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徹底レビュー:iPhoneファンも欲しがる「Samsung Galaxy S7 edge」に死角はない?その価格に見合う実力を備えているか(1/5 ページ)

かつてiPhoneに対抗しうる数少ないAndroidスマートフォンだったGalaxyシリーズに最新モデルが登場した。そのシェアは絶対的ではなくなったものの高い処理能力と個性的なデザインは健在だ。その実力を確かめてみる。

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Galaxy S7 edge Galaxy S7 edge

 Samsung Electronicsの「Galaxy S7 edge」は高機能なスマートフォンだ。競合するモデルの中でも高い処理能力を持ち、大画面で発色のいいディスプレイ、先進的なデザイン、高解像度撮影に対応した内蔵カメラを備えている。ただ、それだけに価格は高額で、一部のユニークな機能はまだ開発している途中だ。

 現在市場に流通しているスマートフォンの中で、Galaxy S7 edgeのデザインで最も個性的といえるのが両サイドでディスプレイ表面が曲面になっているデザインだろう。その曲面を用いたディスプレイのエッジに加えて、有機EL(電界発光)を採用したディスプレイの表示は色彩が鮮やかで、画面上のAndroidアイコンが今にも飛び出して動き出しそうに見えるほどだ。

 ただ、この個性的なデザインを生かした機能が限られていて実用性に乏しいのは問題だろう。Galaxy S7 edgeには、両端の曲面ディスプレイを活用する機能として着信や通知時に点灯する「Edge Lighting」をはじめとするわずかな種類しか用意していない。どの機能も斬新かつユニークでGalaxy S7 edgeの“美的感覚”を向上しているものの、Galaxy S7 edgeの高額な価格を正当化するほどではない。

 Samsung Electronicsは、「Galaxy S7 edgeの高額な価格を正当化する」ための個性的な機能を他にも用意しており、その付加価値を増やす努力はしている。これらの対応は功を奏するのだろうか。それとも、Galaxy S7 edgeは「単なる新たな高額スマートフォン」で終わるのであろうか。

構造とデザイン

背面はガラス製 Galaxy S7 edgeの背面はガラス製なので滑りやすい

 まず、Galaxy S7 edgeは、同時期に発売する「Galaxy S7」とよく似ていることを確認しておこう。Galaxy S7のディスプレイは5.1型で、両端に曲面を取り入れたエッジスクリーンを搭載していない。ただし、この2点を除けば、全く同じスマートフォンといえる。そのため、この記事で紹介している内容の多くはGalaxy S7にも当てはまる。

 Galaxy S7 edgeは、Samsung Electronicsが販売している全てのスマートフォンの特徴を備えているだけでなく、洗練したデザインを取り入れている。Galaxy S7 edgeの本体は金属素材のフレームとガラスで構成しているが、両端表面を曲面にしたディスプレイを採用し、併せて背面の端が丸みを帯びているので、同じサイズのスマートフォンと比べて握りやすい。ただ、持ちやすいスマートフォンの多くが取り入れているノンスリップ加工やラバー質感のプラスチック素材より滑りやすい。また、ガラス製なので、触り心地はひんやりしている。なお、指紋や汚れは思っていたより気にならない。

 Galaxy S7 edgeの本体サイズは150.9(高さ)×72.6(幅)×7.7(厚さ)ミリ、重さは157グラムだ。「Galaxy S6 edge」や「Galaxy S6 edge+」と比べて厚さと重さが増している。これは、Galaxy S6 edgeよりバッテリーのサイズが大きくなったことと、microSDカードスロットが復活したことに寄与している。Galaxy edgeシリーズは実用性よりデザインを優先し、そのため、本体サイズでは薄く軽くすることを目指している。その中で、暑さと重さを増やしてバッテリー駆動時間とインタフェースを増やすという、「デザインより実用性を優先」したGalaxy S7 edgeは異例といえる。

 ホームボタンも以前のGalaxyシリーズが採用していた長方形に戻った。ホームボタンは指紋センサーも兼ねている。ディスプレイ下部には、ホームボタンに隣接する形で「アプリ履歴」と「戻る」の機能をソフトウェアキーで用意した。有効約500万画素のフロントカメラはディスプレイ上部の本体中央軸からやや右寄りに配置している。ディスプレイ上部の左側には近接センサーとステータスライトもある。背面にはフォトライトと心拍センサーも内蔵する。場所は有効約1200万画素のメインカメラのすぐ右側だ。

 本体の側面を取り囲む金属製のリングには、2つのボタンで構成する音量調節ボタンが左側に、電源ボタンが右側に配置してある。これは電源ボタンと音量調節ボタンを同じ側に配置するモデルより好ましいレイアウトだ。同じ側に配置していると音量を調整しようとして誤って電源ボタンを押してしまうからだ。

 下側面には、左から右に向かって、3.5ミリのオーディオジャック、Micro-USB(充電対応)、マイク、スピーカーを備える。上側面には、マイク、SIMカード/microSDスロットがある。

microSDスロット Galaxy S7 edgeのmicroSDスロット

 Galaxy S7 edgeでもデータのやりとりと充電に「USB 2.0」規格のMicro-USB(以下、Micro-USB 2.0)を使用している。この規格はかなり前から存在している。Apple以外のスマートフォンで、Micro-USB 2.0を搭載していないものを思い出すのが難しいくらいだ「USB Type-C」を採用していないことに不満を持つのが一般的な反応だろう。だがGalaxy S7 edgeと互換性があることを歓迎している、ヘッドマウントディスプレイ「Gear VR」のユーザーも少なくない。

 Galaxy S7 edgeの背面には、カメラレンズの隣に心拍センサーを搭載している。また、長方形のホームボタンは指紋センサーを兼ねる。多くの場合、指紋センサーは1回で機能するが、指紋が認識されるまで複数回押さなければならないこともある。この症状は、Samsung Electronicsが自社製品に指紋センサーを導入して以来続いている。高度な医療機器を利用できなければ、心拍センサーが正確かどうかを判断するのは不可能だ。ただ、心拍数センサーの計測結果はフィットネストラッカーや本格的なジムのマシンなど他のデバイスと連動する点は評価してもいいだろう。

 Galaxy S7 edgeでは、全ての主要なLTE周波数帯(バンド)が利用できる。GSMとCDMAについても同様だ。Galaxy S7 edgeは、T-Mobile、Verizon Wireless、Sprint、AT&T Mobility、US Cellularで利用できる。また、Bluetooth 4.2(A2DP、LE、apt-X)とNFC(近距離無線通信)だけでなく、5GHz帯と2.5GH帯のデュアルバンドを同時に利用できる「IEEE802.11ac」規格準拠の無線LANも利用できる。

 Galaxy S7 edgeはIP68規格の防塵と防水テストをクリアしている。Samsung Electronicsによると、水深1.5メートルで30分の水没に耐えることができるという。この防水性能は、液体をこぼしたり、降雨時に屋外で利用したりするときに役立つだろう。TechTargetは、レビューに使用したGalaxy S7 edgeを何度か水深30センチまで水没したり、雨が降っている中で使用したり、液体をこぼしてみたりした。だが、Galaxy S7 edgeは正常に機能し続けた。一部のユーザーは、USBで水分を検出すると乾くまでGalaxy S7 edgeを充電できないと報告している。TechTargetの評価作業中にこの現象を確認できなかったが、これは、ショートによる破損を防ぐために妥当だろう。

 なお、Galaxy S7 edgeは落下衝撃に対する耐性が低い。ボディーは頑丈かつ精巧に作っているものの、ボディーパネルにガラスを取り入れていることが影響している。1、2回の落下には耐えられるかもしれない。3回目の落下にも耐えるかもしれない。だが、Corningの強化ガラス「Gorilla Glass 4」を組み込んだディスプレイをもってしても一定以上の力が加われば粉々に砕けるだろう。

 Galaxy S7 edgeの個性的なボディーにカバーを装着するのは本望ではないだろう。だがGalaxy S7 edgeを購入したら、まず保護ケースを購入するのが賢明だ。

下側面インタフェースと右側面 Galaxy S7 edgeの下側面インタフェース(写真=左)と右側面に搭載の電源ボタン(写真=左)

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