モバイルユーザーがそのアプリに満足しない理由とは? 3つの原因を探る:欠かせない「解析」「クラウド」「コンテキスト」
本当にモバイルユーザーを満足させるには、コンテキストデータを活用し、クラウドでコンテキストデータを解析するアプリをIT部門が提供することが不可欠だ。
コンテキストデータ、モバイルアプリ解析、クラウドサービスは、適切な情報を適切なタイミングでしかるべき人物に配信する新しい顧客体験を作り出すことで、ビジネスプロセスに変革をもたらすことができる。ユーザーが必要なタイミングと場所で情報を配信するため、筆者はこれを“適時の体験”と呼んでいる。
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コンテキストデータ
例えばIoT(モノのインターネット)のセンサーを通じて大量のコンテキストデータが取得可能。ドイツが取り組む「インダストリー4.0」の中心となるのもIoTとクラウドの活用だ(出典:ボッシュ)《クリックで拡大》
優秀なモバイルアプリは、コンテキストデータを活用している。例えば、場所、日時、過去のトランザクション情報、デバイスの種類などだ。最新デバイスに搭載されているセンサーも、温度、湿度、動作といった物理的なコンテキストデータを提供する。各ユーザーの現状と過去のトランザクションを理解することで、企業は差し迫ったニーズを予想して、現状に適した体験を提供できる。
例えば、石油精製所で働く技術者は、スマートグラスやタブレットで圧力や温度の情報を表示して、修理の際に機器に触っても安全かどうかを把握することができる。また、顧客関係管理モバイルアプリは、営業担当者の予定表を確認して、複数アプリからデータを取得し、その日の訪問予定に基づいて情報を表示することが可能だ。これには、顧客のレコード、顧客に関連する最新情報、運転する方角、ERPシステムのインベントリ、サポートへの問い合わせの記録などが含まれる。
モバイルデータ解析
モバイルデバイスやIoT(モノのインターネット)のセンサーが提供するコンテキストデータに企業が全く取り組まないのであれば、そのデータは無益だ。また、成功しているモバイル戦略は、デバイスやユーザーの動向など、さまざまなことについて理解することでビジネスプロセスを改善する解析に焦点を当てている。例えば小売業者は、この情報を使って店舗内でユーザーを誘導し、関連製品を提案し、適切なデータを適切なタイミングで配信することで、店舗内での顧客体験を向上させることができる。
IT部門もこの解析情報を使用してビジネスに関する新しい洞察を収集するのが良いだろう。この解析情報は、IT部門が先月や先週に発生した事象を提示するBIツールから得られる情報とは異なる。この解析情報はリアルタイムの洞察である。企業は複数のデータを組み合わせて分析し、その週の製品の売り上げに特定の要素がどう影響するかを理解できる。例えば製造部品の不足や価格の変更、競合の新規参入、悪天候といった要素だ。
クラウド内のストレージ
ネットワークに接続している各種デバイスのデータを保存および分析するために、企業はクラウドコンピューティングを使用するべきである。GEをはじめとする企業は、ガスタービンやジェットエンジンなどの工業計器から取得した何千ものデータポイントをクラウドで監視および分析している。このような取り組みによって、1台の機器が安全に稼働できる時間数、機器の使用を最適化する方法、修理のタイミングなど、すぐに活用できる情報を顧客のモバイルアプリに送信することが可能になっている。
企業はクラウドデータ解析サービスを使用して、ソーシャルネットワーキングのフィードや天気、価格設定情報などのサードパーティーが提供するデータから洞察を得ることもできる。また、小売業者は、天気や交通、ソーシャルネットワーキングのデータを統合し、特定の店舗で調達する製品や実施するキャンペーンを決定することが可能だ。
最終的にコンテキストデータ、モバイルデータ解析、クラウドを組み合わせることで、企業は学習と予測が可能なモバイルプロセスを構築できるだろう。だが、まずリーダーたちはモバイルアプリを強化するため、企業全体で投資とテクノロジーの更新を伴う戦略を策定しなければならない。これには、3つのテクノロジーの領域をまたぐ協調戦略を策定する手助けをしてくれるクラウドコンピューティングと解析の分野で仲間を見つけることが欠かせない。
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