ついに実現する「パスワードのない世界」、音声認証への期待と課題:生体認証の導入が相次ぐ
Barclaysは、英国で銀行の個人顧客向けにパスワードの代わりに音声認証を利用するオプションを提供している。音声認証に使用する声紋は指紋と同じように個人によって異なる。
ロンドンに拠点を置くBarclaysは、銀行や金融業務を営む多国籍企業だ。同社は、2013年から音声による生体認証を一部の顧客数に対して試験運用を始めている。同社の発表では、「1人1人の声は指紋と同様に一意であるため、パスワードはもはや必要なくなる」と伝えている。
Barclaysで個人向け銀行業務部門のCEOを務めるスティーブン・クーパー氏は、「音声認証は顧客がもっと簡単かつ素早く取引できるテクノロジーの好例だ」と語る。「Barclaysとの銀行取引で顧客が方法を変える必要はない。音声認証を導入したからと言って何か変わったことをする必要はない。今までと同じ方法で引き続きテレフォンバンキングを利用できる。Barclaysでは、顧客が希望する銀行取引の方法を選べるように約束している。その最新の取り組みが今回の音声認証だ」(クーパー氏)
Barclaysの音声認証プログラムに登録では、顧客は同社のテレフォンバンキングサービスを実際に利用してデジタル声紋を作成する必要がある。「幾度かの通話を通じて十分な量の声紋を収集できたら、顧客はパスワードの代わりに、音声認証を利用して身分を証明できるようになる。声紋の収集に必要な通話の回数は3回ほどだ」(クーパー氏)
Barclaysの音声認証システムに不可欠な声紋は、個人ごとに値が異なる100を超える項目で構成する。そのような項目の値は利用者の口やのどの物理的な構造によって異なるという。Barclaysで使用している音声認証テクノロジーは、Nuance Communicationsが提供している。また、ロンドンに拠点を置く多国籍銀行であるHSBCも、2016年夏に個人顧客向けに音声認証プログラムを提供する予定だ。
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