「ユーザー重視」が重要に
「モバイルファースト」のほとんどが“偽物”であるこれだけの理由
好みの端末を使えるようにしたり、モバイルアプリを優先して導入したりするだけで「モバイルファースト実践企業」を名乗ってはいないだろうか。見落としがちな観点を整理する。
「自社はモバイルファーストを実践している」と多くの企業が考えているが、現実にそうである企業は少ない。
モバイルファースト戦略は、従業員に携帯電話を与え、モバイル通信に支出し、BYOD(私物端末の業務利用)ポリシーを採用すれば実現するほど単純ではない。それは単にモバイル端末を許容しただけだ。モバイル端末向けにアプリケーションを構築し、展開している企業も多くない。単に市販のソフトウェアを導入しただけのところがほとんどだ。
併せて読みたいお薦め記事
「モバイルファースト」の落とし穴
モバイルアプリ開発の現状をおさらい
モバイルアプリ“失敗作”が生まれる理由
「真のモバイルファースト」の条件
モバイルファーストの精神は、記述されたドキュメントやコードによって表されるものではない。その意味するところは、ユーザーのニーズに向き合い、従業員の能力を最大限に引き出すための組織の考え方であり、アプローチなのである。
筆者が畏怖するブライアン・カッツ氏は以前、ユーザーニーズを最優先するFUN原則(FUN: Focus on User Needs)について書いた(参考:なぜ「社長の一押しモバイルアプリ」は現場で使われないのか」)。本稿ではモビリティに対するユーザー重視のアプローチの重要性について、もう少し述べる。
ユーザーニーズを重視すべき
モバイルファースト戦略は、「あらゆるユーザーに、あらゆる場所で、あらゆる時間に、あらゆる端末で、一貫した明確なエクスペリエンスを提供する」という概念を実現するため、インフラからアプリケーションまでの全てを設計することである。
では、あなたのユーザーは何を必要としているか。細かな点はそれぞれの組織によって異なるが、幾つか共通する点もある。人はビジネスで判断する際、どのような接続環境であれ、必要なときに必要な情報へアクセスできなければならない。
あなたはCIO(最高情報責任者)と会話している際、リアルタイムのITサービス統計情報をスマートフォンですぐに引き出したいと考えるときがあるだろう。CFO(最高財務責任者)であれば、ミーティング時に自分のノートPCで損益をチェックする必要があるはずだ。COO(最高執行責任者)は製造フロアを歩きながら、タブレットから出荷情報へアクセスする必要があるかもしれない。そしてCEO(最高経営責任者)は、飛行機の中でプレゼンテーション資料をアップデートしながら、会社の重要な業績指標を確認したいと思うだろう。
多様なユーザーグループのニーズを知るべき
複数のモバイルOS向けにアプリを設計することも、モバイルファースト企業になるための大きな課題だ。開発者は伝統的に、特定のOS向けにネイティブアプリケーションを設計し、IT部門は正常な動作を保証するために標準ハードウェアを指定してきた。IT部門は今日、もはや社内で利用されるOSやハードウェアをコントロールできなくなっている。それは従業員の手に握られている。
開発者が記述したものは全て、米Microsoftの「Windows」や米Googleの「Android」、米Appleの「iOS」や「OS X」で動作しなければならない。標準化の時代は終わりを迎えたのだ。
あらゆる環境に対して柔軟性を持つべき
面白いことに、われわれは数年前までジオフェンシング(地図上の特定エリアに仮想的なフェンスを設置する技術)の重要性を議論していた。今になって考えると、その哲学はおかしくもある。もはや地理的な境界線など、どこにもない。オフィスにいようが飛行機の中にいようが、自分の仕事を処理でき、会社の事業に関与できる。こうした環境を実現したとき、あなたの会社は「モバイルファースト戦略を構築した」といえるのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[アトラシアン株式会社] なぜAIを導入しても効果が出ない? 組織全体で使いこなすための仕組みとは -
製品資料
[プログレス・ソフトウェア・ジャパン株式会社] ネットワーク全体を見える化、フロー分析で実現する広域監視と迅速な異常検知 -
製品資料
[プログレス・ソフトウェア・ジャパン株式会社] SNMPより詳細で、パケット解析より簡単な「トラフィック可視化・分析」の方法 -
製品資料
[プログレス・ソフトウェア・ジャパン株式会社] 重要性を増す“侵入後の可視化” どのように実現すればよいのか? -
市場調査・トレンド
[クラウドストライク合同会社] 回避型攻撃が急速に拡大、連鎖する攻撃を防ぐためのアプローチとは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
3
なぜMicrosoftは「Rust」を標準言語に? AIで進むC/C++書き換えの課題
-
4
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
5
負の遺産ではない! 今こそメインフレームを再評価すべし
-
6
大容量時代でも油断は禁物 Windowsの空き容量を増やす方法10選
-
7
AIは新たな攻撃手法を生み出したのではなく“待ち時間”をなくしただけ
-
8
毎日2時間の“無駄”を生む「紙とExcel」管理 田中精密工業はどう脱却したのか
-
9
NVIDIA「一強体制」の終わりか データセンターを襲う“電力の壁”
-
10
2分で作ったAIアプリのレビューに3日 ITリーダーが挙げるAI導入の隠れコスト
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
3
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
4
SCS評価制度時代の「SASE選定」ガイド
-
5
顧客対応自動化の要点:RAGとデータ連携で“業務で使える生成AI”にする方法
-
6
マンガで解説:情シスの負担を減らす「MDRサービスのインシデント対応」の中身
-
7
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
-
8
有識者が語る、中堅中小企業に求められる最新のサイバーセキュリティ対策とは
-
9
「EDR」選定ガイド:比較・検討フェーズで整理すべきポイントを解説
-
10
なぜAIは組織で定着しないのか? 全社展開を阻む「3つの壁」と突破のヒント
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー