徹底解説:次世代メモリ技術「NVDIMM」、不揮発性メモリはストレージをどう変える?:現実味を増す“ソフトウェア定義メモリ”(1/2 ページ)
さまざまな次世代メモリ技術の発展により、ストレージとメモリを統合するハイブリッドアプローチが登場している。その結果「ソフトウェア定義メモリ」というアイデアが現実味を帯び始めている。
関連キーワード
SAN | ディスクストレージ | Software-Defined Data Center | SDN(Software Defined Networking) | ストレージ | ストレージ仮想化 | 垂直統合
ソフトウェア定義ストレージ(SDS)は具現化され始めたところである。だが、システムは急速な進化を遂げており、早くも次の革新が明らかになっている。
これはディスクプールの話でもなければ、SSDの話でもない。ストレージの未来はメモリとの統合にある。システムメモリは不揮発性デュアルインラインメモリモジュール(NVDIMM)の登場によって、さらに複雑になっている。NVDIMMは、不揮発性メモリをDIMMスロットに搭載するための標準仕様で、データセンターのストレージアーキテクチャの永続的な性質とメモリのスピードを兼ね備えている。
NVDIMMは既に利用できる製品だ。オールフラッシュのNVDIMMを初めて実用化したのはMicron Technologyの製品だが、複数のベンダーが同社のNVDIMMを搭載したサーバを提供している。NVDIMMのメリットは、PCI Express(PCIe)よりもずっと高速なメモリバスでデータを移動できることにある。ただし、ダイナミックRAM(DRAM)と比べると、NVDIMMフラッシュはまだかなり低速だ。
軍事用のシステムや金融サービスなどでは、メモリの永続性が強く求められる。Viking Technologyが開発したNVDIMMは、大容量のDRAMとそれに適合するフラッシュを組み合わせている。ユーザーはシステムの起動時に、フラッシュから対応するDRAMにデータを読み込むことができる。電源が切れたり、システムが停止したりした場合には、DRAMのデータがフラッシュにバックアップされる。
併せて読みたいお薦め記事
2017年のフラッシュストレージの行方
ソフトウェア定義データセンター(SDDC)の可能性
- データセンターの寿命は延ばせるか? IT投資に関する5つのTip
- 本当にコスト削減になる? ソフトウェア定義ストレージのメリット/デメリット
- 物理構成に縛られない自由なストレージ運用をかなえる、SDS製品への期待
Viking Technologyのアプローチが優れている点は、CPUレジスタとメモリ間のコマンドを使用して、システムがDRAMにデータを書き込めるようにしていることだ。これにより、1バイト単位の書き込みが可能になる。従来のストレージやオールフラッシュ型のNVDIMMでは4KB単位のI/Oブロックが使用されていた。このバイト単位のI/Oでは、ブロック単位のI/Oよりも数千倍速くフラッシュにアクセスできる。ただし、この機能をアプリケーションでサポートするのは容易でない。というのも、例外を処理するようにOSを変更する必要があるだけでなく、コンパイラの拡張も必要になるからだ。また、バイト単位のI/Oでは標準的なブロック方式が使用されないため、アプリケーションも変更しなければならない。
このハイブリッドアプローチに対応したアプリケーションは、2017年後半に誕生することが予想される。というのも、この頃までにはアプリケーションの変更が行われるからだ。最初の例はデータベースシステムになる可能性が最も高いだろう。データベースシステムは、全ての変更がデータベースベンダーによって実装されるため、エンドユーザーには透過的なプラットフォームになる。
フラッシュの代替テクノロジーは、永続的なメモリセグメントと非永続的なメモリセグメント間の速度比率を改善するだろう。代替テクノロジーには、IntelとMicronが共同開発した「3D XPoint」、Hewlett Packard EnterpriseとSanDiskの「Memristor」、ソニーとViking Technologyが共同開発しているReRAMなどがある。だが、これらの代替テクノロジーは現行のDRAMよりもかなり低速だ。
これらのテクノロジーを採用する際に重要なのは、こうしたテクノロジーをDRAMのようなバイトアドレス指定可能な領域またはブロック単位でI/O処理を行うドライブとしてアプリケーションに認識させる必要があることだ。それを怠れば、アプリケーションのオーバーヘッドによって高速なアクセス速度は出なくなる。また、企業が共同で取り組んでいるという事実は、この最先端のテクノロジーを市場に出すには課題と複雑さが伴うことを示唆している。そのため、これらの製品が2017年後半または2018年前半まで市場に出回ることは期待できないだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.