か
ビジネスインテリジェンス(BI)やビジネス分析の分野において、セルフサービス型のツールが人気を集めている。だが、ビジネスユーザーに受け入れてもらうには、入念な導入計画が必要になる。
現在、セルフサービス型のデータ分析ツールが注目を集めている。その主な理由は、こうしたツールがユーザーフレンドリーで比較的簡単に導入できるからである。だが、多くの企業では、BIチームとIT部門はツールを最大限に活用するため、その運用方法とエンドユーザーとの連係方法を再検討せざるを得なくなる。
BI(ビジネスインテリジェンス)テクノロジーは購入しただけでは終わらない。そう語るのはアイルランドのコンサルティング会社Accentureで情報管理/ビジネスインテリジェンス部門のマネージングディレクターを務めるマイケル・ブリッジ氏だ。
ブリッジ氏は、同氏が担当するどのクライアント企業でも、全従業員にツールを受け入れてもらうプロセスが最も難しいと話す。セルフサービスツールの導入時には考慮すべき検討事項が多い。例えば、データシステムがバックエンドで適切に設計されているか、ソフトウェアを適切なユースケースに投入され、そのユースケース用に適切に構成されているかを確認しなければならない。だが、ビジネス部門がセルフサービス型ツールの導入に失敗するときは、そのテクノロジーをどのように社内のワークフローに適合させるのかを適切に考えていなかったことが原因である場合が多いとブリッジ氏は指摘する。
米テキサス州オースティンにあるスタートアップのSpareFootで技術部門担当部長を務めるジョシュ・リプトン氏によると、エンドユーザーにテクノロジーを受け入れてもらう鍵は、小さく始めてカスタマイズしていくことだという。SpaceFootは、顧客と貸し倉庫設備を結び付けるためのオンラインマーケットプレースを運営している。リプトン氏によると、BIソフトウェアとセルフサービス型分析ツールの従来モデルの実装では、一元管理されたツールに全員がアクセスできるようにしていたという。特に小さな組織で実装する場合はそうだった。だが、同氏はもっとユーザーに合わせたアプローチを採用した。
SpareFootは、米GoodDataのセルフサービス機能を備えたクラウドベースのBIプラットフォームを利用している。だが、このプラットフォームが一度に全社規模で導入されることはなかった。リプトン氏は、自分たちのチームが迅速かつ反復的な方法で開発し、実用的なアプリケーションを特定のユーザーに短期間で配信できる、よりアジャイルな手法を好んだという。
分析データを求める声に応える
リプトン氏はまずSpareFootのコールセンターに手を付けた。BIシステムを実装することで、コールセンターのマネジャーが電話の問い合わせ件数を予測して、従業員の生産性を追跡し、顧客とのやりとりの結果を監視できるようにした。同氏によると、こうしたデータが自由に利用できることで、コールセンターのマネジャーは物事に対してより的確な判断を下せるようになったという。例えば、従業員が最も必要となるタイミングだ。その結果、従業員にもっと正確な情報を提供し、休憩や休暇の予定を決める際の柔軟性が向上した。
また、コールセンターにBIシステムを導入したことで、作業効率が15%向上し、カスタマーサービス担当者が電話応対に費やした時間を計測できるようになり、かかってきた電話に応対するまでの時間短縮にもつながった。だが、他の部門でも同じ方法でBIツールを導入しようとは考えていなかったとリプトン氏は話す。「足掛かりを作ることは非常に大切である。だが、1つの部門が何かを欲しているというだけで、全社で同じものを必要としていることにはならない」(リプトン氏)
セルフサービス型ツールを第一線で働いている従業員に受け入れてもらう上で本当に大切なことは、ユーザーを理解することだ。全ての人が同じ早さで物事への新しい取り組み方に馴染むわけではない。BIツールの利用に対する初期の適応度合いにかかわらず、新しいツールに慣れない従業員を成長させることはBIチームと分析チームの責務である。
オーストラリアRedbubbleのオンラインアート/ポスターマーケットプレースでビジネス分析部門のディレクターを務めるマノジ・ヤダブ氏は次のように話す。「そのような従業員を完全に自立させることは自分たちのためでもある。従業員を自立させないと、分析チームが面倒な作業をやらざるを得なくなる。私たちがやりたいのはもっと興味深い分析の仕事だ」
自由に利用できるセルフサービスのサポート
さまざまなタイプのビジネスユーザーに合わせて適切なサポートを提供することがBIツール導入の鍵だ。Redbubbleは、同社の複数の部門にGoodDataのBIツールを導入している。具体的には、カスタマーサービス部門、マーケティング部門、サプライチェーン部門などだ。どこの部門でも関心度合いはユーザーによって異なるとヤダブ氏は言う。データを細かく分析できることに夢中になっている者もいれば、単に組み込みのリポートを受け取ることに強い興味を示す者もいる。
ユーザーが受容曲線のどこに位置しているかに関係なく、サポートする取り組みの一環として、ヤダブ氏と分析チームは辞書のようなものを作成した。この辞書ではBIツールのさまざまな使用方法について全て解説している。また、BIツールで処理できるデータの属性、データの種類、メトリックスについての情報も提供している。
Redbubbleが2012年にGoodDataのセルフサービス型分析ツールを初めて導入したとき、最初は受け入れがなかなか進まなかったが、その後は軌道に乗り始めた。だが、そのことによって新たな問題が起きている。従業員がセルフサービス型分析ツールを使ってできることを知るにつれて、その使用範囲をもっと広げたいと考えるようになっている。その結果、ヤダブ氏と分析チームのサポートを求める声がますます大きくなっている。
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