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ハイパーコンバージドの核となる「SDS」、その役割と技術の選び方簡単ではない「ソフトウェア定義ストレージ」の運用

ベンダーは、マーケティング戦略で「ソフトウェア定義テクノロジー」という言葉をよく用いる。しかし、実際の実装では企業がソフトウェア定義を習熟するまでには長い時間を要する。

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導入が簡単で管理コストも削減できるハイパーコンバージドインフラの導入意欲は高まる一方だ。画像は日本ヒューレット・パッカードの「HPE Hyper Converged 380」

 ソフトウェア定義テクノロジーに関する説明をベンダーから聞くと、何か新しいものに思えるかもしれない。しかし、ソフトウェア定義ストレージ(SDS)は、サーバやネットワークにおけるソフトウェア定義アーキテクチャとほぼ同じ時期に登場している「古い技術」だ。1980年代の初期ファイルサーバでも、ストレージはサーバに内蔵しているとは限らないストレージをクライアントに提供していたことから、SDSと考えることができる。

 SDSを最も単純に定義するなら、基盤となるハードウェアから切り離したストレージを管理するソフトウェアとなる。しかし、ベンダーによるSDSの定義は、各社のプラットフォームによって異なる。

 プラットフォームには、さまざまなストレージプールを1つの連続したドライブとして提示するソフトウェアだけという製品もあれば、廉価なハードウェアを使用して、レプリケーション、スナップショット、階層化などの高度な機能を提供する製品もある。

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ソフトウェア定義テクノロジーを誕生させた柔軟性に対するニーズ

 高価な超高速大型コンピュータで採用するSAN(Storage Area Network)は、20年以上にわたって、レプリケーション、スナップショット、RAID、オブジェクトベースのストレージなどの、冗長性と高可用性をもたらす非常に便利な機能を幅広く提供してきた。また、シンプロビジョニング、階層化、圧縮によって効率も高めてきた。

 しかし、システム管理者は、サーバとSANのモデルから、ハイパーコンバージドシステム、VMwareの「VMware vSphere」やMicrosoftの「Hyper-V」などのハイパーバイザーで動作するクラウドサーバや仮想サーバへと移行している。これはオンプレミスとクラウドの両方で見られる現象だ。

 ソフトウェア定義アーキテクチャの使用拡大により、ストレージベンダーは製品をファイバーチャネルとiSCSIだけでなく、LAN、WAN、HTTPなど他の種類の接続にも対応させざるを得なくなっている。その結果、あるハードウェアに搭載しているストレージを、仮想サーバに搭載した別のハードウェアに移行できるようになった。移行先のハードウェアがある場所は、ローカルのデータセンター、遠隔地にある自社所有のデータセンターまたはクラウドであろうと構わない。

 あらゆるソフトウェアには、ストレージが必要だ。これには、本来は永続ストレージを必要としないステートレスなシステムとして考案されたコンテナも含まれる。コンテナの中核を担うのは、データであるため、永続ストレージを含めるように変更されている。

 1台のPCで動作するモノリシックなプログラムから、ローカルのデータセンターにある無数のサーバ、クラウドまたはモバイルデバイスで動作する分散型へとアプリケーションが進化したことで、ストレージも変化する必要があった。場所を問わず各種デバイスに同じファイルを提供しやすくするため、内蔵HDDをシミュレートした本来のブロックベースのストレージから、ファイル共有を経てオブジェクトストレージに至るまでに、幾つもの抽象化の階層が加えられてきた。

ストレージの高速化、セキュリティ確保、柔軟性アップを実現するSDS

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