考えを改めないとこの先続けるのは無理
Windows PC管理者のたそがれ――企業内で変わる“エンドポイント”の姿とは
デスクトップ管理者は、これまで数十年間ずっとIT部門に所属してきた。しかし管理対象のエンドポイントがWindowsベースから他の環境に移行しつつある今、その職務と肩書は進化の時を迎えている。
エンドポイント管理の実態は、ここ数年で大きく変わった。
新しい従業員が初出勤してきたとき、オフィスで使うクライアントPCを支給するのが当たり前だった時代、デスクトップ管理者の主な役割は、Windows PCにデスクトップイメージをインストールして管理することだった。しかし最近、(組織の)IT部門の職務は、組織内のリソースに対して、さまざまな種類のエンドポイントからセキュアなアクセスを提供することに重点が移っている。その結果、「デスクトップ管理者」という肩書の社員は、最近ほとんど見かけなくなった。
昨今の(デスクトップ管理者の)役割では、エンドポイントに重点が置かれる。従ってこの職務に就く者は、従来のWindowsベースの展開および管理ツールに加えて、エンタープライズ向けのモビリティ管理ソフトウェア、エンドユーザーのコンピューティングインフラストラクチャ、新しい種類のアプリケーションにも精通していなければならない。その肩書が何であれ、エンドポイント管理者が担当する作業の内容は、その時々で大きく異なる。
エンドポイントデバイス: 昔と今
企業が所有するWindowsベースのデバイスのみ、社内システムへのアクセスを許可することの利点は、管理者がActive Directoryのグループポリシーオブジェクトを使用してアクセスを制御できることだ。例えば、デバイスの起動時やユーザーがログインしたときに、IT管理者は中央のコンソールから、USBデバイスを無効にしたりアプリケーションを強制的に更新したりするなどの制御が可能だった。このアプローチでは、(管理者にとっては)ハイレベルの制御が可能だが、その制御はユーザーの満足には必ずしもつながらない。
スマートフォン、タブレット、AppleのMacコンピュータなどのデバイスが個人ユーザーの間で普及してくると、ユーザーにとっては利用するデバイスについて、私用と業務用で区別する必要性をはっきり実感できなくなってきた。今やほとんどの組織が、組織内ユーザー全員が電子メールや他のアプリケーションにいつでもどこからでもアクセスできる環境を提供した方が、生産性の観点からは有利だと認識している。企業が支給したスマートフォンを使って、昼夜を問わずいつでもメールに応答できる人物を、その企業の幹部だけに限定する必要性はどこにあるのか。従って、私用端末の業務利用(BYOD)を容認する組織が増えている。ただしその動きは鈍い。
今日でもなお、IT部門はBYODによっていや応なしに未知の領域の課題に直面している。業務用デバイスや新しいタイプのアプリケーションに加えて、私用のデバイスを組織内ネットワークに接続するとなると、多くの課題が浮上する。
デバイス管理のベストな方法は?
職場への持ち込みを許可するデバイスの種類別に厳しいガイドラインを設定して、BYODプログラムを開始した組織は多い。しかし、おびただしい数の新しいクライアントPC、スマートフォン、タブレットへ一度に対応するのは、IT部門にとってハードルが高すぎた。
従って最近は、デバイスではなく業務用アプリケーションとデータの制御に焦点が絞られている。ただし、デバイス管理を軽視するわけにもいかない。デバイスを“脱獄”していたりパスワードで保護していなかったりすると、業務用アプリケーションやデータを侵害する恐れがある。
こうして、モバイルデバイス管理(MDM)がセキュリティ構築上重要な部分を占めるようになった。MDMを使うと、IT部門は、暗号化、パスワードの使用とその複雑性、アプリのインストールなどに関してポリシーを適用することができる。従来デスクトップ管理者がPCを保護していた方法とは全く異なるアプローチだが、これも変化の1つだ。Windows 10では統合エンドポイント管理をサポートしている。この機能を使えば、管理者はMDMソフトウェアを使用してPCを制御し、セキュリティ保護を設定できる。
ユーザーはどのようにして業務アプリケーションやデータにアクセスするのか
ユーザーの(組織内システムへの)リモートアクセスとBYODをサポートしている一部の組織では、デスクトップ仮想化を実装してWindowsアプリケーションへのアクセスを提供している事例も登場している。セキュリティの観点から、これらのリソースをデバイスの種類、場所、およびその他の条件に基づいて区別する仕組みを構築すれば、管理者はユーザーがどこにいても各自の作業を簡単に進められる環境を提供できる。
仮想デスクトップのユーザーはフロントエンドで、手元のデバイスの種類に関係なく同様のインタフェースを利用する。ユーザーは総じて、この仕組みに特に不便は感じていない。ただしWindowsアプリケーションは、もともとキーボードとマウスのインタフェースを前提とした設計になっているため、Windows以外のOSを搭載した、タッチパネルベースのデバイスからアクセスした場合には、外観や機能がWindows環境上のアプリケーションと全く同じとは限らない。この状況にユーザーは非常に不便を感じて戸惑っている。
さらに、最近は社内リソースが全てWindowsに依存するとは限らない。こうした場合、デスクトップの仮想化は利便性が限定される。ユーザーは通常、クラウドベースのファイル共有サービスだけでなく、Software as a Service(SaaS)やWebアプリケーションの形態をとっているソフトウェアにアクセスする。こうしたソフトウェアは全て、どのデバイスでもネイティブなインタフェースで接続できる。エンタープライズ向けのクラウドサービスは通常、厳重なセキュリティで保護されているが、一部の従業員がコンシューマー(一般消費者)レベルの製品を使用する場合がある。昨今のモダンなデスクトップの管理者は、こうした場合にセキュリティとコンプライアンスに影響が及ぶことを認識しておかなければならない。
セキュリティを最大限に強化するにはどうすればいいのか
100%完璧なセキュリティ対策というものは、事実上ほぼ不可能だが、IT組織は常に、この目標を達成するための努力を継続しなければならない。エンドポイントのセキュリティ対策は、通常、ウイルス対策と同義と考えられているが、今日、それは氷山の一角にすぎない。フィッシングやWebベースの攻撃を防止する施策、仮想化インフラストラクチャ、MDMはいずれも重要な役割を果たしている。こうした仕組みやその他のテクノロジーの中でどれを採用するかを決定するのが、今日のデスクトップ管理者の役割だ。絶対的な正解はない。エンドポイントの管理手法や、セキュリティに対するアプローチは、それぞれの組織で大きく異なるからだ。
デスクトップ管理者の世界は、確かに大きく変わった。エンドポイントはIT部門に対して、今後も課題を突き付けてくる。テクノロジーとユーザーの要件が進化し続ける限り、この状況は変わらないだろう。
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