製薬企業にもビッグデータの波、「リアルワールドデータ」活用に必要な技術とは:ライフサイエンス企業のCIOが描く成長戦略【第3回】(1/2 ページ)
製薬企業を中心として、「リアルワールドデータ」(RWD)の活用に注目が集まっている。該当するのはどのようなデータなのか。RWDをはじめとするビッグデータを活用するために必要な技術とは何だろうか。
連載について
本連載では「ライフサイエンス企業におけるITの現状と課題」をテーマに、ライフサイエンス企業の中でも特に製薬業界でのIT事情を紹介する。「制約された環境下におけるプロモーション」「情報プラットフォーム」「CIO(最高情報責任者)やIT部門の役割と展望」といった切り口で解説する。
ここ数年、製薬企業を中心に、「リアルワールドデータ」(RWD)の活用が急激に進んでいる。RWDは、臨床現場で得られる匿名化された患者単位のデータのことだ。調剤レセプト、医科レセプトや電子カルテがその代表格だ(図1)。一般的な患者集団における医薬品の有効性や安全性を評価したり、使用実態を把握したり、経済効果を検討したりするデータソースとして期待を集めている。実際に発売された薬は、臨床現場においてさまざまな背景を持つ患者に投与される。薬の売り上げデータだけでは処方状況や結果などについては把握できないが、RWDを用いることで処方の実態や治療効果、副作用など、実臨床で得られたデータで検証することが可能になる。レセプトやカルテの電子化が進んだ他、医療IT基盤について協議する次世代医療ICT基盤協議会を設置するなど、政府が医療情報の収集/利活用に力を入れているという背景もあり、RWDの活用範囲は拡大している。
RWDの他にも、ライフサイエンスの分野で利活用できるデータが激増し、製薬企業のビジネスに役立つ多様な「ビッグデータ」(大量データ)が生まれている。具体的にどのようなビッグデータがあるのだろうか。
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